Sマーク認証の信頼性向上と普及促進へ、拡大するネット販売や海外ブランド増加への対応強化
取得していない海外ブランドへアピール
電気製品認証協議会(SCEA)は、2025年度定時総会を開催した。総会後には、経済産業省 大臣官房 産業保安・保全グループ 製品安全課課長補佐の佐々木文人氏が「改正製品安全4法(消安法、ガス事法、電安法、液石法)による、インターネット取引の拡大への対応等について」と題して講演を行った。
総会の冒頭にあいさつを行った同協議会会長 横山明彦氏は「電気製品認証協議会は1994年12月に設立以来、創立30周年を迎え、今年で31年目に入ります。この間、製造事業者、輸入事業者、流通団体、各店舗、そして工業会や消費者団体の各団体、さらに経済産業省をはじめとする行政機関など、多くの方々のご理解とご支援をいただき本日に至っており、心から感謝を申し上げます」とお礼の言葉を述べた。
続いて、2024年度の活動報告および2025年度の活動計画について説明。活動報告では、「Sマーク認知度調査」は36.4%と対前年比3.5ポイントアップしたが、「Sマーク付き電気製品店頭普及実態調査」は70.7%と同1.4ポイントのダウン。17品目を対象に実施した「Sマーク認証製品市場買上げ調査」に不適合は認められず、これで過去7年間にわたり不適合はなく、Sマークの信頼性が確保できていると説明した。
2025年度の活動計画では、引き続きSマーク認証製品の信頼性向上へ向けた「Sマーク認証製品市場買い上げ調査」やSマーク認証製品の普及状況を把握するための「Sマーク付き電気製品店頭普及実態調査」等を実施するとともに、インターネットや各種ツールを積極的に活用し、Sマークの普及促進と認知度向上に取り組んでいくとした。
Sマークの広報活動について説明した広報専門部会長の三浦佳子氏は、「売れている商品により多く、Sマークが付いていることが重要になる。輸入品も増えており、海外ブランドなどSマークを取得されていないところに、是非付けていただけるように働きかけていくことが必要」との考えを示した。
製品を取り巻く現場は日々変わっていること、また、若い人の購買行動においてはネットの比率が高まり、トラブルも発生していることを指摘し、「製品の安全性について深く認識いただけるように、Sマークをより広めていきたい」と力強く訴えた。
なお、役員の任期満了に伴い、辞任した横山会長に代わり、会長代理の大崎博之氏(東京大学教授)が新たに会長へ就任。会長代理には小野亮氏(東京大学教授)が就任した。
ネット販売トラブルに対する法改正を経産省製品安全課課長補佐が講演
続いて行われた講演では、経済産業省の佐々木文人氏が「改正製品安全4法による、インターネット取引の拡大への対応等について」と題し、拡大するインターネット取引における課題解決へ向けた取り組みについて説明を行った。
インターネット取引の拡大に伴い、海外事業者がオンラインモールをはじめとする取引デジタルプラットフォーム(取引DPF)を利用するなどして国内消費者に直接販売する製品について、製品の安全性に(法的)責任を有するべき輸入事業者が存在しないといった課題に対し、「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律」が令和6年6月26日に公布され、本年12月25日に施行される。
PSマーク対象製品を国内消費者に直接販売する海外事業者を「特定輸入事業者」として新たに規制の対象に位置付け、現行の製造・輸入事業者と同様に届け出を可能とし、技術基準への適合等を義務付けたもの。
特定輸入事業者は、輸入事業者と同様に製品安全4法の規制対象となるだけでなく、規制の実効性を確保する観点から、「国内管理人の専任」「取引DPF提供者に対する出品削除要請等の創設」「届け出事項の公表制度の創設」「法令等違反行為者の公表制度の創設」の措置が講じられる。製品安全4法の対象となる取引DPFについては、インターネットモールやインターネットオークションが想定され、所在の国内外は問わず、日本の消費者向けに取引の場所が提供されているかで判断される。
専任された国内管理人に対しては、自主検査記録の写しの提供、(特別特定製品のみ)適合性証明書の写しの提供などが求められ、国が立ち入り検査等によって国内管理人へ迅速に確認を行うことで、被害の発生および拡大を防止すると説明した。
出席者からは、国内管理人には定期的に報告が求められているが、その期間が一年であること。罰則が設けられているものの、その金額が30万円であることなどに懸念を示す声が聞かれた。
前者について佐々木氏は「1年に1回という報告義務を短くすることは、今のタイミングではなかなか難しいが、対策として、例えば、特定輸入事業者が選任する国内管理人は届け出ごとに1社だが、国内管理人からすると何人も特定輸入事業者を抱えてもよいので、モール自身に国内管理人になっていただく、日頃モールに出店する海外事業所をサポートしている団体に国内管理人なっていただくというような形で安全性を担保していきたいと思っており、今、国内管理人の掘り起こしにも取り組んでいる」と説明した。
また、佐々木氏は冒頭の来賓挨拶において、「製品安全については、国による法執行や関連制度の運営管理のみによるものではなく、民間事業者による製品安全確保に向けたたゆまぬ努力、それを下支えする第三者認証制度などが一体となり、初めて実現できるものでと認識をしている」と語り、「引き続き、経済産業省の取り組みにご理解をいただき、電気用品の安全確保という共通の目的のために取り組んでいきたい」と協力を訴えた。
なお、インターネット取引に関するトラブルでは、被害者は利用する機会が高い若年層に多いことから、現在力を入れているSNSを活用した啓発の取り組みにも、さらに力を入れていく考えを示した。



