山之内正の「BDP-LX80+VSA-LX70」レポート(3) − 外見も中身も新ステージに進んだ「VSA-LX70」

2007年08月08日
パイオニアのAVアンプは、LXシリーズを新たに名乗ることになった本機の登場を契機に新しいステージに進んだ感がある。ブラック仕上げを標準とする外見上のデザイン変更はもちろんだが、それ以上に中身が大きく生まれ変わっていることに注目したい。

VSA-LX70

VSA-LX70の背面端子部

前面のパネルを開けたところ

HDMI1.3aへの対応はもちろんその重要な変更点のひとつである。ロスレス信号を含む各種オーディオ信号とアナログ/デジタル映像信号のサポートを実現したことは、今後長期にわたって使い続けられる安心感を生む。

付属のリモコン

HDオーディオコーデックのほか、air studioマークも刻印

別項で紹介した通り、フルバンド・フェイズコントロールが本機の核心技術だが、それ以外にも注目すべきフィーチャーがいろいろと盛り込まれている。

まずはアンプの基本性能に注目しよう。スピーカー駆動能力を左右する電源回路は容量にゆとりのある電源トランスや大型電解コンデンサーを採用して低インピーダンス化を図り、出力は定格でチャンネル当たり160Wを実現。THX SELECT2規格を満たしているという事実が、この数値を裏付けている。

音色や微小信号の精度は、デジタル処理や増幅回路の性能だけでなく、シャーシの機械的剛性と大きく関わっているが、本機は全パーツをフレームに堅固に固定する3次元スペースフレーム構造を採用することで、音の純度を確保。実際に触れてみるとわかるが、本機は普及クラスの製品とは一線を画す剛性感があり、重量バランスも十分に考慮されている。

いまやパイオニア製AVアンプの基幹機能の一つとなった自動音場補正技術(MCACC)は、スピーカーの距離測定最小単位を1cmまで高精度化した最新バージョンのAdvanced MCACCを積む。今回の試聴にあたっても事前に測定を行っているが、周波数バランスを整える効果に加えて、各スピーカー間の音の密度を改善する効果が非常に大きく、さまざまな試聴環境への適応力は確実に高まっている印象を受けた。

そのほか、LAN経由でPCなどサーバーの音楽コンテンツを再生するネットワークオーディオ機能、WMA9 Proのデコード機能、iPod対応など付加価値の豊富さは、新世代機ならではのものがある。

アンプの基本性能を検証するために、アナログ入力経由でマルチチャンネルのSACDを最初に聴く。フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団によるマーラーの《復活》は、静と動の対比が見事なコントラストを成す名演・名録音であるが、弱音からフォルテシモまでダイナミックレンジが強烈に広く、再生装置の真価が問われるソースである。

本機の再生音は、余韻が作り出す空間がスピーカー後方まで大きく広がり、そのなかに浮かぶ各楽器の音像配置に立体感がそなわっている。弱音部では楽器の周囲の空気の存在を感じさせる気配感があって、微小信号にまとわりつくノイズが非常に少ないことを確認した。音色と周波数バランスはどちらかというと厚みを重視した志向だが、声は伸びやかで透明感が高い。

BDの映画ソースはリニアPCMを中心に試聴した。音声マスターにそなわる情報量を積極的に引き出すサウンドというのが第一印象だが、神経質なタッチはなく、台詞や効果音のバランスも自然で耳に素直になじむ。HDMI接続時、プレーヤー側で出力を切り替えて音声フォーマットの違いを確認したが、圧縮音声とロスレス信号の差はかなり明瞭に再現し、マスターの良否まで判断できるほどであった。

HDMI1.3aを搭載する新世代AVアンプは今後各社から続々登場する。本機はそれらライバル機にとって無視できない存在になりそうである。

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(山之内 正)

【山之内 正 プロフィール】
神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオビジュアル機器の評論にも反映されている。

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