HOME > インタビュー > ゼンハイザーの立体音響技術『AMBEO』を本格ジャズで体験。名門クラブと挑戦するイマーシブの世界

<山本敦のAV進化論 第181回>

ゼンハイザーの立体音響技術『AMBEO』を本格ジャズで体験。名門クラブと挑戦するイマーシブの世界

公開日 2019/10/24 06:30 山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE


「Moodsのサイトから視聴できるAMBEOのコンテンツはすべて、普通のイヤホン・ヘッドホンでイマーシブオーディオ体験が楽しめることが大きな特徴」であるとWang氏が強調している。Moodsのサイトで提供されているAMBEOの音源はすべてバイノーラル録音によるコンテンツである。録音にはノイマンのダミーヘッドマイク「KU100」が、音源の定位やボリュームの調整はソフトウェア化されているミキシングツール「AMBEO Orbit」がそれぞれ使われている。

Moods.digitalのコンテンツの収録に使われているノイマンのダミーヘッドマイク「KU100」

Moods.digitalのコンテンツは日本に居ながらユーザー登録も視聴も楽しめる。サブスクリプション方式の同社の音楽配信サービスは年間登録で申し込んだ場合は199.90スイスフラン(約21,000円)、月間登録の場合は19.90スイスフラン(約2,100円)。1週間単位でも6.90スイスフラン(約750円)でお試しができるプランもある。

筆者もさっそくMoods.digitalに会員登録をして、AMBEOの音源を体験してみた。ひとつの演奏にAMBEO版とステレオ版が用意されている作品を比べてみると、違いは明らかだ。AMBEOのテクノロジーにより生演奏を目の前で聴いているような没入感が味わえる。

筆者もiPadでMoods.digitalに公開されているAMBEOのコンテンツを視聴してみた

Brazzola氏によると、AMBEOの音源をユーザーがオンデマンドに楽しめるサービスはMoods.digitalが初めての試みなのだという。「一流ミュージシャンの演奏を良質な環境で楽しめる音楽サービスを期待していたユーザーのニーズにミートして、AMBEOの認知もサービスの開始後から順調に拡大しつつある」というBrazzola氏。AMBEOのテクノロジーを活用したコンテンツ制作、配信サービスへの引き合いも数多く同社に寄せられているようだ。

ブラウザ内の簡易なビューワーでイマーシブオーディオソースに加えてステージの動画も視聴できる。パソコンや、iPadなどのタブレットでも手軽に楽しめる

「AMBEOによるイマーシブオーディオのコンテンツは、高品位な音楽体験にこだわる日本の皆様や、アジアの音楽ファンと非常に親和性が高いと考えています」とBrazzola氏、Wang氏が口を揃える。Moods.digitalのユーザー登録は日本からでも申し込むことはできるが、サイト上のコンテンツ解説、サポート情報は今のところ英語とドイツ語の準備しかない。

サブスクリプション契約は年間・月間・週間単位のプランがある

そこでゼンハイザージャパンは先日、AMBEOの特設サイトをオープンして、Moods.digitalの解説とユーザー登録の申し込みに関するサポート窓口をスタートさせた。

さらに東京・日本橋で開催された音楽イベント「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2019」にはAMBEOの体験ブースを出展。Moods.digitalの音源をゼンハイザーのヘッドホン「HD 820」で試せる機会がイベントに足を運んだ来場者から好評を博していた。

東京・日本橋で開催された「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2019」の会場にゼンハイザーがブースを出展。HD 820でMoods.digitalのソースが視聴できた

Brazzola氏は「AMBEOを体験していただいたユーザーの反響を糧にしながら、日本でもMoodsのように一緒にAMBEOのコンテンツを制作、提供できるパートナーを見つけたい」と語っていた。今後もゼンハイザージャパンが出展するイベントなどで、AMBEOの音源を試聴できる機会が設けられることを願うばかりだ。

「日本でもAMBEOのパートナーを見つけたい」と語られた。今後の国内展開にも期待したい

(山本 敦)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: