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【特別企画】日本独自に進化する音質

Unique Melody最新イヤホン「MAVIS」「MACBETH」の進化を、開発者・評論家・編集部の“3者視点”で探る

2015/10/15 記事構成:ファイル・ウェブ編集部
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【2】評論家・野村ケンジが語る、MAVISとMACBETHにみる“Unique Melodyの進化”

続いては、数多くのオーディオ製品に触れてきた“評論家の目線”からUnique Melodyイヤホンを見ていこう。ご登場頂くのはUnique Melodyとミックスウェーブの共同開発モデルをずっと見てきた野村ケンジ氏。野村氏に、最新機種MAVISとMACBETHのサウンドを軸とした“日本におけるUnique Melodyの進化”について語って頂いた。

Unique Melodyとミックスウェーブの共同開発イヤホンの進化を見てきた野村氏

▼評論家目線で見た、Unique Melodyの取り組みについて

MASON、MAVERICKのユニバーサルモデル以降、Unique Melodyでは各国のユーザーニーズに応えるべく、各国ディーラーと共同してオリジナルドライバー構成&サウンドチューニングの製品作りを始めました。それだけ聞くと、まるでUnique Melodyがサウンドポリシーを持っていないかのように思えるかもしれませんが、それは全くの誤解。Jポップと洋楽を聴き比べれてみれば分かるとおり、そもそも楽曲自身のサウンドキャラクターは国によって異なります。そのように、国ごとで好まれる・よく聴かれる楽曲が異なっても、Unique Melodyらしいサウンドを楽しんでもらえるよう考えられたのが、このシステムなのではないでしょうか。同時に、各国のユーザーの好みに合わせた製品を作り上げたいという、Unique Melodyのユーザーフレンドリーさもうかがえます。そういう企業姿勢はとても好感が持てますし、いちポータブルオーディオファンとして、大歓迎です。

▼日本独自モデルとしての進化が現れたMAVISとMACBETH

MASON、MAVERICKからはじまって、MAVERICKカスタム、MAVIS、MACBETHと、Unique Melodyとミックスウェーブが共同で開発したイヤホンを発売順に聴いていくと、日本という国の、現在のポータブル環境においてどういったサウンドがベストなのか、考え続け、進化し続けた様子がとてもよく感じられます。最新作であるMAVISとMACBETHは、その集大成といえる存在。ひとことでいえば「しっかりとコツをつかんだ」といったイメージでしょうか。Unique Melody側は、どうすればリクエストに応えられるか引き出しの数が随分と増えた印象がありますし、ミックスウェーブの宮永さんも指示出しにだいぶ手慣た感じ(笑)。結果として、最新モデルの2機種は、コンセプトの明快なサウンドキャラクターに仕立てられています。

▼野村ケンジが聴いた、MAVISのサウンド

では、実際に2製品がどのような特徴を備えているのか。まず最初に、MAVISのほうはというと、まとまりの良いジェントルなサウンドに仕立てられています。低域に十分な量感を持ちつつ、しまりの良い、フォーカス感の高いサウンドが確保されているおかげで、ハードロックなどとの相性が良く、とてもグルーブ感の高い演奏が楽しめます。デュアルダイナミックドライバーというユニークな構成を巧みにコントロールして、低域の質感を格段にグレードアップさせている。完成度の高い製品といえるでしょう。

もうひとつ、MAVERICKとは異なるキャラクターに仕上がっていることも、MAVISならではの魅力となっています。明らかにMAVERICKのほうが解像感が高く、抑揚表現もダイナミックなのですが、環境や楽曲の好みによってはメリハリの表現がラフ過ぎると感じる人もいる傾向がありました。そのあたりMAVISはなかなかに優等生で、とても丁寧な抑揚表現を持ち合わせていて、演奏全体のバランスも良好で破綻が少ない。iPhoneと直接組み合わせると少し低域が強めに感じられますが、それは些細なもので、比較的プレーヤーを選ばない懐の深さを持ち合わせています。音質といい、使い勝手の高さといい、なかなか魅力的なイヤホンですね。

▼野村ケンジが聴いた、MACBETHのサウンド

いっぽうのMACBETHは、音楽の聴かせどころのツボをしっかりと押さえた、分かりやすいサウンドといったイメージでしょうか。パワフルな低域と伸びやかな中高域を組み合わせているのですが、十分な解像度感の高さ、倍音のノリの良さを備えているおかげで、けっして迫力オンリーにはならず、すがすがしく明瞭度の高いサウンドを楽しむことができます。プレーヤーとの相性では、iPhoneがベスト。iPhoneのヘッドホン出力は低価格イヤホンでも迫力のある、抜けの良い音を楽しめるバランスに仕立てられているのですが、それをうまく活用しているのでしょう、重心の低い重厚な音を楽しむことができる。同時に解像度の高さ、抑揚表現の丁寧さもしっかり感じられるため、誰でもすぐに“高級イヤホンに交換した”ことが分かる、格段に良質なサウンドを聴かせてくれます。絶妙なコーディネイトといえるでしょう。

ただし、iPhoneとの相性の良さとトレードオフで、プレーヤーを選ぶ傾向があるのも事実です。一連のUnique Melody&ミックスウェーブ共同開発製品のリファレンスプレーヤーとして活用されているというAK240であっても、iPhoneのようなベストマッチとまでは行かず、さらにAK380との組み合わせではかなりクセっぽい音になりました。逆に、AK Jrとは悪くない相性だったりと、環境によって随分と印象が変わるイヤホンだと感じました。お勧めは断然iPhoneですね。それも、できればiPhone 5S以降と組み合わせたいところです。

▼野村ケンジが語る、Unique Melody&ミックスウェーブへの期待

Unique Melodyとミックスウェーブが日本向けモデルを共同開発することで、多くのユーザーに喜んでもらえる、素晴らしい製品が誕生したと思います。同時に、Unique Melody自身も、サウンドチューニングにおけるスキルが格段に向上したと感じられます。結果として、ユーザーにとってもメーカーにとっても喜ばしい、意義のある企画になってくれたと思います。宮永さん、苦労した甲斐がありましたね(笑)

だからこそ、これから先の未来についても大いに期待したいところ。具体的には、AK240以外のプレーヤーでもベストな製品が聴きたいですし、いっそのこと、サンプル機で何種類かのサウンドバランスを用意して、ユーザーが好みでチョイスできるというのはいかがでしょう。ええ、宮永さんがさらに大変になりますね。でも、頑張り屋さんの彼ならきっと大丈夫! このように、MAVISとMACBETHは製品そのものの良質さだけでなく、企画としても素晴らしいもので、Unique Melody製品がさらなるステップアップを獲得する、絶好の機会でもあることは確か。引き続き、様々なことにチャレンジして欲しいところです。僕が想像できないような、さらなる斬新な新企画を大いに期待しています。

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