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インタビュー

【特別企画】山之内正氏と同社代表が語り尽くす

<対談>DELAはネットワークオーディオをいかに変えたのか? 参入から「N10」登場までをふり返る

聞き手:山之内 正 構成:PHILE WEB編集部

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2018年12月01日

山之内 私も試聴して「確かに音が変わる」と感心しました。本機を試聴室に導入したのですが、耳を疑うほど音がすっきりしたのです。その頃、試聴室がNASでいっぱいになっていてネットワークのトラブルも少なくなかったのですが、ハブを替えたらトラブルもなくなりました。こうした事実は、ネットワークオーディオの周辺機器や接続方法について改めて考えるきっかけになりました。

オーディオブランドDELAが誕生。オーディオ専用NASの可能性を突き詰めた「N1Z」

DELAブランドから「N1Z/N1A」がついに登場する

山之内 2014年2月にDELAブランドの創立され、「N1Z/N1A」が発表されました。開発にあたっては事前にアドバイスもさせていただきましたが、ここまで突き詰めたモデルを最初に実現させたことには驚きました。

2014年2月、DELAブランドの立ち上げと共に、最初の製品としてN1Z/N1Aが登場した

荒木 当初から私たちは、パソコン周辺機器のNASでは超えられない壁があると感じていました。だからこそ「考えうることを全部ぶつけてみよう」というのがDELAの当初からのテーマだったのです。

ですから、オーディオ事業を立ち上げた時点ではすでに、N1Zに近い姿はすでに構想していました。2012年の「音展」ではバッファローのNAS “Link Station mini” 用の外部電源を参考出展しましたが、これは後のN1Zで用いたコンデンサーバンクやスイッチング電源の原型になりました。まだ手探りでしたが、そこまでビジョンがあったからこそ、LS421における専門店の開拓にもより力が入りました。

山之内 N1Z/N1Aはその音質と同時に、オーディオ製品として扱われるに相応しい機能や使い勝手を実現しました。

荒木 機能性についてはAVアンプがモチーフになりました。例えば、AVアンプは同じライン入力端子でも「CD」や「DVD」とラベリングされていますが、パソコンやその周辺機器ではUSB端子が並んでいるだけ。どこに何を挿せばいいかは示されていません。N1Z/N1Aでは、USB端子はそれぞれ「データ取り込み用」「バックアップHDD接続用」「容量拡張用」、2系統のLAN端子は「プレーヤー用」「ルーター用」と用途分けを行いました。

山之内 本体にディスプレイを備えているのも画期的で、オーディオ機器と同様の操作性を可能にしました。スイッチを押すだけでの電源オン・オフも実現しました。こういうものが欲しいという潜在的な要求は伝えてはいましたが、それが現実になって「N1Z」として目の前に現れたときには感動がありました。

荒木 ディスプレイ搭載の背景には、CD以降のオーディオという問題意識がありました。当時、CDプレーヤーのドライブがそろそろ作れなくなるのではと懸念されていましたが、もし本当にそうなったら、受け皿となるネットワークオーディオが従来のような状況だとオーディオファンにとってはかなり辛いことになる。だからこそCDプレーヤーを使っている方々が、自分にも使えそうだと思える製品にしないと意味がないと考えていました。

発表会の会場に出展されたN1Z。音質と使い勝手の両方を追求したフラグシップモデルは、驚きを持って迎えられた

山之内 いわゆるナビゲーションツリー(サーバー内のライブラリをブラウズした際の階層構造)にまで踏み込んで、オーディオユーザーが使いやすいように最適化したのも大きかったです。ここに挙げた機能は今でこそ当たり前のようになっていますが、オーディオNASとして最初に実現したのはDELAでした。

荒木 ナビゲーションツリーは、従来のNASで要望を多くいただいていた点でした。TwonkyMedia Serverについてもオーディオ用に最適化を行い、さらに当時dCSやCHORDの製品が対応していたminimserverも使えるようにもしました。

ハイエンドオーディオのアプローチをNASで行った

山之内 使い勝手を追求する一方、NASとしての音質を突き詰めたことは、NASが音質を左右すること自体を知らしめたといえます。N1Zで実現されたオーディオグレードの筐体や電源、徹底したノイズ対策、オーディオ用として開発されたSSDの採用など、まさにハイエンドオーディオのメーカーが行うアプローチです。

発表会の会場で公開されたN1Zの内部。ハイエンドオーディオと呼ぶに相応しい電源や筐体、シンメトリーなレイアウトは、それまでのNASのイメージを覆した

荒木 N1Zでは、音質面についても当時できることは全てやりきった自負があります。そうしなければ、オーディオファンには認めてもらえないなと。NASでここまで音が変わることに気付いてもらえたら、新しい何かが生まれるのではという期待??ありました。

山之内 結果としてN1Zは約80万円という非常に高価なモデルなりましたが、同じタイミングで普及価格帯のN1Aも登場しました。

荒木 より多くの方に使っていただくためには、普及価格帯モデルも必要でした。従来のNASを見て「これだと自分にはちょっとできそうにないな」と思っているひとたちが、「これなら自分にもできそうだ」と思えるものを作りたかったのです。

オーディオ専用NASからミュージックライブラリーへ

コンセプトを拡張したUSB-DACトランスポート機能

山之内 N1Z/N1Aは発売以降もアップデートを重ね、次々と機能を追加していきました。特にUSB-DACをN1Z/N1Aへ直接接続できる「USB-DACトランスポート機能」は本機の役割を大きく広げて、そのコンセプトさえ拡張したと言えます。この機能についてはユーザーからの要望はあったのでしょうか。

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