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『英国王のスピーチ』で味わうプラズマテレビの“感性領域”

公開日 2011/08/29 15:37 大橋伸太郎
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■英国王が次第に

アルバートは日常生活上気心の知れた家族親族、高官たちの前でどもることはほとんどなく、公衆や一般市民を前にした時に、突然このやっかいな持病に襲われる。アルバートは顔の見えない相手を前にすると、心の奥深くに引き籠ったきりそこから出られなくなるのである。

彼は幼年時代に兄をえこ贔屓する乳母からの虐待に、深く心を傷つけられていた。それに加えて左利きと外反膝の矯正を受け、その姿をからかう兄の嘲笑に苦しめられた。

そして、弟の早過ぎる死。厳格な父王の前で、貴顕の少年は強い虚構の自分を作り出さなければならなかった。

王族と政府関係者なら誰知らぬ者のないジョージ五世の二男にしてヨーク公。それが心の鎧である。家族や既知の友に対しては穏やかで篤実なのにうまくコミュニケート出来ない相手には彼は短気で時に傲慢である。

さらに無数の顔の見えない一般市民相手では彼らの中の<強い自分のイメージ>を想像出来ず、鎧が役に立たなくなり「傷ついた少年」に退行し、心の奥深くに逃げ込んで出られなくなるのである。

ライオネルの治療は、二人の男が身分差を越えてお互いにカミシモを外して朗読や体操を交えて親しく交わり、感情や思考の表現を心の中で邪魔するものを根気強く取り除いていくというものだった。

アルバートの吃音は目に見えて改善されていく。『英国王のスピーチ』は実話を脚色した王室ドラマであると同時に、それが王様であろうが平民だろうが、人間の心を癒すものは人間でしかない、という真理を温かく時にユーモラスに時に諷刺を込めて描いている。

■レファレンスディスプレイをXP07に変更

筆者は封切時に『英国王のスピーチ』を東京・六本木ヒルズの映画館で見て感銘を受けた。しかし映画館の上映はやや画面輝度がどんより暗く、画質上は若干不満を覚えた。

輸入盤BDソフトが発売されるとすぐに購入した。むしろBDの方が本作の本来のバランス、パフォーマンスを味わえるのではないかと期待してである。毎回日立Woooのフルハイビジョンテレビの50V型フラグシップモデルで話題作を見るのが本連載の趣向だが、今回そのテレビが前回までのP50-XP05から最新のプラズマ方式P50-XP07に代替した。

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