その音質、もはや「オーディオ機器級」。最新サウンドバー「Sonos Arc Ultra」がVGPホームシアター大賞に選ばれた理由を探る
サウンドはまずArc Ultra単体で確認。コンテンツは現在最も一般的と思える配信サービスを利用。テレビからArc UltraへHDMI(eARC)接続して試聴した。
映画はNETFLIXで『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(Dolby Atmos)を選択。シーンはローマ市内での手に汗握るカーチェイスシーン。映像の迫力もさることながら、サウンド面でもイマーシブ立体効果が巧みに織り込まれていて、再生装置の能力で視聴者の体験に差が出る。
まず気が付くのは音場の広さ。テレビの枠を飛び出すのはもちろん、部屋の壁や天井が取り払われたかのような空気感が非日常を味わわせてくれる。また効果音の明瞭な定位も特筆に値する。広大な空間に無数の音がホログラムのように配置され、音の粒立ちや反響音から、ローマの石畳や歴史的建造物の質感も感じ取れるほど。テーマパークのアトラクション的な面白さを味わえる。この効果の源泉を分析すると、素の音に歪を覚えず、透明度の高いナチュラルな高音質が理由と言えそうだ。
トム・クルーズ扮するイーサン・ハントがドライブするフィアット500が階段を転がり落ちる見せ場は、制作者の意図したDolby Atmos効果を誇張無くかつ的確に引き出し、音場が映像にリンクながら回転して没入感を高める。サウンドバーとしては最高峰と言える体験ができた。
銃撃シーンでは、衝撃が体に響くかのように重量級で迫力満点な低域を聴かせてくれる。地響きを感じるような表現は、流石に一本バーでは無理な注文というものだが、一般的なリビングシアターで考えられる音量なら充分以上の余力を持つ。何より、低域に歪感や制限感を覚えないのは心地よい。また、先述の「素の音の良さ」による立体表現の高さは、「Trueplay」による画期的な低域再現が土台になっていることを申し添えたい。
さらにここで、Arc Ultraで刷新された「スピーチエンハンスメント」機能も試した。従来はオン・オフの切替のみだったが、オン時は「低/中(推奨)/高/最大」の4段階から選択できるようになった。オフから中(推奨)を選択すると、セリフが画面の中央後方へと上昇し、さらに音が少し大きくなって響きも乗るような、あるいは場面によって前に出るかのように聞きやすくなる。


「最大」にすると、サウンドバー本体から音が聞こえる感が強まるが、低域のサポートでボディ感が増して力強くなり、俳優の存在感も増す。作品や好みに応じて選択するのも楽しそうだ。いずれにしても、セリフが明瞭で聞きとりやすいのは何より。映画視聴ではポイントが高い。スポーツ番組の実況やニュースのアナウンスでも同様の好ましい効果が得られた。
音楽コンテンツは、『サザンオールスターズ 茅ヶ崎ライブ2023』で確認。2ch収録でDolby Atmosのような立体感こそ得られないが、音楽に欠かせない低音成分がリッチで、屋外コンサートならではの空気のうねりのようなものが感じられ、「ノリ」が楽しい。音量を小さくしても低域が痩せず、男性ボーカルも通りよく魅力的に聴かせるのもArc Ultraの完成度の高さを感じる。
スピーカー拡張効果は、リアスピーカーとして「Sonos Era 300」、そしてさらにサブウーファー「Sonos Sub 4」を追加して確認した。これらのスピーカーを、ワイヤレス接続でArc Ultraと連携させるか、あるいは独立したネットワークスピーカーとして使うかは、アプリ画面をタッチするだけ。洗練されたGUIにより迷わず的確に操作できる。
Era 300を加えると、音場を濁すことなく包まれ感が増し、Dolby Atmosの「天井から音が降る」効果もアップしてエンターテイメント性が増す。Sub 4を加えると、低域の迫力が増すのは当然ながら、部屋の空気が揺らいで体で感じる迫力が映画館での体験に近い。サブウーファーの質の高さも随一だ。
サウンドバーは、テレビ視聴時のサウンドを補助するコンパニオン的なイメージがあるかもしれないが、Sonos Arc Ultraは質の点でオーディオ機器と呼んでよいほど優秀。その卓越した質が、Dolby Atmosの立体音場もより豊かに再現できることが分かった。
映画、ドラマ、音楽、スポーツなど配信コンテンツが充実する今、テレビを核とするエンターテイメント体験を昇華させ、しかも設置や使い勝手はスマート。洗練された上質なホームシアターを目指すなら、Arc Ultraは最適な選択肢と言えるだろう。
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(協力:Sonos)
