「Bluetooth市場動向 2025年版」が公開。Bluetoothデバイス出荷台数は2029年までに77億台に到達
Bluetoothの規格策定や認証、普及活動などを行うBluetooth SIG(Special Interest Group)は、Bluetooth技術の最新トレンドと様々な市場における成長について解説する年次報告書「Bluetooth市場動向」2025年版を発表。同時に、現在取り組んでいるBluetooth技術の機能強化についても一部紹介した。
Bluetooth SIGによれば、Bluetoothデバイスの年間総出荷台数は多くの市場セグメントにおいて着実に成長しており、2025年には53億台を超える見込み。その後も年平均9%のペースで成長を続け、2029年までに77億台に到達することが予想されるという。
また出荷されたBluetoothデバイスの内訳を見ると、Bluetooth策定当初からの規格「Bluetooth Classic」と、より省電力な通信を行える規格「Bluetooth LE」の両方をサポートする「Bluetoothデュアルモードデバイス」が主流となっており、全出荷台数の約60%を占める。Bluetoothデュアルモードデバイスの出荷は今後も堅調に推移し、今後5年間の年平均成長率は2%と予想されるとしている。
それと同時に、Bluetooth LEのみをサポートする “シングルモード” デバイスの出荷台数が急成長しており、低消費電力と柔軟性の高さを活かし、スマートラベルや電子棚札などへの採用が進んでいる。シングルモードのBluetooth LEデバイスの出荷台数は年平均22%で成長が予測されるといい、2028 年までにBluetoothデュアルモードデバイスの出荷台数と同水準になるとのことだ。
Bluetooth LEデバイスの普及と引き換えに、シングルモードのBluetooth Classicデバイスは減少傾向にあり、出荷台数は年平均-14%で減っていく見込みだとしている。
Bluetooth技術の機能強化については、Bluetooth SIGが常時進行している50を超える仕様策定プロジェクトの中から、主要なものがいくつか紹介された。
まず2024年に発表した、安全で高精度な距離認識を実現する「Bluetooth Channel Sounding(チャネルサウンディング)」技術の活用を促進。自動車の施錠/解錠やエンジン始動ができるBluetoothデジタルキーや、住宅や商業ビルに導入するBluetoothスマートロックなどのかたちで普及を後押しする。
また、Bluetoothゲームコントローラーの応答性をUSB有線接続などと同等まで高める「超低遅延ヒューマンインターフェースデバイス(ULL HID)」強化プロジェクトを進行。最大1000Hzのポーリングレートのサポートを目標としており、AR/VR/MR用コントローラーやセンサーなど、遅延の影響を受けやすいデバイスの使用感向上にも繋がる可能性があるとしている。
Bluetooth LEでは、5GHz/6GHzの高周波帯域を利用可能にするための仕様策定に着手しており、実現すれば通信速度や遅延低減といった性能向上が見込まれる。同時に、最大約8Mbpsの大容量データ伝送をサポートする「高データスループット(HDT)」のプロジェクトも進行中。Bluetooth LE Audioの機能強化も行うとしている。
このほか、Bluetooth以外のワイヤレス通信規格との連携を推進。自動車のデジタルキー規格や、Matter/ZigBeeといったスマートホーム規格、Wi-Fiに組み込まれることで、接続性や利便性の向上を実現すると謳っている。
本件について、Bluetooth SIG CEOのネヴィル・マイヤーズ氏は以下のようにコメントしている。
「Bluetoothは単なる技術ではありません。つながりを通じて、より良い世界の実現を目指す、世界最高峰の頭脳と組織からなるコミュニティです。Bluetooth市場動向2025年版における予測は、Bluetooth SIGのグローバルなメンバーコミュニティの絶え間ない革新と献身的な取り組みの表れにほかなりません。Bluetoothはこれからも、より健康でより持続可能性と生産性を持ち、アクセスしやすく、より豊かなつながりのある、より良い世界を実現するため、中心的な役割を担ってまいります」



