有力ブランド開発陣による珠玉のリファレンス、映像コンテンツ<音質編>
AVアンプやサウンドバーといったサラウンド機器の開発陣へオススメの映像コンテンツを訊いた。
映像コンテンツに収められた情報を余さず引き出したいと望むオーディオビジュアルファンにとって、4K/HDR、イマーシブサウンドなど最先端の映像音響を再生するハード機器の性能は、なにより重要。また同様に、それらハード機器の開発陣が、製品開発時に使用しているリファレンスソフトや画作り、音作りの参考にしているコンテンツも気になることだろう。
そこで今回、年末の特集企画として国内外の有力ブランド開発陣にアンケートを実施。本稿では、4Kテレビやプロジェクターの開発陣に「画質」を切り口に、製品開発時にリファレンスとして使用している映像コンテンツを教えていただいた。
4Kテレビ開発陣から、ハイセンス、パナソニック、シャープ、ソニーの4社、プロジェクター開発陣から、ベンキュー、エプソン、JMGO、JVCケンウッドの4社、合計8社にご協力いただき、4K UHD BD、動画配信から、それぞれ1作品ずつ(メーカーによっては動画配信から2作品)、見どころ、聴きどころをご紹介いただいた。
年末年始は映像コンテンツにじっくりと浸れるまたとないチャンス。ぜひ各社開発陣にご紹介いただいた映像コンテンツを参考に、珠玉の映像音響に酔いしれてみてはいかがだろうか。(PHILE WEB編集部)
当社の画質チューニングは「鮮やかさ」と「自然さ」の両立を軸に、ユーザーの視聴傾向やフィードバックを踏まえて最適化を行っています。特に地上波放送および視聴頻度の高い動画配信サービスを重視し、あらゆる視聴環境において高い満足度が得られる映像体験の提供を目指しています。
動画配信で視聴可能な『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は、動画配信向け画質チューニングにおける重要なリファレンス作品です。水中や山岳、河川の精細な描写や光の揺らぎ、豊かな明暗表現は、当社が追求する輝度/コントラストチューニングとの親和性が高く、配信視聴においても高い没入感を生み出します。
一方、4K UHD BDの『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』は、大画面テレビの性能評価に適した作品であり、75型以上の画面サイズでは、市街地でのカーチェイスや爆破シーン、傷や反射、炎の色味などを精細に確認することができます。これら2作品は、動画配信および大画面テレビ双方を意識した画質設計において、当社ではきわめて有用なリファレンスコンテンツとなっています。
●侯氏プロフィール
ハイセンスの画質エンジニアとして、日本市場向けテレビ全シリーズの画質設計/チューニングを統括し、日本市場に向けた画質調整を行っている。近年はヒットモデル “U8シリーズ” の画質開発を担当し、多くのアワードを受賞。年間を通じて評論家との意見交換を重ねながら、116型をはじめとした大画面モデルの開発に注力している。
●開発に携わった代表モデル
・4K液晶テレビ:Hisense「116U9R」
・4K液晶テレビ:Hisense「U8Rシリーズ」
・4K液晶テレビ:Hisense「U7Rシリーズ」
私たちはクリエイターの意図を再現し、コンテンツの力を伝えることにこだわってきました。特に暗部の再現性と色の正確さを重視しています。どのメディアでも大切ですが、映像の豊潤な情報の解析のため、4K UHD BDを基準としながら、動画配信でもその再現性を検証しています。
4,000nitsの高輝度も含む『ハドソン川の奇跡』は、トム・スターン(撮影監督)の撮影の明瞭な見晴らし、光と闇の表現が見事。CH5、煌めく街燈と主人公の葛藤の対比から軍港の闇に辿り着くまで。電子看板の高階調色再現や暗部階調再現の見極めに重宝しています。
一方、動画配信では先端技術で制作されるオリジナル作品の中から『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』を。EP1冒頭、雷雪からの城内探索シーンの、明滅や松明の高輝度、空間表現に重要な暗部の描写をチェックしています。
●真田氏プロフィール
日本/海外向け民生テレビの開発に商品企画として長年携わる。特に有機ELテレビ開発では、ハリウッド制作者コラボレーションの立ち上げを含め、初代機から最新機種まで、グローバルでのモデル開発に一貫して取り組んでいる。
●開発に携わった代表モデル
・4K有機ELテレビ:パナソニック「VIERA EZ1000シリーズ」
・4K有機ELテレビ:パナソニック「VIERA GZ2000シリーズ」
・4K有機ELテレビ:パナソニック「VIERA Z95Bシリーズ」
昨今、動画配信が台頭し、ユーザーの視聴スタイルもそちらが中心になりつつありますが、“画質評価のリファレンス” という意味では、まだまだ4K UHD BDによる評価を重視しています。その理由は、画質評価は視聴環境に左右されず、常に同一のクオリティが得られる必要があるためです。
今回、推薦した4K UHD BD『マリアンヌ』は、高精細カメラで撮影されHDR特有の階調表現に優れたディスク。シャープが画質設計で最も重要視している暗部階調表現や、光の輝き表現、肌色や衣装の質感表現力など、随所に見どころが散りばめられています。
CH2の冒頭シーン、ひとつひとつが微妙に異なる色で表現されている街灯や、ブラッド・ピットが入っていくバーのシャンデリアの細かい光の輝きの表現力、CH11の空襲シーンでの飛行機の輝き表現と暗闇に光る建物の陰影表現などを、いかに忠実に表現できるかに注力して画作りを行っています。
●下田氏プロフィール
入社以来、ホームシアター用プロジェクター、液晶テレビ、8Kテレビ等の製品開発、研究開発業務に従事。幅広いカテゴリーの表示デバイスを用いた製品の画質設計業務を経験、現在は国内向けAQUOS の画質設計業務を担当。
●開発に携わった代表モデル
・8K液晶テレビ:シャープ「AQUOS 8K AXライン」
・4K液晶テレビ:シャープ「AQUOS XLED EP1ライン」
・4K有機ELテレビ:シャープ「AQUOS QD-OLED HS1ライン」
映画視聴のリファレンスとしては、4K UHD BDも動画配信も両方大事にしています。以前より、高ビットレートかつ再生の安定した4K UHD BDでの評価を行っていますが、近年では配信パートナーと協業して作り上げた “スタジオ画質モード” の搭載もあり、動画配信の評価も入念に行っています。
『トップガン マーヴェリック』は、夕暮れにビーチでフットボールを行うシーンに注目。鮮やかな夕日の色の再現や、波の煌めき、逆光の中でも陰に埋もれることなく人物の表情が読み取れるかなど、細かなニュアンスまで体感してもらいたいです。
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』は、物語の序盤、廃墟を進み戦闘が始まるシーンで、暗がりの中の細部から空間の広がりまで感じられます。ヴェノム体表の艶やかさもリアルで、まるでその場にいるかの様な没入感が味わえます。
●國司氏プロフィール
入社以来,テレビ画質の開発から設計に従事。主にAIを用いた映像分析やシーン最適化技術の開発、製品化など、高画質化技術のアルゴリズム開発を担当。近年は担当業務の幅を広げ,バックライト制御など映像信号処理だけではなくデバイスやハードウェア制御も担っている。
●開発に携わった代表モデル
・4K液晶テレビ:ソニー「BRAVIA 9(XR90シリーズ)」
・4K液晶テレビ:ソニー「BRAVIA 7(XR70シリーズ)」
・4K有機ELテレビ:ソニー「BRAVIA A95シリーズ」
現在も引き続き、4K UHD BDを画質比較および確認の中心的な基準として使用しています。主な理由は、4K UHD BDは圧縮率が最も低く、ビットレートが最も高いため、オリジナルのマスターデータに最も近い品質を再現できることにあります。
また動画配信プラットフォームのアルゴリズム調整、サーバー負荷の変動、地域ごとの差異、ユーザー側の回線状況などの影響を受けないため、最も信頼性が高く、一貫した画質の基準を提供できます。一方、動画配信は画質技術が進歩しているとはいえ、プラットフォームの方針によって明るさ、色彩、HDR形式、さらには音声トラック構成に至るまで差が生じる可能性があり、バージョンごとに完全に同じ画質が得られるとは限りません。
しかし、現在では動画配信が最も一般的な視聴方法となっており、各プラットフォームもエンコード効率の改善や高品質コンテンツの提供を進めています。そのため、4K UHD BDを主軸として維持しつつ、今後は主要な動画配信プラットフォームについても、より広範で精密な画質/仕様の確認を進め、総合的な評価結果がより包括的で、実際の視聴ニーズに合致するようにしていく予定です。
●Eric氏プロフィール
BenQの家庭用プロジェクターにおける主要な画質調整/色彩調整の責任者として、製品の初期映像設定から最終的なビジュアル表現に至るまで、全体的な品質管理を担当。THXおよびISFのプロフェッショナル認証を持ち、映像補正基準、カラーマネジメント、各種表示技術に精通しており、各製品が制作者の意図に沿った、正確で自然な視聴体験を提供できるよう尽力している。
●開発に携わった代表モデル
・4Kプロジェクター:BenQ「HT8050」
・4Kプロジェクター:BenQ「HT5550」
・4Kプロジェクター:BenQ「W4100i」
製品開発時は4K UHD BDをリファレンスとして画作りをしています。理由は入力信号が安定し、ビットレートが高くノイズが少ないためです。動画配信は仕上がり確認に使用しています。
『アクアマン』は、夜の暗い背景にネオンの鮮やかさが際立ったコントラスト感が高いシーンや、明るく色鮮やかで奥行き感がある市場のシーンなどが見どころ。『モアナと伝説の海2』は、毛並みや服の精緻なディテールの作り込みが非常に優れており、夜のコントラスト感や、昼の色鮮やかさも見どころです。
画作りでは、明暗のコントラスト感、シャープネスの最適化を追求しており、特にシーンごとのコントラスト感を改善するシーン適応ガンマにこだわって設計を行っています。
●伊藤氏プロフィール
入社以来、プロジェクターの画質設計に従事。色やコントラスト感、精細感などを調整し、常によりよい画質を目指して画作りを行っている。現在は主に家庭用プロジェクターの画質設計を担当。
●開発に携わった代表モデル
・4Kプロジェクター:エプソン「EH-LS12000」
・超短焦点プロジェクター:エプソン「EH-LS670」
・スマートプロジェクター:エプソン「EF-61/EF-62」
・スマートプロジェクター:エプソン「EF-71/EF-72」
製品開発を行っている中国では、視聴コンテンツの中心は動画配信となっているため、画質評価も動画配信の作品を中心に行っています。
3色レーザーシリーズの開発では、広い色域や高いコントラスト再現を検証するため、『マイ・エレメント』では、火と水の極端な冷暖差を正確に再現できるか。他にも『私ときどきレッサーパンダ』では、ピンクのパンダの毛並み、北米チャイナタウンのネオンを階調豊かに表現できるかを確認しています。
また、映画館レベルのHDR体験を叶えるため、『トランスフォーマー/最後の騎士王』の金属ボディや爆発シーンのハイライトを鮮明に映せるかなども確認しています。
●陳氏プロフィール
2011年よりJMGOで投写技術に携わり、LED投写や短焦点、3色レーザーなど革新的技術を牽引。現在はハード/光学分野の戦略専門家として、世界の市場ニーズを分析し、製品開発を導く役割を担い、発展に貢献している。
●開発に携わった代表モデル
・4Kプロジェクター:JMGO「JMGO O2S Ultra 4K」
・4Kプロジェクター:JMGO「JMGO N1S Ultimate 4K」
・4Kプロジェクター:JMGO「JMGO N1S 4K」
現在の開発では、4K UHD BDのしっかりした作り込まれたHDR映像を評価の基準としていますが、実際の視聴では配信コンテンツも多いので、その画作りも同じくらい大切にしています。
中でも『ジョーカー』の4K UHD BDは、暗い地下や路地の深い影と、ネオンや化粧の鮮やかさが同じシーンに混ざるところが魅力で、濡れた路面の反射や水の質感など、細かい部分の再現を確認するのにとても向いています。
開発の段階では、そうした暗さと明るさの境目を丁寧に追い込みつつ、派手な光が入った瞬間の眩しさや色の鮮やかさが不自然にならないように気をつけています。作品の空気感を壊さず、そのまま没入できる映像を目指して調整しています。
●伊藤氏プロフィール
プロジェクターが生み出す圧倒的な臨場感に魅了され入社。以来「DLA-V90R」から画質開発に携わり、HDR処理や色再現の改善に取り組む。日頃鑑賞しているアニメやライブで心を動かされた色や演出をヒントに、作品の魅力がまっすぐ伝わる画作りを目指している。
●開発に携わった代表モデル
・8Kプロジェクター:ビクター「DLA-V90R」
・8Kプロジェクター:ビクター「DLA-V900R」
・4Kプロジェクター:ビクター「DLA-Z7」
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