複数台でのデータ共有も可能に

DJもファイルミュージック時代に突入 − パイオニアの最新DJ機器を触ってきた

Phile-web編集部・風間
2009年10月05日
みなさんは「DJのメディア」と聞いて何を思い浮かべるだろう。最新DJ機器の動向を追っている方はともかく、多くの方が真っ先に挙げるのが“Vinyl”、いわゆるアナログレコードではないだろうか。私の場合も、十数年前の高校時代、テクニクスのDJ用アナログプレーヤー「SL-1200」に憧れた世代なので、DJと言ったら黒い板を回してレコード針でスクラッチして、というイメージが強く残っていた。

今回、DJ機器のトップシェアメーカーであるパイオニアの説明会に行って驚いた。同社では、CDを使ってDJプレイが行える“CDJ”シリーズ初代機を2001年に発売。その後、映像スクラッチができるDVD対応の「DVJ-X1」を2004年に、MP3対応モデルを2005年に相次いで投入。2007年にはUSBデバイス対応の「CDJ-400」を発売した。こういった取り組みが実を結び、いまやアナログレコードでプレイするDJよりも、CDやMP3でプレイするユーザーの方が圧倒的に多くなったというのだ。中でも、MP3やネットミュージックを使ってDJを行うユーザーが急増しているとのことで、こういった背景をもとに、さらに使い勝手を高めた最新機器としてパイオニアがこの秋冬に発売するのが、プロDJ向けのプレーヤー「CDJ-2000」「CDJ-900」だ。

CDJ-2000

CDJ-900


新機種の説明を行ったパイオニア(株)プロSV事業部 マーケティング部の平山孝太氏

DJメディアの変遷とパイオニアのDJ機器の系譜。アナログレコードの比率はどんどん下がっている

両機の概要はこちらのニュースで紹介したとおりだが、改めてくわしく説明を聞いてみると、プロDJのニーズを丁寧に汲み上げた便利機能の数々に心底感心させられた。一例を挙げると、新たに付属した音楽管理ソフト「rekordbox」、これが非常に良くできている。このソフトでは、あらかじめ自宅で楽曲の波形やBPMなどを解析し、CUE/LOOPポイントなどを設定した上で、その情報と楽曲データをUSBメモリーなどにエクスポート可能。そのUSBメモリーを持ってクラブに行き、DJプレイを行ったら、そのプレイ履歴がメモリーに残される。自宅に帰ってUSBメモリーをPCに挿し、ソフトを起動すると、その情報をPCにフィードバックできる、という流れだ。フロアでウケたプレイを履歴で確認できるので、次回以降のネタ作りの参考にできるだろう。

rekordboxの概要

rekordboxの画面。Mac版も存在する

またCDJ-2000はSDメモリーカードとUSBメモリー、CDJ-900はUSBメモリーにそれぞれ対応し、さらに対応音声フォーマットもCD-DA、MP3、AAC、WAV、AIFFと充実しており、多彩な音源を活用できる。

さらにこれも重要な新機能なのだが、これらの音楽ファイルやデータは、LANで接続した最大4台のCDJ-2000/900で共有できるのだ。この機能を活用すれば、複数の音源を持ち歩く必要はない。

一つのUSBメモリー/SDカード内の楽曲やデータを複数台のCDJ/2000/900で共有可能

クラブのその場のノリにあわせて、自在に楽曲を選択し、つないでいくのもDJの醍醐味。これを上手に行うためには、つなぐ楽曲の選択の巧拙はもちろんだが、スピーディーに聞きたいポイントにアクセスできることも重要となる。アナログレコードの場合、熟練したDJなら、溝を見たり、針を何度も落としながら、聞きたいポイントを絞り込むことができたが、CDやファイルオーディオの場合はそうもいかない。こんな悩みを解決する機能が、上位機のCDJ-2000に搭載された「NEEDLE SEARCH」。アナログレコードの針で探す感覚を目指したというこの機能では、楽曲の波形を表示し、特定の場所に指を置くと、その場所から再生を開始する。実際に操作してみたが、非常に直感的にポイントを探し当てられる。プロDJにとっても重宝な機能になるのではないかと感じた。

両機種とも音質向上を図り、ウォルフソンのDACなどを搭載している

また説明会では、10月上旬に発売ラックマウントタイプのマルチエンタテインメントミキサー「DJM-5000」(関連ニュース)も展示。マスター出力とゾーン出力でそれぞれ独立した音声を出力できたり、PCとUSBで接続し、PC上で再生されているサウンドを本機に入力できるUSBオーディオインターフェースを内蔵するなど、こちらもプロDJ向けの多機能なモデルだ。デモの中では、MC時に、マイク入力声の周波数帯域のみ音楽のボリュームを下げることで、MCが終わった際の違和感を軽減させた「アドバンスド・トークオーバー」が興味深かった。

マルチエンタテインメントミキサー「DJM-5000」

繰り返しになってしまうが、今回最新のDJ機器に触れる機会を得て、その多機能ぶりに驚いた。アナログレコードによるDJも一定数は残るだろうが、DJバッグに大量のレコードを入れて持ち歩く時代は過去のものになりつつある。利便性を考えたら、間違いなく今後もファイルミュージックでのDJプレイへのシフトは進むだろう。本格的なDJプレイなどしたことがない私ですら、「ちょっと欲しいな」と感じさせる魅力的な製品群だった。

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