CES2009レポート

<サイビーム>プライベートブースにてWireless HD規格の無線伝送デモを公開

AVレビュー編集部・阿部
2009年01月09日
サイビーム(SiBEAM,Inc.)は、CES2009のプライベートブースにて同社の最新チップを使った無線伝送デモを公開した。


SiBEAM プレジデント&CEO John E. LeMoncheck氏

Wireless HDコンソーシアム チェアマン兼SiBEAM マーケティングセールスVP John Marshall氏
サイビーム(本社カリフォルニア)は高度な無線伝送技術を有する半導体メーカーだ。60GHzの高周波数帯域を使うデジタルAV機器の無線伝送規格「Wireless HD」のプロモーターであり、Wireless HD規格のコアである伝送技術を支えている。


デモに使ったBDプレーヤー。写真左がサイビームの送信ユニット

ノートPC下にある送信ユニットからディスプレイに映像が送信されている
デモブースではBDプレーヤー、ノートPC、メディアレシーバーら3種類のソースと、ディスプレイ(液晶テレビ)を設置。前者にはサイビームの送信用チップセットを、後者にはサイビームの受信用チップセットを接続。BDプレーヤーからはBDの1080/60p映像、ノートPCからはSXGA映像、そしてメディアレシーバーからはDVDのSD映像を出力した。

情報量の多いBDの信号を無線伝送しても、ディスプレイに表示された映像に何の違和感も無く、とてもこれがケーブルレスとは思えない。また、解像度の異なる信号にも関わらず、ソースの切り替えもスムーズ。何よりソースの切り替えが受信側のディスプレイのリモコンでできるのは便利だ。


デモ全体のイメージ図

同時接続している3つのソースが表示されている。切り替えはディスプレイのリモコンで可能
今回のデモでは3台の組み合わせだが、規格上は64台までの接続が可能。またHDMIのCEC信号も無線で飛ばすため、各メーカーのHDMIコントロールにも対応しているとのことだ。

デモ中、受信側と送信側のアンテナ部を手で塞いだが、アンテナ部に手をかなり近づけなければ映像の途切れ・乱れは確認できない。もちろん、アンテナ部の前を横切ったくらいでは映像は途切れない。

指向性の強い60GHz帯でも安定した信号の送受信が行えるのも、サイビームの多素子マイクロアレイアンテナ技術やビームステアリング・アルゴリズムといった特許技術が関係している。

送信側と受信側が常にベストな状態で伝送できるよう、リアルタイムで信号経路を確認しているため、1つの経路を塞がれても壁の反射などを利用して信号の送受信ができるように作られている。

Wireless HD最大のメリットは「非圧縮ロスレス伝送」という点だろう。多くの無線伝送が圧縮もしくはデータを間引くなどの手法を用いて伝送するが、Wireless HDは「ハイクオリティ」志向が規格の根底にあり、1080/60iや1080/24pはもちろん、1080/60pまでのハイビジョン映像を非圧縮で無線伝送が可能だ。

現状、1080/60pまでの映像信号をロスレスで無線伝送できる規格はWireless HDしかない。また、ロスレス方式はエンコード・デコードの処理が不要。クオリティの確保だけでなく、映像と音声のズレが無い点も大きい。反射を含め、10mもの距離をカバーできるのも魅力の1つだ。

高周波数帯であればあるほど、送受信には高い技術とノウハウが必要だが、60GHz帯はバンド幅が広いため、今後ますますデータ量が増えることが予想される映像・音声の送受信にも十分耐えられるポテンシャルを備える。加えて60GHz帯は世界的に利用可能であり、運用免許も不要。IEEE 802.11(11n)との混信もないという。


60GHz帯はほぼ世界的に運転免許なしで利用可能なのが特徴
Wireless HDの次のステップは、映像・音声の更なるクオリティ向上とデータ対応。そしてサイビームでは、Wireless HDチップセットの更なる省エネ化、小型化、低コスト化が課題であるという。


量産が始まったばかりのサイビーム製Wireless HDチップセット

上のチップセットが送信用、下が受信用。第2世代チップセットは更に小型化できるという。モジュールは、村田製作所製
無線伝送の対応機器は出始めたばかりで、まだ製品数は少ない。しかしLG電子の液晶テレビやパナソニックのプラズマテレビなど、サイビームの技術が使われているWireless HDの製品が発売される今年こそ、ロスレス伝送の記念すべき年となる。そう遠くない未来、部屋の中で無線伝送を当たり前に利用する時代が来ることを予感させるデモと感じた。

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