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ドライバーやアコースティックを見直して音質向上

【ヘッドホン祭】フォステクス、平面駆動型ヘッドホン「TH500RP」披露 − 8月上旬発売、7.4万円

公開日 2014/05/10 15:01 ファイル・ウェブ編集部
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TH500RP
フォステクスカンパニーは、かねてよりアナウンスしていた平面駆動ヘッドホンの新モデル 「TH500RP」を、本日「春のヘッドホン祭 2014」にて発表した。8月上旬の発売を予定しており、価格は74,000円(税抜)。


TH500RPのスペック

HP-A8やHP-A4と組み合わせて試聴を行うことができた
1974年に同社が発売した日本初の平面駆動型ヘッドホン「T50」を踏襲したデザインを採用。ハウジングはアルミ製。「RP(Regular Phase)方式」を採用した、オープンRPダイナミック型の平面駆動ドライバーを搭載している。

1974年に同社が発売した日本初の平面駆動型ヘッドホン「T50」

再生周波数帯域は20〜30,000Hzで、感度は93dB/mW、最大入力は3,000mW。インピーダンスは、従来モデルより下げた48Ωとした。本体質量は約380g(コード含まず)で、ケーブルは導体に日立金属製のHiFCを使用し、長さは3m。両出しタイプで、着脱非対応となる。またプラグはφ6.3mm標準プラグで、スリーブにはTH600と同じく真鍮を使っている。

ヘッドバンドはスライド式調整

イヤーパッドには卵由来のプロテインを配合した合皮を採用

プラグはφ6.3mmで、スリーブにはTH600と同じく真鍮を使っている。

前述のとおり、日本で初めて平面駆動型ヘッドホンを発売したフォステクス。DAPの流行により、能率が低くDAPでは鳴らしきれない平面駆動型ヘッドホンは一時下火となったが、「HP-A8」など様々なヘッドホン用のアンプが登場。「平面振動板を、もう一度きちんと鳴らす体制が整ってきた」(同社新町氏)ということで、今回「TH500RP」の発売に至ったという。

フォステクス カンパニー 新町政樹氏

ドライバーやアコースティックを見直して音質向上
測定器で徹底解析→見直しを実施


発表会では、同社の山口氏が「TH500RP」の製品技術解説を行った。


フォステクス カンパニー 山口創司氏
昨今各社から平面駆動型ヘッドホンが登場してきているが、ドライバーの呼称はメーカーによってまちまち。「TH500RP」に搭載されたドライバーは、正確に言うと「平面振動板かつ全面駆動型のダイナミック」方式だという。コンデンサー型ドライバーではないので専用アンプは不要、磁石と磁気コイルで磁界を発生させて振動を起こしているので、ダイナミック型となる。また、既存の「T50RP」はセミオープン型だったが、「TH500RP」はオープン型とした。この理由は「今回のドライバーであればオープン型の方が綺麗な音が出るから」だという。

「TH500RP」に搭載された平面駆動ドライバーは、山型パターンにプリントされた磁気回路の両面を、棒状の磁石で挟み、磁界を発生させ振動を生み出し音を出すしくみ。形状は一般的な丸型ではなく、スクエア形状を採用した。棒状の磁石を使用できるため、丸型と比べ磁界を均一にできるとのこと。開発に当たっては、測定器を使った徹底解析を行ったとという。

フォステクスの平面駆動ドライバーの心臓部。スクエア形状を採用している

「通常のダイナミック型ドライバーは前後に大きく動くため、不要振動や歪みが発生する問題があった。しかし全面駆動型ドライバーは振動板の一部分だけではなく全体が振動するので、共振点が分散できることがメリットだとよく言われる。今回TH500RPを作るにあたり、ドライバーをもう一度解析しなおしてみた。すると、“共振点が分散できる”というよりも、非常に小さい振幅でも音にできるため“共振点を生みにくくなる”のだと分かった。振動板がフラット形状のため音の立ち上がりがスムーズで収束もきれいになるのもポイント」と、山口氏は平面駆動型ドライバーのメリットを語る。

また、能率が従来モデル(50Ω)から48Ωに向上。これは前述のとおり測定器による徹底解析を実施し様々な見直しを行ったことに加え、磁気回路の印刷技術が向上し、正確で細かい印刷ができるようになったのも要因のひとつだという。

ドライバーのほか、アコースティックな部分での音質チューニングも見直し。TH900の開発で得たノウハウを活かし、ハウジング内の音の流れや空気の逃がし方(図中・青い矢印の部分)などを工夫したという。ドライバーに貼るスクリーンや、スポンジの密度、孔の大きさなど音が抜ける部分の素材も刷新したとのこと。


直接音(赤い矢印の部分)に関わるドライバーについてはもちろん、ハウジング内の音の流れや空気の逃がし方(図中・青い矢印の部分)なども工夫したという。
「以前のモデルは少し音がこもったり高域の伸びが足りない印象があったが、TH500RPはこの点をアコースティックなチューニングによって改善。さらにドライバーやケーブルのセレクト、イヤーパッド内の空間と耳の距離などでも音の調整をおこなった」(山口氏)

なお同社は今後の展開についても意欲的で、「TH500RP」の上位/下位モデル、ケーブル着脱式モデルなど様々な製品について「出したいと思っている」という。山口氏は「TH900は1からドライバーを開発したが、TH500RPについてはまだ突き詰められる余地がある。TH500RPの開発で分かったこともあるので、かなり先になるかも知れないが、上位モデルは出したいと考えている」と話していた。


野村ケンジ氏/佐藤純之介氏が語るファーストインプレッション
「全帯域で解像感が高く、フラットな音」


発表会にはスペシャルゲストとしてAVライターの野村ケンジ氏が登場。ひとあし先に「TH500RP」の音を体験した感想について、「まず最初に聴いたとき、すごく自然で脚色のない音だと感じた。演出を極力排しているし、肩の力を抜いてフラットに再生されている。なのに、優しいコシの柔らかい音ではなく、ダイレクト感もある。これがあと20年早く出ていれば、“モニター調”というものへの偏見がなくなっていたんじゃないかと思った。帯域によってどこが得意かというのがないというか、どこをとってもしっかりした解像感を確保していて、バラツキが感じられない素直さが、音のストレートな表現に結びついているのだと思う。『ラブライブ』のハイレゾを試聴してみたが、9人の声の特徴が良く出ているし、中の人の表情が見えるよう。“客観的な目線の音”を聴かせてくれるので、生のバスドラムに打ち込みのバスドラムの音を重ねているのが分かったりなど、新たな発見がある」と語った。

野村ケンジ氏

さらに、Lantisの制作部門アイウィルの佐藤純之介プロデューサーもビデオメッセージで「TH500RP」のインプレッションを語った。

「最近のヘッドホンは低域や高域の解像度が高いモデルが沢山出てきているが、このヘッドホンは全体的に解像度が高いというか、被写界深度が帯域によってバラツキがないと感じた。非常にバランスが良く、中域も高域も低域も、しっかり解像度が高くてフラット」と語る佐藤氏。


佐藤純之介氏
「ポール・マッカートニー『NEW』(ハイレゾ版)、これは音圧がすごいアルバム。音圧が強い部分でも破綻せず、迫力とダイナミックレンジ両方を感じることができた。また、ランティスのハイレゾ音源も聴いてみたところ、我々にとって非常に重要な中域=歌まわりの解像度が高いと感じた。歌を前に聴かせるためには、単純にボリュームを上げるだけだとバランスが悪くなってしまい限界がある。なのでバックのオケに対して歌にかけるリバーブを少なくして、立体的に前に出るよう工夫している。中域の表現力が高いと、歌の後ろ側の音にかけている細かな表現や処理がきちんと伝わってくる。意図をもって作ったところが、ちゃんと伝わる。それが『TH500RP』を使ってみていちばんの驚きだった」(佐藤氏)

これを受けて山口氏は「平面駆動型は良くも悪くも通常のダイナミック型と比べて振幅がとても小さい。“フラットな音”と評していただけるのは、過剰な振幅がないので、耳につく音がないのに起因しているのでは。低域の量感は少ないと感じるかも知れないが、タイトで“質が良い低音”を楽しめると思う。アンプとの組み合わせを考えてみるのも面白いかも。アンプによる音の変化は、通常のダイナミック型モデルよりも大きいと思う」とコメントしていた。


「TH500RP」試聴ブースには来場者が列をなす
BAドライバー搭載イヤホン「TE-07BA」も参考出展


発表イベントの後は、6階エレベーターホール内のブースに5台の「TH500RP」を用意した試聴ブースを設け、本機の音をアピール。ブースには大勢のユーザーが列をなしており、本機への期待度の高さをうかがうことができた。

「TH500RP」試聴ブースには多くの来場者が並んでいた


参考出展のイヤホン「TE-07BA」も登場していた。こちらは金属削り出し筐体にBAドライバーを組み合わせたモデル。フォステクス独自コネクタによるリケーブルにも対応する。年内の発売を予定しており、価格は未定だが「既存モデル(TE-05)よりは高くなる」(同社説明員)とのことだった。また、発売時には本日展示されていたものからケーブルが変更される予定だという。

参考出展されたBAイヤホン「TE-07BA」

ケーブルは着脱式


前段に真空管を搭載するポータブルヘッドホンアンプ「HP-V1」や、ポータブルヘッドホンアンプ「HP-P1」などと組み合わせて試聴することができる

自分好みのデザインを選べる「KOTORI」シリーズもアピール

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