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シャープ、IGZOパネルの量産化を開始 − 32型4Kパネルなどサンプル品も公開

公開日 2012/04/13 17:17 鴻池賢三
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本日シャープは、酸化物半導体(通称「IGZO」)を採用した新しい液晶パネルの量産化について発表。併せてサンプル品の公開を行った。

公開されたサンプル品。モニター向けの32型(3,840x2,160画素/140ppi)モデル

高精細ノートPC向けの10型(2,560x1,600画素/300ppi)モデル

「IGZO」は、インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素の元素記号の頭文字を取った通称。従来のアモルファスシリコン半導体を使用した液晶パネルに対して開口率を高める事ができ、高精細化、低消費電力を始め、応用によりタッチパネルの高感度化に寄与するという。

電子移動度が速いのがIGZOの特徴だ

IGZOでは高精細化が可能。アモルファスシリコンに比べ、同等の透過率で2倍の高精細化が可能という


消費電力が低いのもIGZOの特徴で、消費電力は1/5〜1/10に抑えられるという

タッチパネルの高性能化にもIGZO技術は寄与する


IGZO液晶のまとめ

IGZOを採用した液晶パネルの特徴

IGZOを使用した液晶パネルの量産化は世界初で、画面サイズは3種。モニター向けの32型(3,840x2,160画素/140ppi)、高精細ノートPC向けの10型(2,560x1,600画素/300ppi)、タブレット端末向けの7型(800x1,280画素/217ppi)である。

狭額縁化も可能となる

タッチパネルの高性能化のデモ

既に亀山第2工場で生産を開始しており、7型は量産品を出荷済み、32型と10型はサンプル出荷の段階にあると言う。

同社が目指す事業領域

IGZO液晶の応用商品への展開

登壇したシャープ、ディスプレイデバイス事業本部長の方志教和氏は、今後ますます普及が見込まれるタブレット端末の分野において、バックライトの低消費電力化によるバッテリーの持続時間の改善が搭載製品の付加価値になるとの考えを示した。

登壇したシャープ、ディスプレイデバイス事業本部長の方志教和氏

世界で初めてIGZO液晶の生産を開始した

IGZOパネルの供給は、シャープ内に限定せず、国内外のセットメーカーに広く供給される。

記者から鴻海への供給、およびApple製品への搭載などについて質問が出たが、「顧客情報に関すること」とのことで一切回答は行われなかった。また、32型以上の供給についても未定とした。

会見後の談話として、IGZOはアモルファスシリコンを使用する現在の液晶パネルよりも生産性が高く、将来性のある技術と同社は説明。今後同社のパネルはIGZOへのシフトを加速させることになりそうだ。

IGZOと非IGZOパネルの消費電力の比較デモ

その他、質疑応答の内容は以下の通り。

Q. IGZOの研究に着手した時期は?  
A. 2002年だ。

Q. 出荷遅延があったが、理由は?
A. 安定した量産と顧客の要求を満たすためだ。

Q. 亀山第2工場での、IGZOの生産比率は?
A. 2012年下期に7割〜8割を予定している。

Q. パネルセットとして見た場合、バッテリーの持ち時間の向上はどの程度か?
A. セットの設計方針によるが、おおむね2倍程度だろう。

(鴻池賢三)

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