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液晶テレビで増えてきた注目技術

4K/有機ELに続く高画質技術「量子ドット」の魅力とは?REGZAが徹底解説

2022/08/26 編集部:杉山康介
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昨今耳にすることも増えてきたであろう、4K液晶テレビに搭載される技術「広色域量子ドット」。だが、Mini LEDなどに比べるといまいちピンとこない、よく分からないという方も多いのではないだろうか。

このたび、この量子ドット技術を用いたテレビを展開するTVS REGZAが、同技術についてメディア向け説明会を開催。本記事ではその内容をレポートしていこう。

REGZAが量子ドット技術の説明会を開催

そもそも「量子ドット」とは?



量子ドットは、近年4K液晶テレビに採用される事例が増えてきた高画質技術のひとつ。さまざまなメーカーの動向を見るとMini LED液晶テレビでの採用が多いが、TVS REGZAでは今年、通常のLEDバックライトと量子ドット技術を組み合わせたモデル「Z770L」「Z670L」を発表している。

同社は、きめ細やかさ/自然な色/コントラストを「高画質を決定づける3大要素」として挙げ、きめ細やかさは4K、コントラストは有機ELやMini LEDが実現すると説明。残る自然な色を実現する技術こそが「量子ドット」であり、4Kや有機ELに続くテレビの新たな高画質技術に位置付けているという。

量子ドット技術は4K/有機ELに続く高画質技術だとしている

果たして、量子ドット技術がどのようにテレビの高画質化に貢献するのか。それを紐解くにあたって、まずは液晶テレビの構造を簡単に説明しよう。

ものすごくかいつまんで言うと、従来の液晶テレビは白色LEDバックライトで白い光、つまり光の三原色である赤/青/緑(RGB)を全て含んだ光を放出し、液晶パネルのRGBカラーフィルターで必要な色を取り出すことでカラー映像を作り出している。

それに対し、量子ドット技術を搭載する液晶テレビは、ブルーLEDバックライトと液晶パネルとの間に「量子ドットシート」なる物体をサンドした構造になっている。

量子ドット採用液晶テレビのイメージ

「量子ドット」は半導体微粒子を数百 - 数千個集めた結晶体で、光がこれにぶつかると波長が変化、つまり違う色の光が発生する。発生光は量子ドットのサイズによって変わってくるため、理屈的には量子ドットのサイズを変えることでさまざまな色を作り出せるわけだ。

量子ドットの仕組み

ここから「青い光で色純度の高い赤い光を発生させるサイズの量子ドット」「青い光で色純度の高い緑の光を発生させるサイズの量子ドット」を作り、混ぜ込んでシート状にしたものが、先述の量子ドットシートである。

バックライトの光が赤ドットにぶつかれば赤い光、緑ドットにぶつかれば緑の光、どちらにもぶつからなければ青い光が出てくるので、量子ドットシートを通すことで色純度の高いRGB光に変換し、カラーフィルターに送り出すことができる。さらにTVS REGZAの場合は「広色域量子ドットシート」を用いるため、高い色純度と広色域を実現できるという。

この日のために自作の模型を用意いただいた。写真左のように量子ドットシートには赤ドット、緑ドットが練り込まれており、ここで生まれたピュアなRGB光がカラーフィルターを通るため高い色純度を実現するという

ちなみに量子ドット素材は他メーカーのものを使用するが、シートの製造は自社で行うとのこと。そのためどのサイズの量子ドットを使うか、どのようなレシピで配合するかなどで違いが出てくるそうだ。

量子ドットを活かすにはバックライト/エンジンなども重要



「ブルーLEDと液晶パネルの間にシートを挟み込む」と、言葉にすると非常にシンプルな構造ではあるが、当然ながらそう簡単にはいかない。

量子ドットシートにより、ピュアなRGB光を生み出すことができる

通常の液晶テレビより広い色域を実現

同社によると、このポテンシャルを引き出すためにはまず高輝度なバックライトが必要だという。それこそMini LEDは数が多い分輝度も高くなってくるため最適だが、従来の液晶テレビくらいの輝度のパネルでは「あまり違いが感じられないのでは」と語っていた。

また、映像エンジンでのコントロールも重要になってくる。特に人肌をはじめとした中間色は、エンジン側でしっかり制御しないと不自然になってくるとのこと。さらにパネル自体の性能も求められてくるため、テレビ自体の性能がしっかりしていてこそ、量子ドット技術を使う意味が出てくるようだ。

実際に今年の新ラインナップから、量子ドット搭載の「Z770L」と非搭載の「M550L」を並べて比較してみると、明らかに違うことがわかる。先述のように量子ドットには高輝度バックライトが求められるため、根本的に輝度が違うこともあるが、Z770Lは圧倒的に “鮮やか” だ。M550Lも十分に高いレベルのテレビなのだが、こう横並びにしてしまうと「量子ドットの方が欲しいな」という気持ちになってしまう。

左がM550Lで右がZ770L。写真では分かりにくいかもしれないが、鮮やかさが大きく違ってくる

担当者曰く、同社の量子ドット搭載テレビの色域はテレビ放送の色域規格「BT.709」を超え、デジタルシネマ用規格「DCI-P3」を “ほぼ100%” カバーしているという。また、BT.709のコンテンツもエンジンで色域を復元し、豊かな色彩で視聴できるとしている。



同社の担当者は「これから通常のバックパネルで量子ドット技術を搭載したテレビが増えてくるのではないかと思っている」と語る。昨今はMini LEDの液晶テレビが頭角を表しつつあるが、どうしてもそれなりの価格になってくる。一歩で量子ドットは、Mini LEDよりは低コストなため、高画質でお手頃価格なテレビとして、ユーザーの選択肢も広がるのではないかと考えているという。

レグザの通常バックパネル/量子ドット技術搭載テレビで最も安価なのは、43型の「43Z670L」(想定実売価格:税込165,000円前後)だ。確かに16.5万円なら検討できる範疇のように思えるし、来年、再来年と世代を重ねてラインナップの拡充と低価格化が進んでいけば、かなり身近な存在になってくるのではないだろうか。液晶テレビが面白くなってきた今、量子ドットにも注目していきたいところだ。

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