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<山本敦のAV進化論 第108回>

KDDIが始める国内キャリア初のハイレゾ配信 ー キーマンが語る新しい「うたパス」の魅力

山本 敦

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2016年10月03日

au STARは、auのサービスを長期にわたって利用するユーザーのため、今年の夏から始まった会員制プログラムだ。

8月からはauショップでの窓口相談について、来店時間を予約できる「au STARパスポート」を導入開始。同時期からパス系サービスの旬なエンターテインメントコンテンツがもらえるなど、会員向けプチギフトを毎月用意する「au STARギフト」が走り出した。

さらに11月からは、auの契約年数とデータ定額料に応じて毎月電子マネーの「WALLETポイント」を還元する「au STARロイヤル」もスタートを待っている。

「au STARギフト」は、9月末までに会員登録を済ませると、auの動画配信サービスである「ビデオパス」で使えるコインを進呈していたが、これがビデオパスに登録していないauユーザーからの注目を集め、サービスの利用者拡大を後押ししたのだと宮地氏は説く。

「ビデオパス会員のボリュームゾーンは20〜40代ぐらいの方々ですが、10代や60代の方にお試しいただき、ビデオパスの面白さを体感してもらうきっかけを作ることができました。同様にハイレゾも含めて、うたパスの音源をダウンロードできる機会を今後提供していくことも検討したいと考えています」という。

こうした試みは、便利に楽しめる音楽配信、高音質なハイレゾに初めて触れる入門層のタッチポイントを大いに広げる良策となりそうだが、同時にスマートフォンやオーディオ機器など、ハイレゾ対応のハード機器に関する情報を伝えていくことも必要だ。谷氏に戦略を訊ねた。

「うたパスは音楽コンテンツの配信からスタートしますが、将来は当社のeコマースサービスとも連携しながら、ハイレゾ対応スマホのご紹介、一緒に利用できるイヤホンやアンプなどハイレゾ対応アクセサリーのセールスアップにもつなげたいと思っています」と谷氏。

「ここでもau WALLETが利用できることの強みが打ち出せるのではないでしょうか」とし、「また、これからはハイレゾ対応スマホのプロモーションについて、うたパスで配信する音源の無料ダウンロードキャンペーンなども企画できるはずです。当社の様々な商品やサービスをつなげながら、auユーザーのための魅力を強く打ち出していきたいと考えています」と語る。

■サービスのオープン化にも期待

筆者は今回のインタビューを通して、KDDIのような大手通信キャリアが積極的に音楽配信、ハイレゾの展開に乗り出していくことで、その可能性がまた大きく広がる手応えを得た。

音楽ライブやコンサートなど、生の音楽体験による感動にフォーカスしながら、その体験を手元にあるスマホやオーディオ機器でも手軽に再現できるハイレゾという打ち出し方が上手にできれば、より多くの音楽ファンが自然にハイレゾに興味を持てるはずだ。

若年層を中心に、LISMOを基点に「音楽に強いau」というイメージを浸透させてきたブランド力を活かして、KDDIが日本の音楽カルチャーにまた一石を投じてくれることを大いに期待したい。

その一方で、うたパスにとって当面の課題になるであろうことは、サービスがau IDを所有するユーザー以外に開かれていないという点だ。

先駆けてNTTドコモは、docomo IDをキャリアフリー化したことにより、dTVなどエンターテインメント系サービスのユーザー拡大に成功した。

今はauユーザーのためのエクスクルーシブなプレミアムサービスとして位置づけられている「○○パス」系サービスも、やがて他キャリアのユーザーが使えるようになれば、auの先進的な取り組みが注目され、引いては他キャリアからの転入ユーザーの獲得や、関連商品のセールスアップにもつながる可能性は大いにある。

うたパスをはじめ、auのリッチなコンテンツサービスのオープン化も視野に入れつつ、より多くのユーザーが良質なエンターテインメントを満喫できるようなサービスを実現して欲しいと思う。

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