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慶大の小池教授と共同開発

東洋紡、液晶の高画質化を実現する超複屈折フィルムを開発

公開日 2013/02/06 13:04 ファイル・ウェブ編集部
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液晶パネル視認性の比較画像。右が液晶ディスプレイに超複屈折フィルムを装着した状態
東洋紡(株)は、従来から販売してきた液晶ディスプレイ用のベースフィルム「コスモシャイン」シリーズの新製品として、超複屈折タイプの新機能フィルムを開発した。

従来、液晶ディスプレイに使用するフィルムは、複屈折がゼロの部材しか使用できないというのが常識だったが、それを覆す新たな発想を採用したフィルム。今回の開発を背景に、今後コスモシャインは、ベースフィルムとしてだけでなく、液晶ユニット用の部材としても展開していくという。

超複屈折タイプの新フィルムは、慶應義塾大学 理工学部・大学院理工学研究科の小池康博教授と共同研究して開発したもので、ポリエステルを原料としている。小池教授が「LED光源の特徴と超複屈折フィルムの技術を組み合わせることで従来にない液晶ディスプレイができる」というアイデアを得て、新フィルムの開発を東洋紡と共同で進めた。

具体的な特徴としては、延伸フィルムでありながら、複屈折による着色(虹ムラ)を解消することが可能。虹ムラとは、フィルムにより発生した位相差により、虹のような色ムラが発生する現象。これによって映像の再現性が劣化する。従来のフィルムの位相差は約1,000〜3,000nmであるのに対し、超複屈折フィルムは約10,000nmの位相差を示す。位相差を高めることで、逆に映像劣化を抑えることが可能になる。

また液晶から発せられた光の偏光を解消し、より自然光に近づけることができる。さらに様々な素材との優れた接着性をもち、応用範囲が広いことも特徴だ。東洋紡では、主な使用用途として「液晶画面の視認性改良フィルム」「PVA偏光子保護フィルム」「タッチパネル用各種ベースフィルム基材」の3点を挙げている。

生産は、現在同社が保有している光学用フィルムの設備を一部改修することで可能。すでに昨年、同社フィルムの主力工場である犬山工場の1ラインを改修し、量産体制を整えた。生産量は1ラインあたり約1,000万m²/月。今後、市場状況に応じて増産は可能とのことで、2015年には売上高150億円を目指す。

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