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【特別企画】山之内正氏と同社代表が語り尽くす

<対談>DELAはネットワークオーディオをいかに変えたのか? 参入から「N10」登場までをふり返る

2018/12/01 聞き手:山之内 正 構成:PHILE WEB編集部
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荒木 バッファローの前身となったメルコは、創業者がオーディオアンプを手がけるために設立した会社です。紆余曲折がありパソコン周辺機器メーカーとして大きな会社になりましたが、メルコでの成功体験があったからこそここまで来れたのだと思います。ですから、お世話になったオーディオ業界に貢献がしたい、しかも今なら貢献できる立場にある。そういう思いはありました。

山之内 メルコのアナログプレーヤー「3353」は、今もう一度実現してほしいと思うほど、コンセプトにおいても物量においても優れた製品でした。モーターを別筐体として糸でプラッターを回転する機構など、後のハイエンドプレーヤーにも大きな影響を与えました。こうした製品を手がけることができるマインドがあったからこそ、ネットワークオーディオの世界でもこれだけの取り組みを成功させることができたのではないでしょうか。

DELA設立にあたっては、オーディオ業界に恩返しをしたいという気持ちがあっと荒木氏は語る

DELAが担う領域はこれからさらに広がっていく

ーー これまでも数多くの機能を実現してきたDELAのミュージックライブラリーですが、山之内さんが今後期待する機能はありますか。

山之内 音楽ストリーミングへの対応はさらに強化してほしいですね。海外で展開されているロスレスストリーミングのTIDALやQobuzにはすでに対応していますが、ぜひ日本で展開されているサービスにも対応を広げてほしいです。

山之内氏は特にストリーミングサービスへの対応などの点で、DELAのさらなる発展への期待を述べた

ーー 荒木さんには最後に、DELAの今後について、またどのような課題を持っているのか伺いたいと思います。

荒木 ミュージックライブラリーの機能はかなり充実してきたと思います。これからは何ができるかを地道に、ひとりひとりのお客様に伝えていくことが大事だと考えています。アイデア領域の話ですが、DELA 製品を使って初めてファイル再生ができた、というユーザーのみなさんが、横の繋がりを持っていただけたり、新しいユーザーを歓迎できる仕組みを作ることができたら、オーディオ業界にも貢献できるのではないかと考えています。

山之内 それはよいお話ですね。ネットワークオーディオを通じて、ヒューマンネットワークを築くことができたら理想的です。

荒木 入門者向けのニーズというのは常にありますので、それに応えられる体制も必要です。

ーー 最後にネットワークオーディオの登場からの約10年を振り返って、その中でDELAはどのような役割を果たしたのか、改めて山之内さんに伺えればと思います。


山之内 DELAの登場は、ネットワークオーディオへのハードルを低くすることと、その音質を向上させることの両方において大きな役割を担うことになりました。クオリティを向上させるためには、単にネットワークプレーヤーだけが進化するだけでなく、その周辺機器も進化する必要があるということをDELAは改めて気付かせてくれました。

一方で、ネットワークオーディオならではの拡張性、可能性というものはまだまだ開拓されきっていないとも思います。ここまでLINNの話が度々出ましたが、ネットワークオーディオを最初に提案したLINNはいま、A/D変換を吟味してアナログレコード再生をネットワークを通じて行うという提案をしました。このような可能性はまだまだあると思いますし、今後、DELAが関わっていく領域はさらに広がっていくでしょう。

DELAのミュージックライブラリーは、コンセプトにおいても、それを具体化した製品というレベルでも非常に重要な製品です。だれもが欲しがっていたのになかなか実現せず、既存のオーディオメーカーもそこまでの提案ができなかったものを、DELAが実現したことの意義は大きいと思います。この10年のオーディオの変化は今振り返ってみても激しいものでしたが、今後10年はさらに新しい変化が起こるでしょう。DELAがこれからも重要な役割を担っていくことを期待しています。

ーー 本日はありがとうございました。

特別企画 協力:メルコシンクレッツ

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