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テレビの「真の力」を発揮できていますか?

タダで画質が“もっと”良くなる! テレビの「画質調整」実践テクニック【中級編】

2011/09/22 鴻池賢三
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タダで画質を高める方法を紹介する本企画。前回は読者それぞれの環境に合わせて、テレビの持つ画質力を引き出すべく、各テレビメーカーが標準的に用意している調整項目について、基礎知識と具体的な調整方法を紹介した。

前回の記事をご覧頂けた方は、高画質の定義、映像調整の必要性、各調整項目がどのような意味を持つかなどについて、おおまかにご理解頂けたのではないだろうか。

今回は一歩進めて、より詳細な設定項目を紹介していきたい。フルHDのテレビを購入したら必ずチェックすべきポイントから、好みの画を作るための基礎知識、システムトータルで高画質を引き出す応用知識まで多岐に渡るが、どれも”タダ”でできるものばかりなので、ぜひ試してみて欲しい。

■実はフルHDではない? 「オーバースキャン」に注意せよ

テレビを選ぶ際、1,920x1,080の「フルHD」に惹かれるユーザーは多いだろう。ブルーレイやデジタル放送のハイビジョン画質(最大1,920x1,080画素)を、ロス無く100%そのままに表示できると思うからこそ、1,366x768画素の「ハイビジョン対応」ではなく、少し高価でも「フルHD」に魅力を感じるはずだ。

しかし、ほとんどのフルHDテレビが、出荷設定のままでは「フルHDの真価を発揮していない」と聞いたら驚かないだろうか?

実はテレビは、出荷状態において、元映像の周辺部に含まれる不具合が画面に映らないよう、映像を5%〜15%程度拡大して表示する「オーバースキャン」という処理を行うよう設定されている。

この処理が、せっかくの「フルHD」を「フルHD」でなくしてしまい、解像度に悪影響を与えている。テレビ購入後「オーバースキャン」設定に触れていなかったユーザーは、今すぐチェックすべき基本項目と言えるのだ。

「オーバースキャン」の悪影響を実感するには、下図のような、ドット単位の線が分かりやすい。お使いのPCモニターの解像度が適切に設定されていれば、黒と色の縦線が一本ずつ交互に並んでいるのがクッキリと見分けられるはずだ(適切でないと線が滲んだり、全体が波状の模様に見える)。


ではこの状態から、ブラウザの機能を使って画面を10%程度拡大してみよう。以下のような変化が体感できるだろう。画が壊れてしまうほどの変化に驚いたのではないだろうか。これがオーバースキャンによる悪影響だ。


この「映像破壊」は、映像エンジンが拡大処理で画素数変換を行う際、整数倍でないと、画素がピッタリと収まらないケースが出てくるためだ。何とか破綻なく見せようとするのが映像エンジンの役割だが、図の例では、白と黒の中間調が描かれた結果、全体が波打って見えてしまっている。

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