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リソース投入の考え方を抜本的に見直し

パナソニック2018年度決算発表。ソリューション型ビジネスを進化、“くらしアップデート”を実現できる会社へ変革

2019/05/09 Senka21編集部:竹内純
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パナソニックは、2018年度決算概要を発表。同時に、2019年度を初年度とする新中期計画について津賀一宏社長が説明を行った。

パナソニック(株)代表取締役社長 CEO津賀一宏氏

2018年度連結業績は、売上高は対前年度比微増の8兆27億円。営業利益/純利益は、車載、インダストリアル、家電の各分野の収益悪化や事業構造改革を計上したが、年金制度の一部見直しや資産売却等の一時的要因により、それぞれ同108%の4,115億円、同120%の2,841億円と増益。セグメント別ではすべてにおいて営業利益が減益となった。

2018年度連結業績。車載やインダストリアルの収益が悪化

新中期戦略の初年度となる2019年度の業績見通しは、売上高は対前年度比99%の7兆9,000億円、営業利益は同73%の3,000億円、当期純利益は同70%の2,000億円とした。

2019年度連結業績見通しは事業ポートフォリオ改革や事業構造費用で減収減益

■ポートフォリオを改革

前期3カ年について津賀社長は「車載事業を軸に持続的成長を目指したが、低収益に停滞した」と振り返る。その要因を、高成長事業においては「成長牽引役となる車載の収益性が悪化したこと」、安定成長事業では「収益を下支えするはずの家電や住宅の収益性が低下したこと」とし、さらに収益改善事業においては「構造改革に対するスピード感が不十分だった」と説明した。

前期3カ年は増収を果たすも見通しを大幅に下回った

新中期戦略では、それら反省を踏まえ「ポートフォリオマネジメントの実行」「経営体質の徹底強化」「目指す姿“くらしアップデート”」の3点をポイントとして掲げる。

新中期戦略で掲げた3つのポイント

新中期ポートフォリオの事業区分においては、従来は「高成長事業」「安定成長事業」「収益改善事業」としていたが、「高成長事業で売上げ成長を果たすものの、収益が伴わない課題が顕在化した」と指摘。また、安定成長事業では競争力が低下し、持続的な利益創出が困難な状況にあった。

新中期計画においては改めて「基幹事業」「再挑戦事業」「共創事業」と区分する。事業の方向性を抜本的に見直すとともに、共創事業においては、事業発展を自社リソースにこだわらない姿勢に転換する。

新中期ポートフォリオによる新しい事業区分

様々な社会課題の解決を目指す「基幹事業」は、住宅の快適性を非住宅空間に実現する「空間ソリューション」、労働現場の生産性課題を革新する「現場プロセス」、それらをテクノロジーの進化で後押しする「インダストリアルソリューション」の3つで構成。ソリューション型の事業拡大を目指す。

社会課題解決を目指す「基幹事業」

「再挑戦事業」には、オートモーティブと車載電池を位置付けた。「自ら先頭に立ち、事業の立て直しを図る」と収益性改善への決意を示す。車載用角型電池ではトヨタ自動車と合弁会社を設立。両社の強みを融合し、新たなビジネスモデルにも挑戦する。

オートモーティブと車載電池は「再挑戦事業」に

地域・パートナーとの共創で競争力を磨くのが「共創事業」。家電では日中連携を軸に競争力強化を目指す。「日本のパナソニックの家電が持っていないものを持つことができる領域。IoTも家電の売り方も日本とは違うものが求められる」と指摘。「中国でしっかりと家電ができることが条件になる。日本の強みと、中国で培う強みを掛け算すると、家電の競争力は間違いなく上がる」との考えを示した。住宅では街づくり事業に関するトヨタ自動車との合弁会社設立を本日発表。街全体でのくらしの新たな価値創出を目指す。

自社リソースにこだわらない「共創事業」と位置付けた家電と住宅

これらポートフォリオ改革に加え、経営体質を徹底強化。1,000億円の利益貢献へ固定費を削減。事業の選択と集中を加速する。経営指標は、新中期戦略の最終年度となる2021年度以降、基幹事業ではEBITDA成長率 5〜10%、EBITDAマージン 10%以上、全社 ROE 10%以上を、安定的に達成できるグループ経営を目指す。

最後に津賀社長は同社の目指す姿“くらしアップデート”について、「BtoCだけでなく、くらしを支えるBtoB事業を通じてお役立ちを図るもの。アップデートとは、お客様にとって最適なモノやサービスを提供し続けること。これからの3年間はBtoB事業を中心とした基幹事業において、ソリューション型ビジネスを進化させることに注力する。こうした取り組みを積み重ねることで、BtoCを含め、くらしアップデートを実現できる会社へと変革していきたい」と力を込めた。

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