その音質、もはや「オーディオ機器級」。最新サウンドバー「Sonos Arc Ultra」がVGPホームシアター大賞に選ばれた理由を探る
鴻池賢三洗練されたスタイルのみならず、ネットワークオーディオ時代に相応しい先進的な機能や使い勝手を実現し、オーディオ界の新旗手として注目を集めるSonos。ヘッドホン、ワイヤレススピーカー、サウンドバーと、どの製品も「Sonosらしさ」が光る。
そのSonosが、名モデル「Sonos Arc」発売から5年を経て、サウンドバーのフラッグシップモデル「Sonos Arc Ultra」を投入。VGP2025 Summerでは、革新的な技術の採用と卓越したサウンドパフォーマンスが大いに評価され、部門金賞のみならず栄誉ある「ホームシアター大賞」が授与された。
今回は、そんな注目すべきSonos Arc Ultraを実際にハンドリングおよび試聴し、特徴や魅力を徹底解説する。
革新的テクノロジーで音質アップ。多機能でも使いやすいサウンドバー
Sonos Arc Ultraを一言で表すなら、「豪華な一本バー」タイプのサウンドバー。Dolby Atmosに対応し、内蔵する14個のスピーカーによって、9.1.4chの本格的なイマーシブ再生が可能。別売のサブウーファーやリアスピーカーを追加することも可能だが、基本としてテレビの前に設置する「一本バー」で完結する。ハイエンドかつ多機能な製品でありながら、ユーザーには複雑さを感じさせない「シンプルさ」はSonos流と言える。
最大の特徴と感じたのは「Sound MotionTMテクノロジー」による低域再現能力の高さ。一般的なドライバーとは異なり、シーソーのようなメカニズムを駆使して、中低域を桁違いと言えるほど強力にドライブ。
この革新的な発想により、低域の改善のみならず、高域を担当するトゥイーターと中域を担当するミッドレンジドライバーを最適化することで、全体のクオリティアップを果たしたという。実際に試聴してもその効用は明らかで、後段で詳しく感想を述べたい。
機能面では、既発売のワイヤレススピーカー「Sonos Era 300」または「Sonos Era 100」をリアスピーカーとして追加したり、サブウーファー「Sonos Sub 4」を追加できる拡張性の高さも魅力。複数のスピーカーをサラウンドシステムとしてまとめたり、あるいは分離してマルチルーム的な使い方ができるが、この操作をアプリで簡単かつスムースに行えるのも、Sonosの大いなる特長と言える。
シンプルさが魅力のSonosだが、最上のオーディオ体験を志す懐の深さも併せ持つ。部屋の音響特性に合わせてサウンドをチューニングする「Trueplay」は、アプリを数回タップするだけで自動的に最適化され、音に包み込まれるようなイマーシブ体験を格上げする。映画やドラマ視聴時のみならず、テレビを見ない時も高度で高音質な「空間オーディオ」が楽しめるのだ。リビングの音楽体験を向上するエンターテイメントマシンと言って良いだろう。
透明度の高いナチュラル高音質。サウンドバー最高峰クラスの視聴体験
実際に製品を目の前にすると、スマートな佇まいが好印象。表示やボタン類も目に付かずスッキリと仕立てられているためだ。操作は主にスマホアプリで行い、入力や設定の状態も明瞭に表示されるので、本体表示の必要性を感じない。こうした潔さも常識に捕らわれずユーザー本位で考え抜くSonosならでは魅力といって良いだろう。
音量調整は最小限必要と考えられるが、ボタンではなく筐体表面をスワイプする方式を採用しているのもこだわりを感じる。ほか、背面の接続端子位置と方向が工夫され、ケーブルが後方へ大きく飛び出さないのも感心。付属のケーブルが本体と同色なため馴染みが良く、きめ細やかな配慮が心地よい。何かとストレスを感じないのだ。