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公開日 2025/12/18 06:30
ネットワークプレーヤーの「金賞」受賞は史上初の快挙

ネットワークオーディオに、新たな扉を開く。オーディオ銘機賞の栄えある“金賞”、エソテリック「Grandioso N1」の実力に迫る

角田郁雄

ネットワークオーディオに新たな歴史が生まれた。ESOTERIC(エソテリック)のフラグシップネットワークプレーヤー「Grandioso N1」が、オーディオ銘機賞2026において「金賞」を受賞した。ネットワークオーディオ関連機器が金賞を受賞するのは、史上初のこと。その快挙の理由を、審査員である角田郁雄氏が解説する。



ESOTERIC ネットワークプレーヤー「Grandioso N1」(3,960,000円/税込)





一体型ネットワークプレーヤーの究極を追求


本機は、第4世代のエソテリック・ネットワーク・エンジンG4を搭載、最新のMaster Sound Discrete DAC G2によるDAコンバーター技術を搭載した一体型のネットワークプレーヤーである。


有線LAN(RJ45)とSFPを各1系統(同時使用可能)、USBはtype AおよびCの2系統を装備。もちろん、USBストレージも接続でき、ネットワークサーバーとして再生することもできる。



本機のリアパネル。アナログ出力端子はRCAとXLR。XLR端子は電流伝送方式「ES-LINK Analog」に対応している。デジタル入力は、RCA同軸、AES/EBU、光TOS、USB TYPE-B、ES-LINKを装備する


エソテリック・ネットワーク・エンジンG4のネットワーク基板には、大容量RAMを装備したパワフルなCPUを搭載し、フラグシップにふさわしい超高速処理を誇っている。



ESOTERIC Network Engine G4の基板と専用の大型電源トランス


デジタル制御基板には、同軸/光、XLRバランス、HDMIによるES-LINK5、10MHzクロック入力を装備。ES-LINK5を使用すれば、SACDトランスポート「Grandioso P1X」と接続した高品位なSACD再生が可能となる。他の同社トランスポートとも、1本のXLRデジタルケーブルで接続できる。


この基板には、ネットワーク・エンジンで処理された信号も伝送される。その基板上にはFPGAが配置され、PCMのアップコンバートやPCMのDSD化を可能にしている。


最新のディスクリートDACで音楽の躍動感を目指す


FPGAで処理されたデジタル信号は、データとクロックが左右に分離され、最新の第2世代のMaster Sound Discrete DAC G2でDA変換される。これは、音質と精度を極めたディスクリート部品で構成したFPGAベースの完全自社設計のマルチレベルΔΣ DAコンバーターである。汎用のDAC ICチップでは実現不可能な音楽の躍動感、エネルギーの完全再現を目指して開発が進められた。


その基板は実に大規模である。1チャンネル当たり32のエレメントで構成され、クロックドライバー、ロジック回路、コンデンサー、抵抗などの主要部品をエレメント毎に全て独立させている。



Master Sound Discrete DAC G2の基板


特に抵抗は精度だけではなく、音質を重視し、チップ抵抗ではなく、メルフ抵抗を採用。今回は、この抵抗エレメントをON/OFFするフリップ・フロップICを変更し回路を最適化。ICの直近にコンデンサーを追加することで電流供給能力を向上させ、ノイズの低減を図り、FPGAとフリップ・フロップ回路の電源回路も分離。



天板を開けたところ。フロントパネル側(写真奥)の2基のトランスは、ネットワーク用とデジタル用のものである




底板を開けた内部。各部を強力なリニア電源駆動することで、アナログ再生のように滑らかで実在感のあるサウンドの実現を図っている


スルーレート:2000V/μsという驚異的なハイスピードを誇るアナログ出力バッファーアンプ、ESOTERIC-HCLDの電源もホット・コールド分離し、個別の電源レギュレーターから給電する方式を採用。


このHCLD自体にもさらなる物量を投入し、D1X SEと同じデュアル・バッファー回路(4回路/1ch)とすることで、電流出力をさらに強化し、立ち上がりが速く、パワフルかつ豊かな音質を獲得している。


アナログフィルター部には、独自のディスクリート構成のIDM-01増幅素子も使用されている。もちろん、同社の電流伝送であるES-LINK Analogに対応することは当然であり、本シリーズのプリアンプとパワーアンプで統一し、完全電流伝送が完結する。


本機には、最新のクロック回路Master Sound Discrete Clock For Digtal Playerを搭載する他、システム合計で4基のトロイダル・トランスとEIトランス1基搭載のリニア電源を搭載。外部電源強化ユニット、Grandioso PS1も接続可能であり、10MHzクロック・ジェネレーターGrandioso G1Xとともに3筐体システムにアップグレードできるのである。


ハイエンドらしい透明感やフレッシュさがある


ハイレゾダウンロードを再生しようが、Qobuzを再生しようが、音質に違いを感じさせない。まさに生の音楽を聴いているかのような臨場感を鮮明にする。


音色としては、一体化構成であり、最新のDACを搭載したこともあり、良い意味で、ハイエンドらしい音の透明感やフレッシュさがある。


聴感上のオーディオ特性としては、ダイナミックレンジが拡張され、高解像度ワイドレンジ特性を鮮明にするところがある。バッファーアンプの効果により、音楽の躍動を全面に再現してくれる。


音楽に没頭させる、浸透力のある音楽再生にも驚愕するところがあり、オーディオ特性を忘れさせるところがある。まさに唯一無二の独自の技術が音に反映しているのである。


「ハイエンド大賞」を受賞したネットワークトランスポート「Grandioso N1T」とも共通した、洗練の極みまでも漂わせている。


(提供:ティアック)




本記事は『季刊・オーディオアクセサリー 199号』からの転載です。

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