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新LED技術や「16倍速相当」のBL制御も

ソニー、“BRAVIA”新フラグシップ「HX920」を発売 − 新エンジン「X-Reality PRO」や直下型LED搭載

2011/03/16 ファイル・ウェブ編集部
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ソニーは、液晶テレビ“BRAVIA”最上位「HX920」シリーズを4月下旬に発売する。ラインナップは55V型と46V型の2サイズ。

・「KDL-55HX920」¥OPEN(予想実売価格43万円前後)
・「KDL-46HX920」¥OPEN(予想実売価格35万円前後)

KDL-46HX920

KDL-55HX920(スピーカー内蔵スタンド「SU-B551S」使用時)

これまでの最上位機「HX900」シリーズの後継機で、HX900と同じく「<ブラビア>史上最高画質」を謳っている。

地上/BS/110度CSデジタルチューナーを1基搭載。地上アナログチューナーも1基備える。Wi-Fiを内蔵しているほか、USB-HDDへの録画機能も備えている。

3Dトランスミッターを本体に内蔵。3Dメガネを利用することでフレームシーケンシャル方式の3D映像を楽しむことができる。ただし3Dメガネは同梱していない。

■新映像処理エンジン「X-Reality PRO」を搭載

画質面での最大の特徴は、新映像処理エンジン「X-Reality PRO」を搭載したことだ。

X-Reality PROの詳細はこちらで紹介しているが、EX720シリーズなどにも搭載された「X-Reality」チップと、「XCA7」チップの2チップで構成されたエンジンだ。XCA7チップで、複数枚を解析対象にした、データベース型の超解像処理を行っている。

超解像は、解析対象画素の、同一フレーム内の近接画素を参照して処理を行うものが多い。これを“1枚超解像”などと呼ぶ。これに対してX-Reality PROの複数枚超解像では、文字通り前後のフレームも画素情報も参照し、フレーム間の画素の動きなども解析する。このため処理は重くなるが、精度は大きく向上する。

データベース型超解像処理は、メニュー上では「リアリティークリエーション」と表記される

次に、画素の上下左右や前後フレームの動きを解析した波形データを、ソニーが長年にわたって蓄積した数千種類のデータベースと付け合わせ、最適な映像を創造・復元する。

データベース型超解像処理はマニュアル調整も可能。写真は「精細度」を調整しているところ。100段階での調整が行える

同じくデータベース型超解像処理の「ノイズ処理」を調整しているところ

データベースはHD映像、SD映像、SDのアプコン映像、低品位なSD映像、IPTVなど、画像のクオリティごとにそれぞれ数千種類のデータを用意。このため、元の入力映像の品位にかかわらず、最適な超解像処理が行えることも特徴だ。

さらにXCA7では、SBM for VIDEO(Super Bit Mapping for VIDEO)処理も行う。これは同社製BDレコーダーなどで搭載されているもので、14ビットに変換して内部処理した映像信号を表示する前に低ビット化する際、視覚感度の高い高周波数帯域に量子化誤差を拡散。低ビットでも自然な階調表現を実現する。

このほかX-Reality PROでは、X-Realityにも搭載された「インテリジェントMPEGノイズリダクション」を踏襲。モスキートノイズとブロックノイズの低減効果を高めたほか、ランダムノイズリダクションやドットノイズリダクション処理も行う。

■「インテリジェントピークLED」で画質と薄型化を両立

液晶パネルの解像度はフルHDで、4倍速駆動。バックライトは直下型の白色型LEDを採用し、エリア駆動(ローカルディミング)も行っている。LEDの数、エリアの分割数はともに非公表。

昨年モデルと同様、液晶パネルと前面ガラス板のあいだに貼合樹脂を挟んだ構造の「オプティコントラストパネル」を採用。エアギャップによる乱反射を無くすことで鮮明な映像を実現している。

HX900ではタイル状のバックライトモジュールを使って、画面に対して平行に照射した光を屈折させる方法を採用し、薄型化と光源からパネルへの距離確保を図っていた。HX920は通常の直下型だが、より広範囲に拡散するバックライトを採用したことで、筐体のスリム化と画質の向上を両立させた。46V型の場合、筐体の厚さは3.8cmとなっている。

バックライトブリンキングを活用することでホールド時間を短縮し、さらに動画解像度を向上。同社では「16倍速相当」と説明しており、「MotionFlow XR 960」として訴求する。なお、HX900でもバックライトブリンキングは行っていたが、「同じ方法で比べると約8倍速相当だった」(同社)という。

「MotionFlow XR 960」のイメージ図

バックライトブリンキングを行うと、動画の鮮明度が上がるが、一般的に画面輝度は落ちる。HX920ではLEDの発光を工夫することで、この問題に対応した。

HX920は、消灯時に使っていない電力を、点灯する時に上乗せすることが可能な「インテリジェントピークLED」を搭載。これによりLED点灯時の明るさを上げ、輝度の低下を抑えたという。

インテリジェントピークLEDでは消灯時に使っていない電力を、点灯する時に上乗せすることが可能となる

さらにインテリジェントピークLEDは、画面の明るさだけでなく画質の向上にも寄与する。エリア制御する際、電力を明るく光らせたいLEDに集中させることが可能になり、たとえば暗闇の中のローソクなど、暗い背景の中で明るい被写体がある場合、より明暗差を忠実に表現することが可能になる。

■明るくクロストークの少ない3D映像を実現

インテリジェントピークLEDは、2D表示時だけでなく、3D表示の明るさを向上させることにも大きく寄与。これまでに比べて大幅に明るい3D映像を実現する。

また、3D映像ではクロストークも低減。独自開発の映像書き換え制御チップ「タイミングコントローラー」を搭載し、左右の目の映像切替タイミングを最適化し、低クロストーク化を実現したという。

なお3Dメガネは偏光フィルターを備えないタイプを引き続き採用。照明に起因するフリッカーが出ず、明るさを確保しやすいという利点があるが、画面に対して頭を左右に傾けると正常な立体視を得にくくなる。

■ネット機能強化でFacebookやニコニコ実況に対応

ネット機能も強化し、Facebookとニコニコ実況に対応する。Facebookは4月下旬、ニコニコ実況は今夏にサービスを開始する。Facebookでは自分のアカウントのウォールやニュースフィードのチェックが可能。またニコニコ実況では、視聴中のチャンネルに対するリアルタイムな書き込みを閲覧することができる。なおFacebookは2011年モデルのみの対応だが、ニコニコ実況は、2008年以降に発売したインターネットテレビ機能搭載のBRAVIAで利用できるようになる見込み。

Facebookの表示イメージ。テレビ画面の脇に表示される

同じくニコニコ実況の表示イメージ

また、テレビで紹介されたショップや商品などの情報を調べることが可能なサービス「PocketChannel」からの情報取得にも対応。本機能も2011年発売のBRAVIA限定の機能で、4月下旬に対応する予定。

そのほかビデオオンデマンドサービスでは、ソニー独自の「Video On Demand powered by Qriocity (“キュリオシティ” ビデオオンデマンド)」のほか、YouTube、DMM.TV、U-NEXT、アクトビラなど多彩なサービスの利用ができる。

そのほかSkypeにも4月下旬のアップデートで対応する予定で、ビデオ通話と音声のみ通話がともに行える。テレビ画面を表示しながら通話したり、相手のテレビ視聴状況を確認してから発信することができるなど、機能を工夫している。

Skypeの表示イメージ

またTwitterアプリの利用も可能で、テレビ番組を見ながら画面の右側にTwitterを表示させることができる。さらに「<ブラビア>ネットフォト」も利用できる。

さらに、Gracenoteのデータベースを利用し、テレビ番組で流れている楽曲のアーティスト名や曲名、タイトルなどを調べられる「TrackID」、WAONやEdy、nanaco、Suicaなど電子マネーの残高表示などが行える「電子マネービューワー」なども、EX720シリーズなどと同様に対応している。

スマートフォンによる操作にも4月下旬を目途に対応する。同社製アプリ「メディアリモート」を使用することで、タッチパネルのフリック操作でカーソルを動かしたり、ソフトウェアキーボードを使って文字入力を行ったりすることが可能になる。同アプリはAndroid版とiOS版がそれぞれ用意されている。

■Wi-Fiや人感センサー、USB-HDD録画など機能充実

そのほかの機能面では、USB-HDDへの録画に対応。またWi-Fiも内蔵する。

端子ではHDMI 1.4入力端子を4系統統搭載。そのほかUSB端子は2系統を備え、D-sub 15ピン端子も装備する。

省エネ機能では「インテリジェント人感センサー」を搭載。本体に内蔵したカメラの顔認識技術を利用し、視聴者の状態を判別。視線を外したときのほか、居眠りなどを想定して首が傾いたときなどに、省エネモードに移行させるといった設定が行える。

さらに主電源スイッチを備え、主電源を切ることで消費電力を抑えることもできる。消費電力は183W。

■進化したモノリシックデザインを採用

デザインでは、昨年モデルに引き続き「モノリシックデザイン」コンセプトを継承。テレビが一枚の板に見えるようデザインを工夫している。また、ベゼル部分の狭額縁化も図り、3.6cmとした。昨年モデルは5.3cmだった。

画面を上方に6度傾けて設置する「6度アップワードスタイル」を実現する専用スタンドも用意。昨年の専用スタンドは、テレビ内蔵スピーカーの音を前方に通す構造だったが、今回の新スタンドは総合最大出力40Wの2.1chスピーカーを内蔵する。

スピーカーを前面に備えている

スピーカー内蔵のバー型スタンドは、55V型用の「SU-B551S」、46V型用の「SU-B461S」、40V型用の「SU-B401S」の3サイズを用意。HX920シリーズのほか、他項で紹介するHX820、NX720シリーズでも利用できる。

スピーカー内蔵スタンド設置時を横から見たところ

スピーカー内蔵スタンドの背面部にはサブウーファーも備えている

HDMI CEC連動機能によりテレビから音量などをコントロールすることが可能。またHDMI端子は3DパススルーやARC、ブラビアリンクにも対応している。

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製品スペックやデータを見る
  • ジャンル液晶テレビ(ディスプレイ)
  • ブランドSONY
  • 型番KDL-55HX920
  • 発売日2011年4月下旬
  • 価格¥OPEN(予想実売価格430,000円前後)
【SPEC】●サイズ:55V型 ●チューナー:地上/BS/110度CSデジタル×1、地上アナログ×1 ●パネル:オプティコントラストパネル、4倍速駆動、1,920×1,080 ●バックライト:インテリジェントピークLED ●入出力端子:HDMI×4、USB×2、D5×1、コンポジット映像×1、PC入力×1、光デジタル音声出力×1、LAN×1、ヘッドホン×1 ●無線LAN:内蔵 ●外形寸法:1278Wx803Hx308Dmm(スタンド含む) ●質量:31.6kg(スタンド含む)
  • ジャンル液晶テレビ(ディスプレイ)
  • ブランドSONY
  • 型番KDL-46HX920
  • 発売日2011年4月下旬
  • 価格¥OPEN(予想実売価格350,000円前後)
【SPEC】●サイズ:46V型 ●チューナー:地上/BS/110度CSデジタル×1、地上アナログ×1 ●パネル:オプティコントラストパネル、4倍速駆動、1,920×1,080 ●バックライト:インテリジェントピークLED ●入出力端子:HDMI×4、USB×2、D5×1、コンポジット映像×1、PC入力×1、光デジタル音声出力×1、LAN×1、ヘッドホン×1 ●無線LAN:内蔵 ●外形寸法:1081Wx692Hx258Dmm(スタンド含む) ●質量:24.0kg(スタンド含む)