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<山本敦のAV進化論 第75回>

ケタ違いの音を小型筐体に凝縮。話題のポタアン「Mojo」の秘密をCHORDフランクスCEOに聞く

公開日 2015/11/09 12:28 山本 敦
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ヘッドホン出力端子は本体片側に、3.5mmステレオミニ端子を2端子搭載している。それぞれにパラレルで音声信号を出力しながらペア試聴するためのもので、バランス出力には対応しない。その理由についてフランクス氏は「そもそもMojoではシングルエンドでつないでもノイズフロアが低く、ハイパワーが得られるため、バランス対応は不要と考えます。むしろバランス対応のためにアンプを増やして回路が大きくなれば、必然的に部品点数も増えるので、本体サイズに影響が出てしまいます。そのデメリットを避ける方を優先しました」と語っている。

ヘッドホン端子はペアリスニング用に2基備える

航空機グレードのアルミシャーシをつや消しブラックに着色して、エッジをラウンド処理にした筐体は、手に持つと非常に心地良い。Hugoの理想的なサウンドに近づけるため、フランクス氏とワッツ氏はノイズフロアを下げることに腐心したという。そのため「Hugo TT」の開発で培ったデジタルフィルタリングの技術をさらに練り上げたものを搭載しているが、消費電力はより低いレベルに抑えている。

フランクス氏は「内蔵バッテリーによる駆動時にはたったの1.5Wしか消費しません。Mojo専用に開発した、160度まで耐久できる安全性の高い高温対応バッテリーを組み込んでいるので、長時間音楽を聴いていても本体が過度に熱くなることはないはずです。万一バッテリーの温度が上昇した際には自動的にシャットダウンする安全機構も採り入れています」と説明する。

■ハイインピーダンスのヘッドホンも余裕で力強く鳴らす

Mojoの実機を借りることができたので、ハンドリングや音質のインプレッションもお届けしたい。再生機器にはiPhoneとMacBook Proを使用。ヘッドホンにはオーディオテクニカの「ATH-MS7」と、ハイインピーダンスなヘッドホンをどれほど鳴らせるのか試すためにベイヤーダイナミックの「T1 2nd Gen」も用意した。なお結論から言うと、インピーダンスが600Ωのベイヤーダイナミック「T1 2n Gen」も余裕で力強く鳴らすことができたが、今回は単純に組み合わせた時の音の好みで、ATH-MSR7を中心に試聴した。

MacBook ProとUSBでつなぎ、ATH-MSR7との組み合わせで音質をチェックした

インピーダンスが600Ωと非常に高いベイヤーダイナミックの「T1 2nd Generation」も余裕で鳴らす

外部機器との接続は、本体の側面に設けたmicroUSB端子、あるいは同軸/光デジタル端子を使う。microUSBと同軸デジタル端子は最大768kHz/32bit、光デジタル端子は最大192kHz/24bitまで対応している。なお、もう1基のmicroUSB端子は本体の充電用として設けている。

USB出力はmicroUSBを採用。同軸/光デジタル出力も備える

iPhoneやiPadと接続するためにはLightning-USB変換アダプターが必要になるが、ポータブルでも再生が可能。後述するが、将来的にアダプターを使わずにiPhoneと接続するためのソリューションもいま準備が進んでいる。

iPhoneとの接続にはLightning-USB変換アダプターを使用する

なおAndroidスマホについては、フランク氏いわく「市場に出回っている9割の製品と、OTGケーブルを介してつなげばハイレゾが聴ける」らしいのだが、筆者が使っているXperia Z2、あるいは取材期間中に手元にあったXperia Z5につないでみても音が出せなかった。どうやら使える組み合わせには制約がありそうだ。

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