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公開日 2026/06/15 06:30
ミドルウェアとオーディオの音質との関係性は?

フルデジタルアンプからゲーム、カラオケまで。ソフトウェアで「いい音」を支えるCRI・ミドルウェアの技術をOTOTENで体験しよう!

編集部:筑井真奈


CRI・ミドルウェアの会社入口


CRI・ミドルウェアという会社を聞いたことがあるだろうか。ゲームに詳しい方ならば、ゲームの起動画面に「CRIWARE」という文字が出てくるのを見たことがあるかもしれない。



CRI・ミドルウェアは、日本のゲームの開発に欠かせない存在であるとともに、家電や自動車にも関わる、「音と映像に関するプロフェッショナル集団」である。


長年にわたる日本のゲーム開発を支えてきた技術を強みに、シートベルト未装着時の注意喚起の音、しゃべるキッチン家電、業務用のカラオケ機器にも活用されており、その事業領域は幅広い。エンターテイメントから日常生活まで、ソフトウェア技術で音と映像の課題を解決している会社なのだ。


とはいえ基本はBtoBの会社で、一般的な知名度はあまり高くない。6月19日からスタートするOTOTENにもブースを出展するが、彼らは一体どのような会社なのか、またOTOTENでどういった展示を体験できるのかを予習として教えてもらった。


今年のOTOTENのガラス棟B1にて、CRI・ミドルウェアは、「ゲームでの立体音響体験」「ソフトウェアで作るフルデジタルアンプ」「小型立体音響スピーカー」「“歌うま”カラオケ」の4つの展示を用意する。それぞれに独創的な音の技術のプレゼンテーションを行う予定だ。


今回の出展は、オーディオファンの方はもちろん、音響機器メーカー・自動車メーカーなどの設計担当者、また将来音に関わる仕事に就きたい学生さんなど、多くの来場者に向けてCRI・ミドルウェアの取り組みを知ってもらいたい、という狙いがある。




 


ミドルウェアとは?


まず聞きなれないのが「ミドルウェア」という言葉だ。「ソフトウェア」「ハードウェア」という言葉は、スマートフォンの普及で多くの人にイメージが広がるようになった。「iPhone」というハードウェアに対して、「アプリ」というソフトウェアをインストールして使用する。それではその間にある「ミドルウェア」とは?


ミドルウェアを明確に定義することは記者の手に余るので、ここではCRI・ミドルウェア社の取り組みを理解するための補助線として捉えてほしいが、「ソフトウェアをマルチプラットフォームで動かすためのツール」と考えておくと良さそうだ。


昨今のゲームはPlayStation、Nintendo Switch、PCなどマルチなハードウェアで展開されるが、それぞれのハード向けに個別に開発するのは効率が悪い。


そこで、その開発を一元化するプラットフォーム、「共通の開発リソースで、どのハードでも動くように助けるツール」がミドルウェアである。


そしてCRI・ミドルウェアは、ソフトウェアからミドルウェアの領域において、「音」に対して高い専門性を持っている。


例えば今回紹介する「CRI ADX」というミドルウェアは、ゲーム内の音を“どのように鳴らすか”を直感的なツールで作成可能で、いまゲームのサウンドデザインのスタンダードとなっている。そしてゲームサウンドの世界では「インタラクティブ性」という、アニメや映画のような映像音楽とは決定的に異なる点がある。



CRI ADXのUI


映画では、たとえばヘリコプターを「左上から右上に動かす」といった演出があったら、音もそれに伴って動かせば良い。だが、ゲームの場合はユーザーがなんらかのアクションを起こし、それに対して適切な音が適切な位置から再生されなければならない。


そういったインタラクティブ性に応えるため、音を「オブジェクト」と捉え、ユーザーから入力される位置情報に対して、音場を作り込む、それがサウンドデザイナーの仕事となる。その作業を直感的に行うために「CRI ADX」が活用されているのだ。


またCRI ADXはヤマハの仮想立体音響ソリューション「Sound xR Core」を標準搭載している。これにより一般的なイヤホンやヘッドホンでも、あらゆる方向から聴こえる立体音響を手軽に作成できる。


実際に「CRI ADX」と「Sound xR Core」で作られたデモの画面をヘッドホンで体験させてもらった。OTOTENの展示では、ユーザーが自らコントローラーで操作できるものとなるそうだが、今回はムービーとして体験した。



ゲームの立体音響デモを体験!


うっそうと茂る森の中から物語はスタート。周りを見回すと川のせせらぎが見える、とともに、水の流れる音が、こちらの動きに合わせて変わってゆく。滝を背後にすれば轟音が後ろから聞こえ、上方からは鳥の羽ばたき、ゆっくり歩みを進めれば、落ち葉を踏みしめる音が耳に届く。洞窟に入れば音の反響も変わる。


背後でただならぬ音が!と振り向けば、いま渡ってきたばかりの橋が崩落している。現実世界でも思わず振り向いてしまうほどのリアリティだ。


この音響再現で使われているのは、ヤマハのごく一般的なヘッドホンである。“当たり前”に思えるこの音響世界を実現しているのが、CRI ADXというミドルウェアである。


担当者も、「ゲームのサウンドデザイナーがイメージした世界を効率よく、高品質に制作できる。クリエイティブな作業のパートナーとして提供しています」と胸を張る。ゲームにおける立体音響の進化も確認できる、ひとつめの驚きの体験である。


スピーカーまでデジタルで信号を送り出すCRI D-Amp Driverの技術


2つ目、オーディオファン的に特に注目して欲しい取り組みが、「CRI D-Amp Driver」というフルデジタルアンプ技術である。こちらは省電力・高効率・小型化を狙ったアンプ技術だが、その革新的な点は「デジタル信号のままスピーカーまで送り出す」ことにある。



CRI D-Amp Driver。指先でつまめるサイズのアンプで強力なパワーを実現する


通常のアンプシステムはスピーカーにアナログ信号を送り出すのだが、このCRI D-Amp Driverではスピーカーまでデジタルで信号を送ることができるというのだ。過去にもスピーカーにデジタル信号を送る技術は存在したというが、スピーカーを専用設計しなければならないなど、技術的ハードルが高かったそうだ。


だがこのCRI D-Amp Driverは、市販のスピーカーでも再生することができる、というのが大きなブレイクスルーとなる(なので、いわゆるD級アンプとは動作原理が異なる)。アナログ信号を送り込んでスピーカーを駆動するという、これまでのオーディオの“常識”に挑戦する、非常にクリエイティブな試みでもある。



一般的なスピーカーに接続して再生することができる。ここではKEFの「LS50」を組み合わせ


スピーカーまでデジタルで送り出すメリットはどこにあるか? 先述した通り小型かつ高効率で、消費電力はD級アンプの約半分。さらに、スイッチング周波数を低め(40 - 100kHz)とすることでロスが少なくなっており、またインピーダンスの変化が少なくなるという。


信号増幅にはMOS-FETならびにGaNタイプを用意しており、特にGaNタイプは高出力で、カーオーディオやプロ向けオーディオ機器などへの搭載を狙っているという。


OTOTENのデモンストレーションでは、カーオーディオ用サブウーファーによる大迫力の音体験ができる。「指でつまめるほどの小型アンプから繰り出されるパワフルなサウンド、そして“低発熱”をぜひ体験してほしい」と教えてくれた。



「人とくるまのテクノロジー展 2026」への出展の様子。OTOTENでは別のモデルとなるが、同じようにカーオーディオ用サブウーファーによるデモを実施する予定


5つのスピーカーで実現する立体音響


3つ目に用意されているのは、パイオニアのゲーミングスピーカー「SOUND TECTOR」。フロントの小型スピーカー(2基)と、ネックスピーカー(2基)、それにサブウーファーを加えた5基のスピーカーだけで、最大7.1chのサラウンド再生が実現できるものだ。



SOUND TECTOR。フロントスピーカー、リアサウンドエンハンサー(ネックスピーカー)、サブウーファーから構成される


SOUND TECTORの内蔵ソフトウェアにはCRI・ミドルウェアが携わっているそうで、少ないスピーカーの数でも、立体的なサウンド空間を実現できる技術が搭載されているそうだ。



リアサウンドエンハンサーを首にかけたところ


こちらもOTOTEN会場では、未公開のドルビーアトモスミックス音源が体験できるそうだが、まだ制作途中ということで、ここでは戦闘機による空中戦闘でお馴染みのゲームムービーを体験した。


頭上を飛び交う戦闘機の動きはもちろん、発射したミサイルの推進力、右斜め下で今直撃した、という細やかなゲーム内の重要な情報が、音としてしっかり伝わってくる。



戦闘機のゲームムービーで効果を体験


なぜ5つのスピーカーで立体音響が実現できるのか? かいつまんで説明すると、左右のスピーカー間のクロストークキャンセルを行うとともに、人間の耳がいかに音の距離や方向を認識するかという最新の研究成果が取り入れられている。


学術的にも極めて高度な内容を、コンパクトな回路とソフトウェアで実現した点にCRI・ミドルウェアの独自性があるという。


…というような難しいことは考えずとも、SOUND TECTORを活用することで、デスクトップで驚きの立体音場を味わえる。こちらもぜひ実機でそのサウンドの広がりに驚いてほしい。


“歌が上手くなる”カラオケの新機能!?


最後は“歌うま”カラオケ。CRI・ミドルウェアは第一興商と長年協業を行っており、同社が展開する業務用カラオケLIVE DAMの「採点機能」も、実はCRIが開発に参画しているそうだ。


昨年新たに投入されたカラオケマシン「LIVE DAM WAO!」では、新たに「ボイスマジック」と呼ばれる機能を投入。「歌うまフィルター」「なりきりエフェクト」「ハモルン」という3つの機能が新たに追加されている。



 DAMの「ボイスマジック」機能も CRIが開発に関与


「歌うまフィルター」は、歌い手の声をリアルタイムに解析し、ピッチを補正してくれる機能で、楽曲の予約時に設定できる。


音程の補正機能そのものは以前から存在しているが、“リアルタイム”かつ“その人の声質のまま”というのがポイントで、歌声をその場で解析、カラオケの楽曲データが持つ“正しい音程”に合わせて瞬時に、自分の声質でスピーカーから再生してくれる。



デンモクから予約時に各機能のオンオフも選択可能


要はDSP機能ということになるが、これまではどうしても声質が変わってしまっていた。またリアルタイム補正を実現するには膨大な演算量が必要で、実装が難しいというがあった。


今回の「歌うまフィルター」は、CPUのデータ処理能力が高まったこと、また声質を変えないまま音程を変える長年の研究成果により実現したものだという。「ハモルン」についても同様で、リアルタイムに“ハモり”を生成して再生してくれるものとなる。


ということでビックエコーにて記者の十八番、山口百恵の「Playback Part2」で、「歌うまフィルター」の有無を体験させてもらった。


これは予想外の歌いやすさ!スピーカーから正しい音程がでてくることで、こちらの歌も自然と引っ張られて音感を取りやすくなる。


「声に少しお化粧をするようなものです」と担当者も教えてくれたが、自分がより「気持ちよく」歌えることはもちろん、SNSでの“映え”投稿にも活用して欲しいと考えているという。


OTOTENの会場にも「LIVE DAM WAO!」を持ち込み、この「歌うまフィルター」等を体験できるようになっているそうだ。「実際に歌ってくれる方がどれくらいいるかわかりませんが…恥ずかしがらずにぜひ体験してください!」とのこと。


隠れた音の専門家集団


CRI・ミドルウェアのOTOTENの展示はこの4種類。これだけでも、“音”に関する多様な専門的知見を持ち、研究を重ねている会社であることがわかるだろう。実はこれはCRI・ミドルウェアの取り組みのごく一部で、オフィスに立体音響対応のスタジオを所有し、映画の立体音響の制作も行っている。ほかにもグループ会社の音響制作会社では、ゲーム音声の収録や、声優の声を活用したコンテンツ制作なども手掛けているという。


隠れた音の専門家集団、CRI・ミドルウェア。音の表現の新しい可能性を模索する先鋭的かつクリエイティブな企業の取り組みを、ぜひOTOTENの会場で体験して欲しい。









Photo by ITSUKA(AMP UP)


【OTOTEN2025 開催概要】



・日時:2026年6月19日(金) 13:00 - 19:00(プレミアムデー、入場料1,100円)
    2026年6月20日(土) 10:00 - 19:00(入場無料)
    2026年6月21日(日) 10:00 - 17:00(入場無料)
・場所:東京国際フォーラム
    東京都千代田区丸の内3-5-1
・主催:一般社団法人日本オーディオ協会


CRI・ミドルウェアは【ガラス棟 B1F ロビーギャラリー】に登場!


(提供:CRI・ミドルウェア)

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