「docomo IoT製造ライン分析」

ドコモ、中小製造業向けIoTサービス提供開始。低コストで生産ラインの課題を解決

Senka21編集部・竹内純
2019年04月09日
NTTドコモは、製造機械の入れ替えなしに、製造ラインの稼働状況をリアルタイムに可視化、分析できる中小製造業向けサービス「docomo IoT製造ライン分析」の提供を4月8日に開始した。

本サービスは、安価な外付けの加速度センサーを製造ラインに取り付け、稼働データを収集してクラウドへ送信。収集されたデータを可視化・分析し、生産量、ボトルネック工程、チョコ停(製造機械の停止や空転など短時間の停止が繰り返し発生している状態)・ドカ停(製造機械の停止や空転などの長時間にわたる停止が繰り返し発生している状態)の把握を可能とし、大きな課題である生産性の改善を実現できる。

「docomo IoT製造ライン分析」は、「稼働データ収集キット」「稼働可視化・分析システム」、そして、データ分析結果をもとに製造現場の課題を特定し、改善に向けた打ち手を提案する「課題特定・打ち手提案」(オプションサービス:2019年夏頃から提供開始予定)の3つのサービスで構成される

大企業では72%まで活用が進むデジタル技術だが、深刻な人手不足や製造コストの上昇で経営環境が厳しさを増す中小製造業では、その必要性が叫ばれながらも導入は一向に進展せず、わずか14%にとどまるのが実情だ(一般社団法人 日本情報システムユーザー協会「企業IT動向調査2018」より)。

NTTドコモではその要因を、「設備入れ替えによる高額な費用負担」「デジタルに対する人材不足」「投資対効果の不明瞭さ」の3点にあると指摘する。今回発表されたシステムは、いろいろな製造業の形態がある中で、加工・組み立ての工程で装置が動くことに着目したのがポイント。安価な外付けセンサーを取り付けるだけでよく、既存設備の入れ替えなど高額な設備投資は不要。可視化されたデータ分析結果がモニタリングできるため、デジタルに精通した人材も要らない。年間約60万円の投資で数百万円の収益改善が見込まれ、投資対効果も明瞭で、3つの課題を解消できる。

本システムは、中小製造業のIoT活用の障壁となる課題を解消する

利用料金は、稼働データを収集する加速度センサーやその設置作業などの初期費用が25万円(センサー5個の場合、10個の場合は40万円)、月額利用料金3万円/月(センサー5個の場合、10個の場合は5万円)となる。

製造ラインに取り付けるセンサーの大きさは約3cm四方、重さは約10g

本サービスの提供にあたり、NTTドコモでは横浜銀行とビジネスマッチング契約を締結。中小製造業の事情に精通する横浜銀行が製造業の見込み客をNTTドコモへ紹介し、NTTドコモが顧客へサービスを提案するビジネスモデルを構築。今後、中小製造業向けとなる本サービスを、全国の地方銀行との連携を強化しながら展開を進め、2023年度までに15行の地方銀行と提携、約3,000社の契約者数獲得を目指す。

同社執行役員 IoTビジネス部長・谷直樹氏は「他にはない、より簡単・安易に導入できるシステム」と強みを強調。「中小製造の発展に貢献し、地域活性化、社会課題の解決に取り組んでいく。製造業におけるIoT導入による生産性向上にはまだまだ余地があり、今後、さまざまなフィールドにおいてお役立ていただける」と意気込みを示した。

(株)NTTドコモ 執行役員 IoTビジネス部長・谷直樹氏

本サービス提供に先立ち、先行導入して実証実験を行った大草薬品では、製造ラインの稼働率が、従業員の手入力の計測では92%と改善余地はないかに思われたが、センサーを取り付けた実測では70%と約20ポイントも低いことが判明。定量データを元に、生産能力10%アップが見込まれる。

本システムを先行導入した大草薬品では、センサーによる実測で稼働率が20%以上低いことが判明

同社・大草貴之社長は導入を決定した理由として、「安価であったこと。既存生産設備をいじらず外付けセンサーを取り付けるだけと、導入が手軽だったこと。そして、常に経営課題を共有する横浜銀行さんからの紹介であったこと」の3点を挙げた。「今までわからなかった課題が見えてくる。現場担当者とも建設的な議論ができる」と導入効果を訴えた。

大草薬品(株)代表取締役社長・大草貴之氏

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