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<山本敦のAV進化論 第181回>

ゼンハイザーの立体音響技術『AMBEO』を本格ジャズで体験。名門クラブと挑戦するイマーシブの世界

2019/10/24 山本 敦
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ゼンハイザーといえばヘッドホンにイヤホン、プロ向けのマイクロフォンなどオーディオ機器で馴染み深いブランドだが、実はいま「AMBEO(アンビオ)」という “イマーシブオーディオ” のプラットフォームの推進にも力を入れている。

今回はゼンハイザーがスイス・チューリッヒの人気ジャズクラブ、Moods(ムーズ)とともに立ち上げたオンラインストリーミングによるAMBEOのコンテンツ配信と、その日本展開に向けた取り組みについて、ゼンハイザー本社でAMBEOを担当するSofia Brazzola氏とRui Wang氏にインタビューした。

インタビューに答えていただいたゼンハイザーのUser Experience Manager AMBEO Immersive Audio、Sofia Brazzola氏(写真右)とCustomer Developer AMBEO Immersive Audio、Rui Wang氏(写真左)

AMBEOはハードウェアからコンテンツまで多方面に渡るゼンハイザーが独自に開発したイマーシブオーディオの技術だ。その詳細については過去にPHILEWEBで紹介されているアンドレアス・ゼンハイザー氏のインタビューのほか、バイノーラル録音対応イヤホン「AMBEO SMART HEADSET」の担当者へのインタビュー、そして初のホームシアター向けプロダクトである「AMBEO Soundbar」の開発者インタビューなども合わせて参照して欲しい。

AMBEOのラインナップには現在、上に名前を挙げたふたつの製品以外にも360度立体録音に対応するマイクロフォン「AMBEO VR MIC」のほか、ARヘッドセット「Magic Leap」と共同開発したイヤホン「AMBEO AR One」を含む4つのプロダクトがある。

AMBEOのプラットフォームに初めて加わったハードウェア「AMBEO VR MIC」とiPhoneによるバイノーラル録音が手軽に楽しめる「AMBEO SMART HEADSET」

今回インタビューしたBrazzola氏とWang氏はゼンハイザー独自の立体音響技術をさらに多くの音楽ファンが体験できるように、コンテンツの制作と普及に向けたプラットフォームの構築に尽力しているキーパーソンだ。

ゼンハイザーではAMBEOの音源を制作するためのマイクロフォン、ならびにソフトウェアを内製している。これらのツールを活用して、ゼンハイザーはジャズクラブMoodsとタッグを組んで、AMBEO対応のオーディオ・ビジュアルコンテンツをインターネット経由でストリーミング視聴できる配信サービスを行っているのだ。

ゼンハイザーは以前からチューリッヒにプロダクトデザイン、並びにソフトウェアなどユーザーインターフェースの研究開発拠点を置いていたことから、スイスを代表する現代音楽の発信地であるMoodsとのコラボレーションは自然発生的に成立したのだとBrazzola氏が経緯を振り返る。

「Moodsでは以前からジャズやフュージョン、ワールドミュージックなど一流のミュージシャンがクラブで演奏した質の高い音楽コンテンツのインターネット配信『Moods.digital』に力を入れていました。2017年から、ゼンハイザーのAMBEOの技術によって制作されたイマーシブオーディオのストリーミングサービスが始まりました」(Brazzola氏)

両社によるコラボレーションのスタート後は、年間280件を超えるMoodsのコンサートから、アコースティック系のジャズ、ソウル、ワールドミュージックなどの質の高い演奏を厳選して、AMBEOの録音機材を使って収録している。なおMoods.digitalに公開されているAMBEO対応のコンテンツには、基本的に動画付きのものと音声のみのバージョンが用意されている。

スイス・チューリッヒのジャズクラブ、Moods(ムーズ)が運営する音楽ストリーミングサービス「Moods.digital」にゼンハイザーのAMBEOの技術により収録されたイマーシブオーディオのコンテンツが並ぶ

AMBEOのコンテンツ配信は通常、事前に日時が予告されライブストリーミングが行われた後、アーカイブに収録されてキャッチアップ視聴も楽しめるようになる。

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