山之内正の「BDP-LX80+VSA-LX70」レポート(1) - 組み合わせ試聴でドルビーTrueHDを楽しむ

2007年08月06日
パイオニアがプラズマテレビとAVアンプのラインナップを一新し、それに合わせてBDプレーヤーの第二弾を導入することになった。今回の発表は、2007年秋、各社から出揃う新製品群のなかでも特に注目度の高いものと言っていいだろう。なにしろ、フルハイビジョンと、話題の次世代HDオーディオに対応した製品をソース機器からディスプレイまで一社ですべて揃えられるメーカーは、いまのところパイオニアが唯一の存在なのである。

このレポートでは、AVアンプ「VSA-LX70」(関連ニュース)とBDプレーヤー「BDP-LX80」(関連ニュース)それぞれについて最終仕様直前のモデルを試聴した印象をご紹介する。


BDP-LX80

VSA-LX70
■マルチチャンネルオーディオ新潮流の牽引役として大いに期待

まずは製品登場の背景から見ていこう。今年の新製品群の発売タイミングから、次世代機をめぐるパイオニアの戦略をうかがうことができる。まずは同社のBDプレーヤー第一号機となるBDP-LX70を6月下旬に発売。それとほぼ同時にHDMI1.3aを搭載するAVアンプの第一弾VSA-AX1AHを導入して、ハイビジョンパッケージソフトの高画質・高音質再生への扉を開いた。両機種ともに予想以上に入手しやすい価格に設定し、BDが身近な存在であることを訴えている。

今回発表されたBDプレーヤーとAVアンプは第二弾に相当し、発売時期は10月を予定している。ここで同社は本命ともいえるミドルクラスの製品群を新世代の強力なプラズマテレビ「KURO」シリーズとともに一気に市場に投入し、ディスプレイとの相乗効果で高品質なハイビジョンとHDオーディオの浸透を図る。その次の段階ではハイエンドのマニア層をターゲットにしたフラグシップ機がいずれ登場すると予想されるが、そうした3段階のステップを踏んで着実な市場の構築を図るというのが、オーディオビジュアルのプレミアムブランドとして確固たる地位を目指すパイオニアの戦略なのである。

筆者は、的を射た的確なアプローチとして同社の戦略を評価するが、それに加えて、マルチチャンネルオーディオの新しい潮流をリードする牽引役としての、パイオニアの力量にも大いに期待している。

BDP-LX80は、ロスレス信号のストリーム出力に本格対応した初のBDプレーヤーであり、VSA-LX70をはじめとするHDMI1.3a搭載AVアンプと組み合わせることにより、その本領を発揮する。これは次世代HDオーディオの本格運用に期待を抱いてきたAVファン待望の機能であり、今回のハイライトの一つである。映像系の使用は1080/24pのサポートをはじめとして姉妹機のBDP-LX70と共通し、現時点で最先端をいく。

試聴は音元試聴室にて行った

VSA-LX70はHDMI1.3aの搭載に加えて、注目すべき機能「フルバンド・フェイズコントロール」を採用したことが目新しい。マルチチャンネルオーディオの新しい潮流をリードして欲しいと先ほど書いたのは、まさにこの機能の可能性を高く評価したいからである。

「フェイズコントロール」はサブウーファーやアンプで発生する群遅延を補正して僅かな時間軸上の誤差を低減する技術だが、今回の「フルバンド・フェイズコントロール」は文字通りその技術思想を全帯域に拡張したものであり、本機が初搭載となる。オーディオ再生系で位相差が発生する要因はいろいろあるが、なかでも低域から高域までを複数のユニットで受け持つマルチウェイ方式スピーカー(既存のスピーカーの大半)のネットワークで生じる位相のずれは、特に音に与える影響が大きい。新機能はそれを補正することで定位や空間再現の精度を向上させることを狙っているわけだ。デジタルでなければ実現できない離れ業であり、オーディオファイルなら誰もがその効果の有無に大きな関心を抱くはずだ。

■「フルバンド・フェイズコントロール」の効果は歴然 手を伸ばせば触れられるような実在感


試聴を行う山之内氏
BDP-LX80とVSA-LX70をHDMIケーブルで接続し、《Legends of Jazz》のドルビーTrue HD音声で同機能の効果を検証してみた。

フルバンド・フェイズコントロールのオン・オフはリモコンのキーで瞬時に切り替えることができる。同機能をオンにすると、ベースやギターの実在感が増すことにすぐ気付くが、それよりも顕著なのはボーカルのリアリティの改善だ。再生システムのなかに等身大のボーカル専用スピーカーを置いたかのような現実感が生まれ、手を伸ばせば触れられるような生々しさがある。パーカッションやピアノは音が消える瞬間が気持ちよく揃ってリズムの切れが別物のように鮮やかになり、その効果で音程や音色をとらえやすくなった。スタジオの暗騒音まで変化することは予想の範囲外だったが、それだけでも響きが一変して見通しが良くなる。楽器が音を出していなくても効果が聴き取れるというのは凄いことである。


KUROの衝撃!次世代AV全国体験イベント 参加申し込み受付中

パイオニアから満を持して登場した、驚異のコントラスト比20,000対1を実現したプラズマテレビPDP -5010HD。このプラズマテレビを主役に迎え、ブルーレイプレーヤーからの24p出力による高画質、新リビングシアターシステムによる高音質を同時に楽しむことのできる、次世代ホームシアター体験イベントが開催されます。しかも「製品発売前」の超プレミアイベントです。オーディオ・ビジュアル評論家によるトークショーも開催します。あなたのその目と耳で、次世代の画と音を確かめてみませんか?

本イベントの会場はなんと全国17都市。東京・大阪・名古屋から始まり、北は札幌から南は鹿児島まで全34日間にわたる特大イベントになります。

イベントの詳細はこちら:http://www.phileweb.com/kuro2/



(山之内 正)

【山之内 正 プロフィール】
神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオビジュアル機器の評論にも反映されている。

第2回はあす(8月7日)更新です。BDプレーヤー「BDP-LX80」のレポートをお届けします。

関連記事