<ケースイのCEATEC2007レポート>シャープ・町田会長 基調講演 − 「デジタルコンバージェンスが切り開く新しい生活」

2007年10月03日

基調講演を行ったシャープ(株)代表取締役会長 町田勝彦氏
千葉県の幕張メッセで開催されているCEATECJAPAN 2007にて、10月2日シャープ代表取締役会長の町田勝彦氏が「デジタルコンバージェンスが切り開く新しい生活」をテーマに基調講演を行った。


われわれにとって身近な存在の家電製品を使って「デジタルコンバージェンス」の概念を説明。“つかみ”としては大変わかりやすかった。

同じくデジタルコンバージェンスの説明
「デジタル技術や通信技術の発達によって、放送・通信・出版など異なるメディアが1つに統合される『メディアの収束』を表す」という意を持つ「デジタルコンバージェンス」を軸に講演。

内容は液晶ディスプレイの進化から環境問題、商品開発者・技術者の心構えなど多岐にわたり、現代のカリスマ経営者として名を馳せる町田氏らしいユニークな講演、聴講者は時間を忘れて聴き入っていた。


講演中には堺新工場稼働後に生産が可能になると言われる第10世代のマザーガラスがもたらす大画面液晶時代の到来を予測。2010年にはマザーガラスのサイズはついに畳み5畳分を迎えるという。

大画面テレビの登場は、同時にさらなる情報革命をもたらすと説く。

大画面液晶を使ったテレビ会議システムを世界中で導入すれば、海外出張の回数が減り、それに伴い二酸化炭素の排出量も減るとのこと。羽田=ニューヨーク間の出張を例に、排気ガスの排出量を試算。
講演の内容は液晶のシャープらしく、大型液晶テレビの登場がもたらす生活の変化を予測。「大画面テレビに等身大の人が映し出せるようになれば、(遠距離の人との)距離感ゼロのコミュニケーションができる」とのこと。あわせて堺新工場が稼働することで実現する畳5畳分のマザーガラスや先日発表した開発中の薄型液晶(既報)を紹介し、シャープの液晶技術がもたらす、生活の変化を紹介した。


堺新工場についての説明もあった。
「シャープが省エネを考える原点は電卓の液晶化にあった」という話から、省エネと環境問題の話題へ。2000年と比較的に新しい32型のCRTテレビと2007年の薄型テレビと消費電力を比べて省電力化をアピールするとともに、「大画面イコール電力の大量消費ではないことを知っていただきたい」と説明する一幕もあった。

環境問題については屋内電力のDC化の話がユニークだった。パソコン、AV機器などAC電源をDC電源に使う家電が増えている。いわゆるACアダプターを使う製品の本体はDC電源なのだ。このACからDCへの変換の無駄をなくすために、屋内の電力にDC電源を積極的に導入し、さらにHEMS(Home Energy Management System)を使ったパワーマネージメントにより、省電力化も推し進める方式を提言した。DC電力の電源に太陽電池を使用するという案はとても現実的に思える。


家中にACアダプターが転がっているような家ならDC専用の電源が欲しくなる。

2000年の32型CRTテレビと2007年の52型薄型テレビの消費電力が同じことをアピール。

これからは専門職よりも多岐に興味を持てる技術者が求められると説く。
そのほかにデジタルコンバージェンスを実現するための組織について触れ、その業種に特化したI型の技術者よりも、他の業界などに興味を持てるT型の技術者が求められると自説を紹介した。「今後も様々な課題が加速度的に複雑化する。それらを解決するには(会社なら)セクショナリズムを無くす、また業界は業種の垣根を超えて、世界的には国家の壁を越えてコラボレートして協力する必要がある」と説き、講演を終了した。

(レポート:鈴木桂水)

筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
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