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“BRAVIA”3年目のキーワードは「拡大」と「進化」 − ソニー発表会詳報

公開日 2007/08/29 17:40
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ソニーは本日、“BRAVIA”新モデル新15機種を発表した。本項では発表会の模様をお伝えする。

発表会ではまず、同社業務執行役員 SVP テレビ事業本部長の福田隆志氏が新製品のコンセプトを説明した。


ソニー 福田隆志氏
同社は2005年にテレビの新ブランドとして“BRAVIA”を旗揚げ。2006年は「拡大・定着」を図り、ブランド認知度の向上に努めてきた。3年目となる今年は、「拡大と進化」をキーワードに、大画面化や操作性・ネットワーク対応などを向上。ブランドへの共感を推し進めていくという。

福田氏は「拡大」戦略として、テレビ画面の拡大について説明。「今後のテレビ市場において勘所となるのは40V型以上の大型テレビ」と明言した。

薄型テレビの市場金額推移

ソニーの40V型以上液晶テレビ出荷台数

同社によれば、40V型以上の同社製液晶テレビ出荷台数は、2004年度から2006年度までに飛躍的に伸長。ディスプレイサーチ社による薄型液晶テレビ市場金額における40V型以上の売り上げ率の調査結果を示し、「40V型以上の大画面薄型テレビの需要が高まっている」と説明した。同社は今回40V型以上の液晶テレビ15機種を投入するとともに、8月28日より出荷開始したS-LCDの第8世代液晶パネル(関連ニュース)などによりこのニーズに対応。特に40V/46V/52V型の高効率生産体制を構築し、2007年度は1,000万台の出荷を目指すという。

次に福田氏は、「進化」のポイントとして、高画質化技術と操作性の向上を挙げた。

新たな付加価値として4つの要素をアピールした

今回発表した15機種のうち、4シリーズ10機種には、撮像ぼやけ補正技術を追加することで更にくっきりとなめらかな映像を実現する「モーションフロー」を搭載。24P出力に対応する「シネマモード」や、静止画の表示に特化した「フォトモード」なども搭載した。

また、録画やVODというテレビの付加価値を広げるデジタルチューナー内蔵HDDレコーダーやネットワークTVボックスを同時発表したほか、アプリキャストやソニールームリンクなどの次世代アプリケーションを全機種に標準搭載している。

さらに、V3000を除く全シリーズに、2.4GHz無線通信を利用したリモコンを新たに搭載。操作性を高めた。

新たに“おき楽リモコン”が採用された

「“おき楽リモコン”は“お気楽”に簡単に使えるだけでなく、置いたままでも使える“置き楽”でもある。ハイビジョンの世界の中心は常にブラビア。ブラビアを中心とした、ソニーならではのHDワールドをさまざまなユーザーに体験して欲しい」(福田氏)。

続いてソニーマーケティング(株)の取締役 執行役員常務の鹿野清氏が登壇し、新製品のマーケティング戦略について説明した。


ソニーマーケティング 鹿野清氏
同氏は、地上デジタル放送受信機の世帯普及率が約30%になったことや、ブロードバンドの普及拡大などを指摘。「ハイビジョンソースが増えることで、テレビは大型化が求められると考える。また、ユーザーのニーズは多様化している。画や音の美しさのほか、新たな楽しみ方を提供できるものである必要があるだろう」と分析した。

今回、ボリュームゾーンとされる30V型クラスのモデルを発売しなかったことについては「今ちょうどテレビの買い換えを考えているユーザーが最も多く所有しているのが32型ブラウン管テレビだと考えられる。すると、買い換えの際、満足するサイズになるのは46V型以上だろうと考えたため」と説明した。

また、新たに「My BRAVIA STYLE」を提案。ブラビアリンクによる簡単操作や、ネットワークTVボックスによるVODサービス視聴など、ブラビアを中心とした7つの使用スタイルを提示して訴求していくという。


「My BRAVIA STYLE」を提案

今年2007年を“BRAVIA第3章”と位置付けた

ブラビアのブランド認知度が高まっていることをアピール
鹿野氏は、「おかげさまで“BRAVIA”ブランドは確実に浸透・定着し、『感動には色がある』のもと展開してきたブラビアのブランド認知は80%以上になっている。“ブラビア第3章”となる今年のキーワードは『拡大と進化』。フルHD対応のテレビの大画面化を推し進めるとともに、新たなテレビの楽しみ方を提案する。今回発表したラインナップのうち、WシリーズやXシリーズはハイビジョン時代のスタンダードモデル、Vシリーズはお手頃なエントリーモデルという位置付けだ。多くのユーザーに大画面でフルHDを楽しんでもらいたい」と述べた。

以下、発表会で行われた質疑応答の主な内容を掲載する。

Q.「おき楽リモコン」の企画意図を教えて欲しい。
A.2.4GHz帯を利用したリモコンは、信号が赤外線よりも届きやすく、指向性がないなどの利点があり、これからのリビングにぴったりだと考えた。

Q.リアプロジェクションテレビのリリースは今後どのようになる予定なのか。
A.今回発表したように、70V型も液晶で作れるようになった。今後大画面薄型テレビは、70V型・52V型などを中心に液晶などでリリースしていきたいと考えている。

Q.年末商戦の見通しを教えて欲しい。
A.率直に言って、北米市場はかなり厳しい。マーケットプライスの動向にどう対応していくかが今後の鍵となるだろう。アメリカはビジネスの仕方が違っているので、販社と合わせて調整をしていきたい。一方国内市場は、液晶テレビの売り上げが伸びている。ワールドカップやオリンピックなどのイベントが無い年のわりには大きな売り上げを記録しており、フラットパネルディスプレイはまだまだいける、という実感を持っている。

Q.70V型の「KDL-70X7000」の販売ターゲットはどこか。また、受注生産ということだが何台程度の販売を予想しているのか。
A.大型ディスプレイを楽しむ、ごく限られた人をターゲットにしている。目標販売台数は明言できないが、台数は多くないだろう。この製品を商品化できるだけの技術力を持っている、とアピールできることに価値があると考えている。

Q.有機ELディスプレイのリリースは、アナウンスどおり年内に行われるのか。
A.詳細は今申し上げられないが、年内に発売する予定だ。

Q.100V型以上の液晶テレビ開発はしているのか。
A.80V型を超えた製品は、技術的問題により開発が難しい。作る意志は現在のところ無い。

(Phile-web編集部)

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