<ヘッドフォン祭>qdcからスイッチ付4BAイヤモニ/FIIO「M27」がエージング済フルスペックで登場
フジヤエービックが主催する、約88のポータブルオーディオ関連ブランドが集う展示会イベント「秋のヘッドフォン祭 2025」が、東京駅そばのステーションコンファレンス東京にて開催された。本稿では、6Fに出展したアユート、エミライ、完実電気ブースの模様をお伝えする。
qdcやFiR Audioから新型イヤーモニター参考出展
アユートブースでは、まずイヤモニブランドqdcから新モデル「4pro」が登場。ミュージシャンやスタジオエンジニアなど音楽制作の場に向けたプロユースの4BAドライバーモデルで、8BAの上位モデル「8pro」(約27.5万円)と同じくチューニング切り替えスイッチを搭載している。これ1本で、ステージモニター/スタジオモニター/音楽鑑賞の3種類の音質をカバーできるのが強みだ。
展示機はまだ開発中の仮デザインだそうで、発売時にはイヤーピースで装着するユニバーサルモデルと、耳型を取って作るオーダーメイドのカスタムモデルが用意される。価格はそれぞれ約11万円/12.1万円となる予定だという。
FiR Audioからは、BAドライバー4基と9mmダイナミックドライバー1基のハイブリッド型イヤホン「Project K」がお披露目。低音用のダイナミックドライバーはブランド独自の「キネティックベース・ダイナミックドライバー」で、低音の迫力を空気伝導+骨伝導の2刀流で伝える仕組みとなっている。またBAドライバーは一般的な形状とは異なる、いわゆる「オープン型」のユニットを搭載するとのこと。
筐体にはチタン素材、フェイスプレートにはサファイアガラスを採用して、輝きも頑丈さも兼ね備えたつくり。価格はおよそ49.5万円で、近く取り扱い開始予定だそうだ。
Sendy Audioは、かねてからイベントで参考出展していた開放型平面磁界ヘッドホンの新モデル「Egret(イーグレット)」の最終バージョンを公開。約12.1万円にて今月発売見込みとのこと。
搭載する98×84mmの平面磁界ドライバーは従来モデルより大きいだけでなく、「EB(電子ビーム)蒸着」という技術でコーティングを行っているという。これにより周波数特性もより安定しているそうだ。またハウジングも従来モデルに比べてやや膨らんだような形状となり、内部容積が大きくなったことで低域の厚みが増している。
Maestraudioは、本日11月1日に発売となるダイナミックドライバーとパッシブ型セラミックトゥイーターを組み合わせたハイブリッドイヤホン「MAPro1000 II」「MAPro1000 Drop」とともに、専用アクセサリーとして発売予定のケーブル「MAW VIRGO」を参考出展した。
Maestraudioのアップグレードケーブル第2弾という位置づけで、第1弾の「MAW BOOTES」と導体の種類やケーブル構造は変えず、価格も1万9800円と同じの予定。違いは導体の純度を上げたことで、これにより音の響きや広がりが豊かに感じられるとのこと。聴き比べてもらうことで、ケーブルが音に与える影響の大きさを伝える狙いもあるようだ。
ほか、Asrell&Kernからは、AKMのAK4499EXとAK4191EQ 計8基のチップによる「OCTAオーディオ回路」などを投入したフラグシップDAP「A&ultima SP4000」(約69.3万円)、同ブランドの従来製品とは異なるデザインコンセプトや機能を取り入れたDAP「PD10」(クレードル無しモデルで約36.3万円)、チタン筐体に13mm平面磁界ドライバーを搭載したイヤホン「LUNA」(約49.5万円)、64 Audioとのコラボイヤホン「XIO」(約55万円)といった発売中のハイクラス製品が揃い踏み。
AZLAでは、11月8日の発売が決定した金属コア入りイヤーピース「SednaEarfit mithryl」が出展。吸い付くように滑らかなLSR(リキッドシリコンラバー)素材と、外科医療にも使われるレベルで人体への刺激が少ないサージカルステンレスのコアを一体成型したイヤーピースで、装着したイヤホンの音に響きと立体感を付け加えてくれる。
また、以前から同社イベントブースで参考出展していたNoble Audioも、まもなく正式に取り扱いを開始するとのこと。今月にはアナウンスが行われるようだ。


エミライ
先日名古屋のイベントで国内初お披露目されたFIIOの次世代フラグシップDAP「M27」が、エージングを済ませた万全のコンディションで登場。整理券式で試聴を行った。チタニウムモデル(約2,100ドル)とアルミニウムモデル(約1,700ドル)とがラインナップされるが、どちらも間もなく国内販売を開始するという。
「M17」の後継モデルとなり、DACチップには「ES9039PRO」をデュアルで搭載。ヘッドホン端子は3.5mm/6.3mm/4.4mmバランスの3系統で、アンプの最大出力は5,000mW(バランス接続時)とたいへん力強い。
電源供給されている間アンプの出力をさらに増すデスクトップモードや、同軸デジタル入出力と光デジタル出力端子も搭載するなど据え置き機のように使うことも可能。DAPでありながら、BluetoothのaptX Lossless コーデックによる受信をサポートする点もトピックだ。
FIIOからはこれ以外にも、今後登場予定の製品が続々と参考出展。エントリークラスの “Snowskyシリーズ” からは、USB Type-Cに直付けできるドングルタイプのアンプ「TINY」が国内初公開。
「A」と「B」の2モデルがラインナップされ、Aモデルは充電用Type-Cポートを装備し、3.5mm接続で音楽を聴きながら充電ができるタイプ。Bモデルは3.5mmと4.4mmの2系統のアンバランス端子を備え、4.4mmプラグのイヤホンを変換アダプター無しで接続できるタイプとなっている(前述のとおり、4.4mmだがバランス接続ではない)。海外での価格は約20ドルで、国内ではこの冬発売予定だ。
有線ヘッドホンは3モデルが新たに披露。北米産のパープルハートという天然木をハウジングに採用した密閉型ダイナミックヘッドホン「FT13」(海外では約300ドル)、95×86mmの平面磁界ドライバーを搭載しながら価格を約110ドルに抑えた開放型ヘッドホン「JT7」、既存の密閉型ヘッドホン「JT1」をベースとした開放型ヘッドホン「JT3」(約70ドル)が参考出展された。いずれも今冬発売予定となっている。
「DM15 R2R」は、フルバランス24bit R2R DAC回路を搭載したポータブルCDプレーヤー。ヘッドホン端子は3.5mm/4.4mバランスの2系統を搭載し、最大1,100mW(バランス接続時)のパワフルな出力でCDを楽しめる。
背面にはライン/同軸デジタル/光デジタル兼用出力、4.4mmバランスライン出力も搭載。このほかにもUSB-DACモードやデスクトップモード、イコライザーにCDリッピングなどさまざまな機能を装備している。海外での販売価格は約300ドルで、国内での発売日はまだ未定とのこと。
また急遽準備が間に合ったとして、Bluetoothレシーバーの「BR15 R2R」が参考出展。Bluetoothで受信したオーディオ信号を可能な限り高音質で出力することに力を注いでいるとのことで、モデル名どおりR2R DAC回路を搭載することに加え、XLRバランス出力を装備している。価格/発売時期はどちらも未定となっている。
オーストラリア生まれ、Burson Audioのデスクトップアンプ3機種が新登場
完実電気ブースでは、オーストラリアBurson Audioの製品が初登場。現在アユートが取り扱っているブランドだが、12月からは完実電気が取り扱いを開始し、同時に新製品をラインナップするという。
ブースに展示していたのは3機種。「Conductor Voyage」は約77万円のDAC内蔵/A級ヘッドホンアンプで、DACチップはESSのES9036 PROを採用。音質に細部までこだわるため、ディスクリート設計のオペアンプやI/V変換回路、電源レギュレーター回路などを独自開発している点が特徴だ。
「Conductor GT4」(約58.8万円)はConductor Voyageに次ぐモデルとなり、筐体デザインとDACチップがES9038になっている点が主な違い。独自開発のオペアンプやI/V回路、A級アンプなどは上位モデルと同等だ。「Playmate 3」は3モデル中最もコンパクトで安価(約18.9万円)なモデルだが、上位モデルと同じA級アンプや独自開発のパーツを投入。している。
また3モデルとも、数十万円クラスのヘッドホンアンプには珍しく3.5mm 4極ジャックを装備していて、マイク付ヘッドホンやイヤホンを接続できるのもユニーク。オーディオだけでなくオンラインゲームやライブ配信なども楽しんでいるユーザーは、機材をスッキリまとめられて便利かもしれない。
ほか完実電気ブースでは、Warwick Acousticsの静電型ヘッドホンシステム「Bravura System」(約106.7万円)や据え置きオーディオを組み込んだ高級ヘッドホンシステムコーナー、有機的なデザインが目を惹く開放型ダイナミックヘッドホン「105 SILVA」(約7.9万円)などMeze Audioのヘッドホン、藍染ハウジングの「TH1100RPmk2」「TH1000RPmk2」を始めとするフォステクスの平面磁界ヘッドホン、ステージやスタジオモニターとして活躍するシュアのイヤホン/ヘッドホンなども展開された。




