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IPS-3内部処理で22.4MHz DSDに変換して再生

Playback Designsの創始者コッチ氏に訊く、同社設立の経緯と「IPS-3」の革新性

公開日 2014/07/15 10:30 構成:ファイル・ウェブ編集部
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■Playback Designsを立ち上げ、MPS-5を開発

しかし、2003年にソニーはSACDプロジェクトを停止することになる。これを機に、コッチ氏は同年「AK Designs」を立ち上げる。そして、某ハイエンドオーディオ・ブランドの製品のデジタル部分を一手に手がけることになった。

SACD立ち上げ当時の状況を語るコッチ氏

2007年にはこのメーカーでの活動に区切りをつけ、Playback DesignsブランドによるリファレンスSACDプレーヤー「MPS-5」の開発に着手。「まったく真っ白な状態から始めました。D/A部からデジタルのアルゴリズムまで全てを新たに開発したのです」とコッチ氏。

コッチ氏はPlayback Designというブランド名についても語ってくれた。「Playback Designsというブランドを名乗ったのは2008年です。シンプルで明快なブランド名を長い間検討していたのですが、運良く『playbackdesigns.com』いうドメインがたまたま空いていて、これがいいと思って決めました」。

約25年の間、最先端のオーディオをアナログとデジタルの両面から見てきたコッチ氏にとって、DSDとはどのようなものなのだろうか。「もともとはPCMのA/D変換、D/A変換に不満や不具合を感じていたのです。そのときに現れたのが、1bitによるΔΣ(デルタシグマ)変換という考え方でした。この方法だとよりシンプルにできると考えて、DSDにのめり込んだのです」とコッチ氏は語る。

「アナログはサンプルレート無限大です。PCMは44.1とか192kHzなどのサンプルレートがあり、DSDならばMHz単位ですよね。さらにその上にアナログがあると考えていますが、DSDはよりアナログに近いと考えています」(コッチ氏)。

コッチ氏は、実はオーディオにおけるアナログ回路は設計したことがないのだという。「私はSTUDERに入ったときからずっとデジタル一筋でした」。

スタジオのエンジニアは、DSDに対してどう考えていたのだろうか。「ジョージ・マッセンバーグ、バーニー・グランドマン、ジェイムス・ガスリーら錚々たるエンジニアたちにDSDのデモを行ってきましたが、みんなとてもポジティブな反応でした。DSDのサウンドは、エンジニアにも好評でした」。(コッチ氏)

コッチ氏はPlayback Designsにおいて、なぜDSDに対して大きなこだわりを持っているかについても語ってくれた。

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