斎賀和彦のハイブリッドカム「DZ-HS503」長期試用レポート<1> − 本機の概要をチェック

2007年03月22日

DZ-HS503
ビデオカメラ市場は一見ハイビジョンカメラが話題だが、実際にはSD(標準解像度)がまだまだ主流。その中で、昨年最もヒットしたのが日立のハイブリッドカム「DZ-HS303」だ。今回レポートする「DZ-HS503」は、その後継機である。

これまでDVテープが主流だったデジタルビデオカメラだが、最近ではHDD(ハードディスク)やDVDタイプが中心になりつつある。日立が最初に(そして唯一)販売しているハイブリッドタイプはHDDとDVDを両方搭載したもので、双方の弱点を解消するものとして市場の大きな支持を集めた。

とはいえ、小型軽量であることが重要な要素とされるコンシューマービデオカメラにおいて、ハイブリッドにしたことで筐体が大きくなってはあまり意味がない。前モデルがヒットしたのも、単独のDVDタイプとほぼ同じサイズ、重量のまま、HDDを搭載したという点が大きい。これらはHDDのトップメーカーのひとつである日立グローバルストレージテクノロジーズ社が、日立のグループ会社であることの強みを最大限活かしたものだ。

新モデルでは、HDD容量が前モデルの8GBから30GBと大容量化した。8GBでも高画質(FINE)モードで3時間と、日常的な用途には十分といえるが、海外旅行などの連続使用時には少々心許ない容量でもあった。FINEモードで11時間分の大容量となった本機では、長期の旅行や長時間のイベント収録時でも安心して使えるようになった。

DVDでもHDDでも録画が可能なのがハイブリッドタイプの特徴だが、大容量HDDのメリットを生かすという意味では、どんどんHDDに撮って、必要な部分をDVDにダビングするといった使い方がメインになるだろう。いわば、リビングのDVDレコーダーと同じ使い方だ。

この部分でもDZ-HS503は大幅に機能強化がなされた。旧モデルでは、HDD内の映像をすべてダビングする「まるごと」、クリップ単位で手動選択してダビングする「えらんで」の2モードだったが、本機では、まだDVDにダビングしていないシーンだけ自動選択する「はじめて」、指定した日の撮影分だけダビングする「ひにちで」モードが追加された。この新モードは実用度が高く、ハイブリッドタイプのアドバンテージをより強化するものだ。次回で詳しくレポートしよう。

外観は通常のDVDカメラなどと変わらない

通常のDVDディスクとハイブリッドカムで使用する8cmDVDメディア。通常のDVDと較べると、HS503のコンパクトさがイメージできよう

また、DVDへのダビングにはこれまでほぼ実時間が必要だったが、本機では2倍速ダビング(FINEモード時)が可能となった。DVD作成時の待ち時間はカメラが使えないだけでなく、バッテリー駆動では行えずにACアダプター接続が必須だっただけに、これはかなりの利便性向上と言えるだろう。

上記のような、HDDからハイライトを抜き出したDVDを、PCを使わずにカメラ本体だけで作ることができる、というのがハイブリッドタイプの大きなメリット。その一方で、もっと本格的なDVD編集を行うためのソフトウエア(Windows用、Macintosh用)も同梱している。ビデオ編集ソフトを買う必要なく、追加出費なしで、かなり見栄えのするパーソナルDVDを制作できるのは嬉しいポイントだ。

以上のように、DZ-HS503の最大の特徴はやはりハイブリッドタイプであることなのだが、単にビデオカメラとしてみても非常に良くまとまった内容になっている。

他社のように“最小・最軽量”を競うような小ささではないものの、それらに近い軽量コンパクトボディ。やや背高なデザインは構えたときのグリップ感に優れ、各種の操作ボタンの配置も、手が小さめの人でもボタン操作がしやすいように吟味したあとがうかがえる適切なもの。メタリックなレンズ鏡筒部と落ち着いたガンメタリックのボディ部のツートンは他のカメラにない高級な質感が印象的だ。

約331万画素のCCDはSD(標準解像度)カメラとしては上位ランクに入るものだし、日立独自の「ピクチャーマスターfor DVDカム」回路とあわせ、撮影画質も高い。ビデオ映像だけでなく、300万画素相当の静止画写真機能はちょっと前のデジカメと同レベルで、動画/静止画兼用機としても使えるレベルだ。具体的画質については、次回以降に改めて検証する。

ズームは光学10倍(デジタル併用240倍)と高倍率だが、ワイド側が35mm換算で52.7ミリとやや望遠重視設計。室内撮影が多い場合はオプションのワイドコンバージョンレンズも用意したい。

電源オンから撮影開始までの時間は、通常のHDDやDVDタイプは不得意な分野だが、DZ-HS503は専用の「秒撮」ボタンを設けることで、スタンバイから約1秒で撮影開始と、ひじょうにレスポンスの良いカメラとなっている。

総合的に、HDDとDVDをデュアルで持つメリットの完成度を上げたハイブリッドカムとして、また標準解像度のビデオカメラとしても良く仕上げられた1台との印象を持った。本機の特徴である編集・ダビング機能、また映像のクオリティについては、次回以降、詳細にレポートしていく。

(斎賀和彦)

斎賀和彦 プロフィール
1963年名古屋生まれ、東京都在住。東京ムービー新社で劇場映画「AKIRA」参加後、CF制作会社井出プロダクションで企画演出として多くのコマーシャルフィルムに携わる中で、ノンリニア映像編集の黎明期に立ち会う形となる。「デジタルスケープ」チーフトレーナーを経て、様々な大学、大学院で理論と実践の両面から映像を教える。並行して写真・映像等の企画・制作を行うほか、デジタル編集を中心にビデオ専門誌等に執筆。デジタルハリウッド大学院准教授。

関連記事