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[CEATEC2005:キーノート] 「激動するCE業界におけるソニーの変革」ソニーCEO ハワード・ストリンガー氏

公開日 2005/10/05 10:22
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CEATEC JAPAN 2005初日となる4日、国際会議場 コンベンションホールにてソニー株式会社会長兼CEOハワード ・ ストリンガー氏によるキーノートセッションが行われた。ポイントを絞って紹介しよう。

●ソニーは独自の製品を作り込むことでチャンピオン製品を目指す

まず、近年のホームエレクトロニクス業界では、中国、韓国やIT企業との競争が激化しているなど大きな変化が訪れていることを指摘。しかしながら、昨今の情報エレクトロニクスの急激の進歩は、日本がグローバルなリーダーシップを取り戻す良い機会であり、ソニーは独自の技術的な競争優位性を持った製品を作り込むことで勝利していくという。そのためにリストラを行い、焦点を絞った研究開発とマーケティングを行っていく。また、意志決定はソニーの社長は中鉢社長に集約させ、ストリンガー氏は助言的なサポートをしていくという。

この体制によって目指していくのが「チャンピオン商品」の創造だ。これまでのソニーのチャンピオン商品として「ウォークマン」「トリニトロン」「PS2」「ハンディカム」を紹介。そして、ナンバーワンを目指すメディアには「テレビ」「デジタルレコーダー」「デジタルイメージング」「ウォークマン」が挙げられた。

ソニーCEO ハワード・ストリンガー氏

ソニーの今後に繋がるヒット商品を紹介

●ウォークマンはモバイルビデオへと移行する

続いて、現在ソニーから発売されている製品と将来のへの取り組みが紹介された。

まずウォークマンは20GBのHDDを内蔵しており、「アーティストリンク」、「タイムシフトシャッフル」などインテリジェントな選局機能を搭載していることを紹介。続いて、ソニーエリクソンの「ウォークマンケータイ」もアピールした。音楽分野については、これまでは縦割り機構のせいで上手くいかず、アップルに遅れを取ったが、今では前進しているという。

また、ウォークマンはPSPやロケーションフリーテレビなどモバイルビデオに繋がっていくという道筋を示した。

●ゲームはPSPの成功に加えてPS3を展開


CELLプロセッサーの優位性をアピール
ゲーム分野については、まずPSPが9ヶ月で600万台を出荷したことを挙げて、その成功を紹介。またプレイステーションは万人が認めるもので、日本、韓国、オーストラリアの人口を合計した2億台も普及しているとアピールした。

来春発売を予定しているPS3は、同社最大の突破口として挙げている。ハイビジョンでブルーレイを使えることに加えて、IBMと東芝が共同開発したCELLプロセッサは、XBOX360の2倍もの処理能力があるものとして紹介している。

またCELL技術については、更なる応用を研究する施設として「CELLディベロップメントセーター」も開設。デジタルホームサーバーセル技術に適用して新しいインテリジェントデバイスを作るという。スピーチでは、ニューヨークヤンキースの松井選手のファン向けに、CELLプロセッサが一週間の番組から自動的に3分のハイライトを作る例を挙げた。

●ハイビジョンはエンドユーザーとクリエイターにアピールする


ハイビジョンは家庭・業務両方に製品を投入
ハイビジョンについては、「ソニーはHDに大きな投資してきた」との最初に述べ、重要な分野であることを改めて強調した。ソニーは消費者にHDテレビの「BRAVIA」を普及させる。また、デジタルイメージングでは「HDR-HC1」のヒットを挙げ、HDR-HC1はプロが使うものを消費者に提供したもので、クリエイターが低予算でハイビジョンコンテンツを作ることを可能にしたと説明。ソニーは2007年には、HDをサポートする製品の比率を現在の35%から45%に引き上げる予定だという。

Blu-ray Discについては、「HDの世界最大のライブラリーを持つソニーにとっては大変意義のあること」と述べ、23時間ものハイビジョン映像を保存できるディスクを研究開発していることを紹介。また、前日パラマウントがBDサポートを表明したことにも触れ、PS3へのBD採用やコピープロテクトが強みとして評価されたと述べた。

●自社でコンテンツを持つことでデバイスの魅力を高める

同社ならではの強みとして、「映画」「音楽」「ゲーム」などコンテンツを持つことによる強みが紹介された。その例としてUMDビデオを挙げ、米国で「スパイダーマン2」を添付することで、PSPでも映画を楽しむことを広められたという。そして、ある中国映画は3週間で10万コピーものUMDビデオを出荷して、DVDを発売した直後と同じような反響を得られているとのことだ。また、「世界中でソニーの持つコンテンツが紹介され、質の良いコンテンツを作ることで、デバイスの魅力が高まる」というデバイスとコンテンツの好循環を目指す姿勢が強調された。

ソニーの持つ世界各国のコンテンツ

●新たなデジタル時代に向けてソニーブランドを復活させる

デジタル時代では「お客様が王様になり企業の勝ち負けを決めるようになる」という新たな基準が打ち出された。このため、ハードウェアだけではなくソフトウェアデザインにプライオリティを移すことや、市場への取り組みを強化することを紹介した。

そして述べられたのが、ソニーブランドの強化だ。「ソニーにはコンテンツ、デバイス、ゲーム、そしてリビングへのリーダーシップ、モバイルでのリーダーシップがある。これに、部門間の連携が取れたマーケティングを合わせて、素晴らしい製品をチャンピオンプロダクトに変えていく」という。

デジタル時代ではお客様が王様になる

ソニーの今後の取り組み

最後にスランプに陥った王貞治選手がバッティングフォームを一本足打法に替えることを例に挙げ、「ソニーもスタンスを変えてこれからもヒットを打ち続けたい」と述べて終わりの言葉とした。

(折原一也)

ceatec2005

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