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GFX100は4ヵ月待ち

富士フイルムイメージングシステムズ、本丸の写真需要創造へ取り組み強化。好調BtoBで足元固め

公開日 2019/08/26 14:15 PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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■需要創造策の積極展開で18年度は増収増益

富士フイルムイメージングシステムズは、イメージング市場の近況と同社2018年度および2019年度第1四半期の業績について、西村亨社長が説明を行った。

冒頭、「イメージング市場を取り巻く環境は大きく変化している」と指摘した西村社長。写真プリントにもっとも大きな影響を及ぼすミニラボの稼働台数は、一般写真専門店の閉店や大手チェーン店での不採算店舗の整理が進み、2016年の7,300台から、2019年には6,400台と3年間で1割以上が減少した。台頭するネットプリント、ロフトやセブイレブンなど新規チャネルの需要が増加するが、写真専門店のウエイトが高いこともあり、トータルでは微減で推移する。

富士フイルムイメージングシステムズ(株)代表取締役社長 西村亨氏

この状況に、同社では営業体制のシフトを進める。WEBでの受発注はもちろん、店頭POPや成功事例などの情報配信も可能なWEB発注システム「グリーンオンライン」の活用を強化。有力専門店窓口では高単価の付加価値プリントを推奨。店頭、ネット、コンビニエンスストアなどの新規チャネルを包括的に活用した需要拡大策を推進する。

需要創造へ向けた施策も積極的に展開。プリント需要の拡大では、日本最大級の参加型写真展『“Photo is”想いをつなぐ。50,000人の写真展』が、14年目を迎える今年、海外を含めた応募が約11万点に達した。さらにワールドワイドで推進を図る。昨年8月にスタートした『ほめ写プロジェクト』は、協賛企業が16社、アルバムカフェを開催するアルバム大使の積極的な参加が目につくアンバサダーは500名近くにまで拡大。一層の啓発を進めていく。

一昨年の正月に投入したCMで飛躍的な伸長を見せたのが、写真を壁に飾る新提案『WALLDECOR(ウォールデコ)』。現在も平均約150%で伸長する期待の成長株だが、「欧米に比べると、日本では写真を “飾る” 文化はまだまだ定着していない」と伸びシロをアピールした。誰もが最高の銀塩技術で最高の写真プリントを仕上げられる『PREMIUM PRINT(プレミアムプリント)』は、「専門店の減少で写真難民が増加している。写真のアドバイスができる店舗と一緒になって店頭展開を強化していきたい」と訴えた。

全世界的には依然、上り調子にある「チェキ」では、新製品「リプレイ」が「スマホの写真もプリントできる」「音まで撮れる」と好評で品薄状態。ラージフォーマットとAPS-Cの二本柱で展開するデジタルカメラ「Xシリーズ」では、ラージフォーマットに1億200万画素の新製品「GFX100」が登場。「幅広い支持を獲得、現在4ヵ月待ちとこちらもバックオーダー状態が続いている」とうれしい悲鳴を上げる。

「現在、稼ぎ頭になっている」と語るのが、積極的な取り組みを見せる「BtoB」。「ディスプレイ」「ID/ICカード」「データ/クラウド」を中心に、東京オリンピック・パラリンピックによるサインやディスプレイなど表示物の新設、消費税改定による電車の運賃表や元号改定に伴うID/ICカードの更新、即位の礼や国家的行事におけるセキュリティ強化に伴うシステム構築など、「拡大する需要に対応してビジネスが拡大できている」と強調した。

■写真の素晴らしさをいかに伝えられるか

これらの取り組みによる成果で18年度は増収増益。しかし、総需要が減少する中、18年度は新商品投入などで売上げをキープしたデジタルカメラが、取り巻く環境がさらに厳しさを増していることなどが影響し、19年度第1四半期はやや苦戦を強いられる立ち上がりとなった。

19年度後半に向けた施策では、年賀状商戦で山場を迎える「ポストカード」は、写真専門店は減少しているが、ネットやアプリの業者とのタイアップ、無料体験、宛名印刷などの強化で前年並みの売上げ、利益確保を目指す。

大きな波が見られる「チェキ」は、18年度は “送別” を切り口とした訴求やスクエアタイプの新製品投入により前年比増で推移した。「好調な新商品リプレイをどこまでアピールできるか。年末に向けては新商品も投入する。店頭キャンペーンはじめ、プレゼント需要をターゲットに需要を盛り上げていきたい」と拡販へ意欲を示した。

厳しい環境に置かれるデジタルカメラ「Xシリーズ」では、「ポイントを絞って施策を展開していく」と明言。好調なBtoBは「独自の技術力を活かし、さらに需要を獲得していく」と意気込む。

「良い商品、サービスはあるのだが、それがユーザーに届いていないのが最大の課題。専門店、ネット、異業種の新規チャネルを包括的に活用し、それら商品やサービスの特徴を、それぞれの窓口から伝え、需要を拡大していく。好調なBtoBで利益を確保し、成長基盤を固めながら、本丸である写真需要の創造に取り組んでいく。写真の素晴らしさをいかに伝えていくことができるかだ」と力を込めた。

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