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春のHP祭・直前スペシャルインタビュー

SHURE開発者に聞く、新フラグシップ・イヤホン「SE846」誕生秘話

2013/05/10 インタビュー/中林直樹、構成/ファイル・ウェブ編集部
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−−SHUREではどのようなチーム体制でイヤホンを開発していますか。
エングストローム氏:イヤホンの製品開発に終始関わる“コアチーム”が10から12人ほどいます。このほかマーケティング、生産管理、デザイン、組み立てなど開発の各段階ごとに参加するスタッフを合わせると、およそ25人ほどのメンバー構成です。


エングストローム氏
開発段階では一つのプロジェクトごとにチームを組んでスタートします。全体を統括するプロジェクトマネージャーが1名、私やサリバンのような企画担当者が1名、メカニカルエンジニアが2名、アコースティックエンジニアが2名というチームです。アコースティックエンジニアは基本的に1名ですが、「SE846」には2名のスタッフが付きました。ここにマーケティングや生産技術管理、品質管理の担当者が加わるかたちです。プロジェクトごとにチームを組んで、終始一貫して関わっていくという当社の体制はポリシーやルールのような決まり事ではありませんが、習慣的に取り組んできたスキームですので、そこから得られるノウハウを蓄積しながら、これまで成功のかたちをつくってきました。

−−「SE846」に搭載されたドライバーは新規に開発されたものですか。
サリバン氏:はい、3種類のドライバーはそれぞれにサウンドキャラクターを持たせています。低域用のドライバーはダイヤフラムの可動域を大きく設計して、パワフルな低音を再生します。中域用ドライバーは感度を高め、エネルギー感のあるサウンドとしています。高域用ドライバーはマグネットやコイルに特殊な設計を施して、スピーディーなレスポンスを実現しています。

−−ドライバーのパーツは表面には数字が刻印されていますが、これにはどんな意図があったのでしょうか。また内部のパーツが見える“クリスタルクリアー”のカラーリングは、開発の早い段階から決まっていましたか。
エングストローム氏:数字の刻印については特に技術的な意味はなく、ルックスを良くしたいと考えてのものです。これまでのSHUREのイヤホンにも「E5」や「SE535」クリアカラーのものがありましたが、「SE846」ではより透明度を高めて内部のテクノロジーを見やすくしました。このまま行くと、次のモデルは本体が“インビジブル”になるかもしれませんね(笑)。同じクリアカラーのパーツでも、成形機械の精度が低いと“ムラ”や“ニゴリ”が出てしまいます。使っている素材自体はこれまでのモデルと同じABS樹脂で同じですが、「SE846」のクリアパーツの成形には特別に気を配っています。

クリアカラーのハウジングパーツは高度な成形技術で加工されたものであるという

−−これまでのSHUREのイヤホンと比較して、装着感がまた一段と高まっているように感じました。
エングストローム氏:イヤホン部の形状は丸みを持たせてコーナーを無くしています。コーナーを無くすことで、装着感がアップするだけでなく耐久性も高まります。

−−今のところクリスタルクリアーの1色が発表されていますが、カラーバリエーションをつくる予定はありますか。
エングストローム氏:今のところは発表したクリスタルクリアーが「SE846」の“スペシャルエディション”です(笑)。実際、私たちも「SE846」が発売された後に、「この色が欲しい」といった皆様の声を楽しみにしています。発表後にも、様々なコメントをいただきますが、カラーバリエーションに関する意見も多くあります。皆様の声を伺いながら、今後のカラーバリエーションはどんな色がふさわしいのかについて検討していきたいと思います。

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