シャープ、1Q決算は減収も最終利益272億円へ黒字転換。テレビは付加価値商品へのシフトが進みシェア増加
シャープは「2025年度第1四半期 決算説明会」を開催し、同社代表取締役 社長執行役員 CEO・沖津雅浩氏が説明を行った。

2025年度第1四半期は、売上高は4724億円(対前年同期比595億円減)と減収となったが、利益は営業利益153億円(同211億円増)、経常利益185億円(同286億円増)、最終利益272億円(同284億円増)といずれも前年の赤字から黒字化を達成した。
沖津社長は「ブランド事業の売上高は、競争環境の激化や円高の影響などもあり減収となったが、営業利益は前年同期に比べ約1.5倍の大幅増益を達成した。ディスプレイデバイスはPC・タブレット向けや車載向けが伸長して増収、構造改革の効果もあって営業赤字は大幅に縮小した」と概要を説明した。
「全社トータルでは売上高は減少となったが、営業利益は前年同期の58億円の赤字から大幅に改善して153億円の黒字に、経常利益・最終利益も大きく改善していずれも黒字化を達成している」と語り、これを受け、通期業績予想を上方修正した。
セグメント別には、「スマートライフ」は、売上高1403億円(対前年同期比10.6%減)、営業利益68億円(同66.3%増)。売上高においては、白物家電事業では、国内で “ヘルシオ” が好調だった調理家電や空気清浄機が伸長したが、エアコン、洗濯機、冷蔵庫が減収となり、国内・海外とも前年同期を下回った。テレビ事業では、XLED・OLEDモデルが好評で国内の付加価値ゾーンのシェアは増加したが、売上高は国内・海外とも前年同期を下回った。エネルギーソリューション事業では、国内外でEPCの売上が減少した。
営業利益においては、高付加価値化の進展やコストダウン・経費削減、また、テレビ事業における構造改革の効果が増益に貢献した。
テレビ事業について沖津社長は、「厳しい環境だが付加価値ゾーンへのシフトが進んでいる。これまで自社生産で行っていたものをすべてODMに発注を変え、固定費が削減されることで、これから改善が進んでいくだろう」との展望を示した。詳細な内訳では「フラグシップのみ日本で設計して中国で生産する。それ以外については、スペックはこちらから要求するが、設計・組み立てはODM先で行う」と説明した。
「スマートワークプレイス」は、売上高1893億円(同0.0%減)、営業利益142億円(同39.6%増)。売上高においては、PC事業は官公庁・自治体向けが大幅に伸長し、マネージメントサービスの提案や大企業向けも好調で増収。ビジネスソリューション事業、通信事業は減収となった。営業利益においては、PC事業などの高付加価値化やコストダウン、円高の影響により増益となった。
中小型ディスプレイのみとなった「ディスプレイデバイス」は、売上高1092億円(同7.4%増)、営業利益は84億円改善して25億円の赤字。売上高においては、米国関税の駆け込み需要があった車載向けやPC・タブレット向けが伸長。営業利益においては、売上増、アプリケーションミックスの改善、生産能力最適化などの構造改革効果、継続的なコストダウン・経費削減が好影響を及ぼしている。
通期業績予想では、「先行き不透明な状況は続いているが、第1四半期のPC事業などの業績の上振れを売上高・営業利益に反映、期初の業績予想には織り込んでいなかった為替差益や持分法による投資利益なども経常利益・最終利益に織り込み、通期の業績予想を上方修正を行った」と説明。
売上高は前回より200億円増の1兆8700億円、営業利益は同100億円増の300億円、経常利益は同220億円増の270億円、最終利益は同220億円増の320億円とした。
中期経営計画の進捗においては、スマートライフにおけるAIoT事業の拡大について言及。「生成AIに対応したヘルシオを商品化、生成AI活用サービス “クックトーク” を提供開始するなど具体的施策が進捗している」と成果を強調した。
注目される米国関税の影響では、白物家電において影響を受ける品目として調理家電を挙げ、10%の値上げを実施した。「関税アップに伴い、10%程度売価を上げる流れが出てきている」と影響を懸念するが、「年内は売価が上がった状態が維持されるのでは」との見方を示した。



