ついにAirPodsの純正「カスタムEQ」登場!iOS 27ベータ版で試した
2026/06/20
今年もAppleの秋のスペシャルイベントを現地で取材した。そこで発表された大事なプロダクトのひとつが完全ワイヤレスイヤホン「AirPods 5」だ。
実機をいち早く入手できたので、サンフランシスコから東京・羽田までの長距離フライトの間に、音質やアクティブノイズキャンセリング(ANC)の実力を試した。
AirPods 5の外観は「AirPods 4」から変わっていない。シリコン製イヤーチップで耳を密閉せず、耳のくぼみに軽く乗せるオープンイヤー型のスタイルも初代AirPodsから受け継いだ。
一方、内部には「AirPods Pro 3」から着想を得た新しいマルチポート音響アーキテクチャと、次世代のアダプティブイコライゼーションを採用した。
筆者が独自に取材して得た情報によると、新しい音響設計によって低音の量感を高めながら、ボーカルの明瞭度や楽器の分離感も向上させたようだ。
次世代のアダプティブイコライゼーションは、より幅広い周波数帯域を対象に、ユーザーの耳の形や装着状態に合わせてサウンドを整える。
搭載しているチップはAirPods 4と同じApple H2だ。今回の音質やANC、外部音取り込みの進化はチップの刷新によるものではなく、音響構造とアルゴリズムの改良によって実現している。
AirPods 5には23,800円の標準モデルと、27,800円の「ワイヤレス充電ケース付きAirPods 5」がある。後者が上位モデルだ。
AirPods 4では標準モデルがANC非搭載、上位モデルがANC搭載だったが、AirPods 5は両モデルともANCや外部音取り込み、適応型オーディオ、会話感知に対応する。基本的なリスニング性能も同じだ。
上位モデルはUSB-Cに加えて、Apple Watch用充電器とQi規格によるワイヤレス充電に対応する。さらに「探す」アプリから音を鳴らせるスピーカーもケースに搭載した。
そして一番重要なこととして、ステムを上下になぞって音量を調節する機能を備えている。AirPods Proのユーザーには馴染みの機能だ。
ANCオン時のバッテリー駆動時間は、標準モデルがイヤホン単体で最大4時間、ケース込みで最大20時間。上位モデルは単体で最大5時間、ケース込みで最大22時間だ。
どちらを買うべきか聞かれたら、筆者は迷わず4,000円を加え、上位モデルを選ぶ。ステムによる音量調節は、絶対にあった方が便利だからだ。単体で1時間長いバッテリー駆動も長距離フライトでは効いてくる。
AirPods 5のイヤホンは左右それぞれ約4.3g。耳に軽く乗せるだけで自然にフィットして、しばらくすると装着していることを忘れそうになる。
頭を強く左右に振ってもイヤホンは簡単に外れなかった。IP57等級の防塵・耐汗耐水性能も備えるので、ランニングやトレーニングにも安心して使えそうだ。
ただし、機内で眠る時には注意したい。ヘッドレストや枕に耳を押し当てると、AirPods 5がずれて落ちることがある。長距離便で寝落ちして、そのままイヤホンをなくさないようにしたい。
AirPods 5のアクティブノイズキャンセリング(ANC)は、今回のフライトで最も強く実感できた進化点だ。
機内ではエンジンが生む継続的な低音ノイズが鳴り響く。ANCをオンにした瞬間、ノイズがすっと遠ざかった。耳をイヤーチップで密閉していないにもかかわらず、この静寂感が得られるのは驚くほかない。
ANCの効果は、本機が開放型イヤホンであることが、にわかには信じられなくなるほどだ。また、不自然にANCを強調する感覚がないので、長時間使い続けても疲れないことも、長旅の時にはありがたい。
AirPods 5は、ANC搭載AirPods 4と比べて最大50%多く周囲の雑音を除去するとAppleが説明している。
背景にある技術的な挑戦について、筆者が独自に得た情報では、新しいマルチポート音響アーキテクチャを採用すると同時に、ANCを制御するアルゴリズムも全面的に刷新したからだという。
サンフランシスコに滞在している間は、プレスルームやホテルのラウンジなどでも試した。人の話し声や食器が触れ合う音など、不規則な中高域の音まで完全に消えるわけではない。
それでも音楽や動画を再生すると、残った環境音はコンテンツの背後へきれいに沈み込んで気にならなくなる。ノイズに対抗して無理にコンテンツの音量を上げなくても、サウンドに深く没入できた。
ステムを長押しし、外部音取り込みへ切り替えると、それまで抑え込まれていた飛行ノイズが一気に耳へ戻ってきた。「機内はこれほど騒がしかったのか」と我に返るほど、ANCとの落差は鮮烈だ。
外部音取り込みの聞こえ方も自然で、乗務員の声がイヤホン越しに不自然に色づくことがない。ステムをクリックすると素速くANCと外部音取り込みが切り替わるので、乗務員とのコミュニケーションも妨げられない。
この外部音取り込みの進化にも、新しいアルゴリズムが深く関わっている。音楽再生時に耳の中へ届く音を捉えて補正するアダプティブイコライゼーションの知見を、外部音取り込みにも応用した。
そして、ユーザーの耳の形に合わせて聞こえ方を個別最適化しているという。この技術はAirPods Pro 3で先行して導入され、AirPods 5にも展開された格好だ。
iPhone AirとApple Musicで幾田りらの『Actor』を聴いた。ボーカルは口元のニュアンスが明瞭で、繊細なビブラートまで丁寧に捉える。
ドラムスの低音は深く柔らかく響き、温かなホーンセクションに包みこまれる。シンセサイザーは高音域の透明感が際立ち、ハイハットやスネアの鮮やかな粒立ちも伝わってきた。
クレイロのアルバム『Charm』から「Juna」では、ウィスパーボイスの歌声にしっとりと包まれる。Dolby Atmosによる空間オーディオをオンにすると音場がゆったりと広がり、作品独特のローファイなエフェクトも味わい深く再現した。
久保田利伸のベスト盤から「TIMEシャワーに射たれて…」では、力強いボーカルの肉付きが機内ノイズに削がれない。コーラスの厚みをどっしりと描きながら、エレキベースとドラムスが弾力のある低音を刻む。ロック&ポップスの躍動感を機内でも余すところなく楽しめた。
AirPods 5は、パーソナライズされた空間オーディオとダイナミックヘッドトラッキング、自動耳装着検出、適応型オーディオ、会話感知などにも対応する。
iOS 27と最新ファームウェアの組み合わせでは、低・中・高音域を調整できる3バンドのカスタムイコライザーも使える。機能はシンプルだが音の変化はわかりやすく、AirPodsのサウンドを好みに合わせて追い込める。
この機能の詳細はGadget Gateにレポートしているので、本稿と合わせて読んでほしい。
動画撮影時にAirPodsをワイヤレスマイクとして使う「スタジオ品質のオーディオ録音」や、ステムを押して写真撮影、動画の録画開始・停止を操作するカメラリモートにも対応する。
スタジオ品質の録音は対応する他社製アプリでも利用できるが、通話ではなくコンテンツ収録を主眼とする機能だ。
本機について惜しい点をひとつ挙げるとすれば、充電ケースにストラップホールが欲しかったということ。
AirPods Pro 3にはリストストラップを装着できるだけに、AirPods 5にも同じ仕組みがあれば紛失防止の安心感が高まったはずだ。筆者はストラップホールを備えるサードパーティ製ケースを組み合わせようかと思案している。
近年、耳の穴を物理的にふさがないオープンイヤー型イヤホンが人気を集めている。
だが、外部音取り込みによって、まるでイヤホンを着けていないかのように周囲の音を聞き取れ、騒がしい場所では強力なANCを効かせられるのであれば、「耳をふさがない構造」でなくても、十分な快適さを得られるのではないか。
筆者はAirPods 5に触れながら、あらためてこのことを考えた。
AirPods 4のANC搭載モデルを上回るノイズキャンセリング性能と、より自然な外部音取り込みを備えながら、従来のANC非搭載モデルに近い価格帯まで抑えたAirPods 5は、次世代ワイヤレスイヤホンの新たな基準、いわばゴールデンスタンダードになりそうだ。
ここまで完成度の高いワイヤレスイヤホンを、Appleがスタンダードモデルの価格帯に投入した意味は大きい。ライバルメーカーもうかうかしてはいられないだろう。