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音切れに強く低遅延、音質も向上

<CES>ワイヤレス再生がより快適に。「LEオーディオ」と新コーデック「LC3」の詳細を聞いた

山本 敦

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2020年01月11日
米ラスベガスで開催された「CES 2020」の期間中に、Bluetooth SIGがBluetoothオーディオの新規格である「Bluetooth LEオーディオ」を発表した。新しい技術が出てきたことでオーディオ再生の何が変わるのだろうか。技術の設計開発に携わるFraunhofer(フラウンホーファー)研究機構のアルフォンソ・カレラ博士にCES会場で詳細を聞いた。

Bluetooth LE(Low Energy)はIoTやウェアブル機器、環境センサーなど駆動時の消費電力を抑えながらスマホなどの機器とペアリングして使ったり、デバイスサイズのコンパクト化・軽量化に結びつけることを重視した通信技術だ。

Fraunhofer(フラウンホーファー)研究機構のアルフォンソ・カレラ博士にBLEオーディオとLC3コーデックが誕生した背景を聞いた

Bluetoothオーディオのワイヤレス再生も、近年は特に多くのデータが送受信できて、なおかつ電力効率にも優れる通信技術が求められてきた。ところがオーディオストリーム配信用のプロファイルであるA2DPは長く手つかずのままだった。

今回発表されたBluetooth LEオーディオ(以下:BLEオーディオ)はBLEの電波スペクトルを使って、新しい「LC3:Low Complexity Communication Codec」と名付けられた音声符号化アルゴリズムによりオーディオデータを伝送する。データ容量を抑えつつも音質は妥協なし。音切れにも強く、また低遅延・低消費電力を特徴とする新コーデックだ。

「LTEのデータ通信を用いて音声通話を行うVoLTE対応のスマートフォンが普及したことにより、EVS(Enhanced Voice Services)コーデックなどクリアな通信品質を確保する様々な超広帯域音声技術が生まれました。ところがワイヤレスのヘッドセットやイヤホンを介した途端にBluetoothオーディオの技術限界がボトルネックになり、通話品質が損なわれることも指摘されてきました。ワイヤレスオーディオにも、より高品位な音源をBluetoothによる無線技術で送受信して聴ける技術が求められています。BLEオーディオはBluetoothにおける通話音声とオーディオリスニング、両方の品質を高められるオールラウンダーなのです」(カレラ氏)

Bluetooth機器によるコミュニケーション音声の品質を高めるためにBLEオーディオの研究が立ち上がったという

通信時には人の声と環境音を選り分けられ、そして音楽リスニング時にはより容量の大きなデータがハンドリングでき、さらに低遅延性能やロバストネスも併せ持つのだとカレラ氏はLC3の特徴を次々に挙げた。

LC3のアルゴリズムに関連するホワイトペーパーはBluetooth SIGが近く公開するとしている。Bluetooth機器向けのソフトウェアについてはカレラ氏らフラウンホーファー側が準備後に提供する。

LC3はライセンスフリーのコーデックだ。BLE機器は今後LC3の搭載が必須条件になるが、Bluetooth Classic Audioのみの機器についてはオプションでLC3対応が選べるようになる。送り出しと受け側の機器、双方がLC3をサポートすることによってコーデックの持つパフォーマンスが限界まで発揮される。

SBCと聴き比べて明らかな向上を体感

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