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高橋敦氏がその実力へ徹底的に迫る

3D音響技術を搭載したマクセルのハイCP機 iPod/iPhone対応スピーカー「MXSP-2200」登場

2010/12/01 高橋敦
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◆◇◆ 試聴レポート Part 2 ◆◇◆

■価格やサイズから期待されるレベルを大きく超える音質


試聴の様子
さて、以降はマジックスピーカーはオンのままで、基本的な音質をチェックしていく。

Helge Lien Trio「Spiral Circle」はタイトで強烈に力強い音像が印象的な作品だが、その印象を崩さずに再現。ウッドベースやタムなどの低音を緩めずに、引き締めてドンッと決めてくれる。シンバルやカウベルの抜けっぷりの良さは、既存モデルでも好評だったというアルミ振動板の力が発揮されているところだろう。

リモコンのバスブーストボタンを押すと、ベースやドラムスの胴の響きがより引き出される。そのさじ加減が絶妙で、「バスブーストでございます!」というほどに劇的ではなく、「この程度のバスブーストでいかがでしょうか?」というような節度がある。個人的には常時オンでもよいかなという、自然さと確かさだ。

Jimi Hendrix「Valleys Of Neptune」は、再生するオーディオシステムによって特にギターの音色がコロコロと変化する、不思議な音源だ。おかげで機器の特性をつかむのに役立ってくれるのだが、本機で再生するとそのギターの音色はやや硬質で粒が粗く、その粒が豊富な倍音をまとっている感触。この時期のヘンドリクスの(彼の活動の終盤における)ギターの音色としてはこれが正解なのかなという、納得の音色だ。

最後に荒井由実「ひこうき雲」の全体の雰囲気を確認。この音源については細かいところよりも、聴いていたら切なくなったというその一点で合格と言える。何しろ本当に切ない歌なのだから。

後半のサビでのそれこそ切なさが突き抜けていくような歌声も、実にそのように再現してくれる。ここでもアルミ振動板スピーカーが功を奏しているのだろう。中高域の明るさと抜けのよさは、ボーカル、ギター、シンバル、どの音源のいずれにおいても感じることのできる、本機の強みだ。

マジックスピーカーの効果も含めて、音質面は、そのコンパクトさや価格から期待されるレベルを大きく超えている。生活空間で邪魔にならない、しかし音質にも満足できるコンパクトオーディオをお探しの方に、候補としておすすめしたい。

<筆者プロフィール>
高橋 敦 Atsushi Takahashi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている

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