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折原一也がパナソニック小塚氏とソニー島津氏を直撃

3Dメガネ規格標準化の狙いと展望を「フルHD 3Dグラス・イニシアチブ」キーマン2名に訊く

公開日 2011/10/06 13:42 折原一也
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また、先述したように、品質についての規準が設けられることも大きなポイントだ。インタビューでも再三触れられたことだが、互換性の問題以外に、使用している液晶の開閉速度が遅く3D表示に支障をきたすメガネも一部に存在していた。「フルHD 3Dグラス」のロゴライセンスには、こうした製品が市場に出回らないようにするため、品質基準が設けられる。

小塚氏 光ディスクでは例えば反射率などの基準値が設けられていますよね。これと同様に、3Dメガネについてもシャッターの開閉スピードや、透過率の最低値が定められるようになります。

こうした基準値をクリアした製品にライセンスを与えるわけですが、メガネメーカーにとっても「品質基準を満たしたからロゴが付いている」と、ユーザーに向かって安心して売れるようというメリットもありますよね。

なお、実際のライセンスの運営はパナソニックによって行われる。ただし、ロゴの製作はソニーが担当しており、制度の運営全体を各社が分担している格好だ。また、互換性の確認はそれぞれ4社の方式で実施。品質保証については共同のテストセンターを設けるかどうかなどをこれから決めていく段階とのことだ。

イニシアチブのロゴ

■クオリティ志向の“超高級3Dグラス"が発売される可能性も…

今回のライセンスについては、冒頭から何度も話が出ているように「ユニバーサルメガネ」と呼ばれるものに対してライセンスを行うことが主眼。ライセンスを与える側の4社にとっても、期待するのはサードパーティーのさらなる参入と3Dメガネの普及拡大だ。

島津氏 欧州の家電量販店では、すでにアクティブシャッターメガネだけがズラリと並ぶ売場があり、純正のメガネに混じってサードパーティー製のメガネが売られています。来年くらいには売り場の半分がサードパーティー製になっているかもしれない、というほどの勢いです。

XpanDのユニバーサルメガネ「X103」

ライセンスによって、一定の品質を保ちながらも軽いものや安いものなど様々な特徴を持つメガネがサードパーティーから登場すれば、欧州のように家電量販店で大々的な3Dメガネ売場が展開されるという状況が世界的に広がるかもしれません。

もう一つ、これも何度か話に出ているが、3Dメガネは画質に影響する要因でもあるということを、AVファンの視点として忘れてはならない。現在は一部を除いて各社純正品以外に選択肢はほぼない状況だが、メガネの透過率、シャッターの開閉スピードからも性能差、つまり画質に違いが生まれるのである。そうであるならば、ライセンスによるサードパーティーの参入が増加によって、「高画質を追求したプレミアム3Dメガネの発売」という事態も考えられる。

小塚氏 例えばAVメーカーではなく純粋なメガネメーカーが参入してきて、掛け心地や形状、軽さといった選択肢が増えるということがまず考えられます。また、AV系のメーカーから品質の高い液晶を使った、透過率の高いメガネが登場するかもしれません。

ヘッドホン/イヤホンの分野ではモンスターケーブルやシュアといったように独自のこだわりを持つメーカーが多数いますが、3Dメガネでも同様に、こだわりを持ったユーザー向けのものを開発するメーカーが出てきたり、また、B&Oのような形状にもこだわるメガネが登場する可能性もありますね。

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