12年度業績の下方修正も発表

パイオニア、新・中期事業計画を発表 − 医療分野へ参入、他社協業も加速

ファイル・ウェブ編集部
2011年11月30日
パイオニア(株)は29日、2012年度3月期の連結業績予想と、新・中期事業計画についての説明会を開催した。

説明会で登壇したパイオニア 小谷進社長

先日2Q連結業績を発表した際、タイで発生した洪水を受けて通期連結業績予想を精査中という旨のアナウンスがあった(関連ニュース)。精査後の2012年度3月期の連結業績予想について小谷社長は「非常に残念ながら、下方修正する」とコメント。売上高4,400億円、営業利益110億円、経常利益75億円、当期純利益10億円と修正し、当初予想よりも売上は約300億円、営業利益は約65億円減との見込みになった。

下方修正された2012年度連結業績予想

当初業績予想との比較


今回発表された修正業績予想のポイント
タイの洪水では、同社カーエレクトロニクス事業の主力2工場が被災し、現在操業停止中。しかし既に中国や日本、マレーシアでの代替生産を始めたほか、設計や部品の変更などによる代替部品採用などを行い、影響を最小限に抑えるよう努力している最中だという。また、11月25日には、被災工場から移動した機材を使ったサテライト工場で代替生産も開始された。カーエレクトロニクス製品の生産減・販売減、そして代替生産に伴う費用などの問題は、第4四半期に増産を行うこと、経費削減をすることで挽回する計画とのことだ。

タイの洪水に於けるパイオニアの被害


カーエレクトロニクス事業の業績予想内訳

ホームエレクトロニクス事業の業績予想内訳
「構造改革を行い、グローバルの生産拠点の統廃合を行ってきたが、今回はそれがある意味裏目に出てしまった」(小谷社長)。タイの2工場では、カーエレ関連製品の約半分を生産していたという。

小谷社長はまた「正常に戻るにはもう数ヶ月かかる見込み。復旧に当たっては、単なる現状復旧ではなくグローバルの生産戦略をもう一度考えなおす必要があるだろう。洪水の影響はできる限り当期中に対応を終え、来期からは新・中期事業計画に基づく成長路線に戻す計画だ。4Qでの増産によりリカバーを図る。来期以降に残らないよう、全力で努力したい」と力を込めて語った。

■医療機器分野参入など成長フェーズ移行へ向けた施策が多数盛り込まれた新・中期事業計画

新たな中期事業計画について「昨年5月に中期事業計画を発表したが、さまざまな状況の変化により、変更が必要となった」と切り出した小谷氏。「今回の新・中期事業計画により毎期安定的かつ確実な増収・増益実現を目指す」とする。2014年3月期には売上高5,700億円、営業利益310億円、純利益210億円を目指す。

ここ数年のパイオニアの業績と今後の予想

「企業理念『より多くの人と、感動を』は、パイオニアの存在理由でもあり、普遍的なもの。これからも大切に守っていきたい、そして2015ビジョン『街でも家でも車でも、笑顔と夢中が響き合う』は引き続き掲げてゆく。これを実現するための道筋が、新・中期事業計画であると考えている」という。

新・中期事業計画の骨子は「既存事業の堅実な成長」「新興国市場への進出と事業拡大」「新規事業の開発」「戦略的アライアンス戦略の推進」の4点。

「既存事業の堅実な成長」面では、カーエレクトロニクス事業で市販事業における継続した利益拡大と、OEM事業における売上拡大・利益性向上を目指す。2011年度は5.5%だった営業利益率を、2014年度には6.6%まで引き上げることが目標という。カーオーディオはブラジルや中国などといった新興国中心に、そしてカーナビゲーションはグローバルで事業拡大を図る考えだ。

既存事業の堅実な成長を図る

また、カーCD/AV製品では、ボリュームゾーンに豊富なラインナップを揃えるほか、独自技術「MIXTRAX」などによる“パイオニアならでは”の製品でユーザーに価値を提案していくという。

カーCDなどを堅実に伸ばすほか、新たな価値提案なども行う

カーナビは地域の特性に合わせた製品を積極展開

ホームエレクトロニクス事業では、市場創造型製品を加えたラインナップ拡充、中国での協業を始めとした新興国における売上拡大、ODM活用など効率的な製品開発による収益性改善を目指すとしている。

ホームAVではラインナップ拡充や新興国での売上拡大を目指す

「新興国市場への進出と事業拡大」面では、2011年度は中国、2012年度はブラジルをターゲットに事業拡大を図る。2013年度以降は、インド・ロシア・ASEAN・中南米・中東・アフリカなどでの展開を視野に入れているという。「2014年度までに、2011年度比較で売上高55%アップを狙う」(小谷氏)。

事業拡大にあたっては、各地域ごとに戦略を分け、地域ニーズを重視したマーケティング・製品投入を行う。現地企業などとの戦略的アライアンスも積極的に推進し、確実な展開を図っていくという。2015年度には、中国で売上高1,000億円規模、ブラジル・中南米で売上高550億円規模までの成長を目標にしているとのことだ。

新興国での売上拡大を目指す

各地域ごとに戦略を分け、地域ニーズを重視したマーケティング・製品投入を行う

「新規事業の開発」面では、「カーエレクトロニクス事業・ホームエレクトロニクス事業に次ぐ第3、第4の事業立ち上げを目指す」と小谷社長は力強く語る。

小谷社長は「新たな需要をもたらす新規事業の創造、そしてそのための投資は大変重要だと考えている」とコメント。既に着手しているNTTドコモと共同開発した「ドコモ ドライブネット」のようなカーAV/ナビとスマートフォンの連携、「STEEZ」のようなAVと異分野の融合による新たな音楽文化創造などを強化していくという。直近の新たな取り組みとしては、音声制御クラウドサービス「Zypr」を11月に発表。「Zypr」は交通情報・Facebook/Twitterなどのソーシャルメディア・カレンダー・天気などのサービスを音声で制御できるというもので、車の運転中でも快適にネットワークの利用ができる。「こちらは既に多くの自動車メーカーから問い合わせをいただいている」とのことだ。

さまざまな要素を融合させた新たな製品の投入を目指す

さらに新規事業として、既に展示会などでも発表されている有機EL照明、自転車関連機器事業、HVT方式スピーカー、EV事業などに加え、「医療・健康機器関連事業」に参入する意向を明らかにした。

有機EL照明など新規分野にも力を入れる

医療機器分野への参入を明らかに。2015年度の本格参入を目指す

「パイオニアならではの映像技術、光技術、音響技術等を活かし、医療・健康機器関連分野へ参入して次世代を担うコアビジネスに育成したい」と話す小谷社長。参入への足がかりとして、高感度撮像技術を活用した「医療用カメラ機器」、光ディスクピックアップの読み取り技術を活用した「小型血流計」などの開発に着手。2012年には開発室を立ち上げ、2015年度の実用化を目指すことが発表された。

各社とのアライアンスを強化し、積極的な展開を行っていくことを表明した

「唐突感があるように見えるかも知れないが、実は既に長い間研究開発に取り組んできたテーマ。様々な製品開発のなかで培った技術を、医療分野にも活かせるのではないかというのがきっかけだった。アライアンスの取り組みや事業規模などについて、今後詳細に検討していきたい」(小谷社長)。

そして、上記の3項目いずれにおいても重要だと位置付けられているのが「戦略的アライアンス戦略の推進」だ。現在本田技研工業、三菱電機、NTTドコモ、シャープなど8社と協業を行っているパイオニア。「結果が既に出ているところも、これからのところもあるが、いずれにおいても協業を積極的に推進していき、新・中期事業計画を達成するための足がかりとしたい」と語った。

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