ネットワークアクセサリーが世界を救う!? iFiの新ブランド・SilentPowerが立ち上がった背景とは?
2025/06/12
iFi audioの新ブランドとして、2024年から始動したSilentPower。ネットワークアクセサリーの世界で市場を席巻してきたiFi audioの知見を、そっくりそのまま受け継いだブランドとなる。
同社から、いま話題の光アイソレーター「LAN iPurifier Pro」が登場した。長年のガルバニック絶縁の研究成果が盛り込まれたコンパクトなプロダクトの実力を、エソテリックのネットワークプレーヤー&Qobuzでテスト。さらに、電源にiPower2(5V)を加えた場合のグレードアップも検証した。
コンパクトで安価、かつ高性能なDACやヘッドホンアンプ等を展開して人気の高いiFi audioを母体として新たに誕生したブランド、SilentPower。iFi audioの製品として同じく展開してきた電源やUSB、LAN等の関連アクセサリーのラインナップが大幅に拡大したことを受けて、それらを独立させたブランドだ。太陽光発電施設でもその効果が発揮された同ブランドの技術は、今後オーディオ用だけでなく、産業用にも広く応用・展開していく予定だという。
そんなSilentPowerからこのたびデジタル信号コンディショナーの新製品LAN iPurifier Proが発売された。LANケーブルを通じて伝わるデジタルノイズの低減とデータ品質の最適化を実現するという。
本機が採用する「光ガルバニックアイソレーション技術」は、入力されたLANの電気信号をいったん光信号に変換し、その後再び電気信号に戻す。この技術は以前からiFi audioが研究を重ねてきた「ガルバニック絶縁」と呼ばれる「電気的な」完全分離を、「光学的に」実現するものだ。これによりネットワークスイッチやルーターなど、他の機器からのノイズの影響を減少させる。
それだけではない。LAN iPurifier ProはさらにiFi audioが培ってきた独自のジッター除去技術と信号再生成技術をも搭載。これにより、受信した信号を最適化し、より安定した状態で出力できるという。
今回は、ルーターとエソテリックのネットワークプレーヤー「N-05XD」の間にLAN iPurifier Proを設置して有無の聴き比べを行った。試聴にはQobuzを用いている。
ネナド・ヴァシリッチの「Bass Room」では指弾き弓弾きともに雑味が解消されて余韻が非常に明瞭。熱の入った演奏に伴う奏者の鼻息と思しき音まで解像度が高まっていることに驚いた。
シヴァート・ハイヤム「Blown Away」でもリバーブが明瞭に。さらに伴奏の電子音とボーカルとが音色的・質感的、そして位置的にも綺麗に分離して音場に展開している。音場も特に左右のスピーカーの外側方向に拡大する。
エッタ・キャメロン「Motherless Child」はベースの音像が引き締まり筋肉質に。ボーカル音像からはやはり雑味が綺麗に取り除かれている。シンバルの金属感も鮮やかだ。
タン・ドゥン『交響曲1997「天、地、人」』でもS/Nの向上が著しい。チェロの音像にまとわりついていた雑味が解消したうえ、チェロからは結構遠い位置に設置されているはずのマイクが実はチェロの胴鳴りを彫り深く精密に捉えていたことに気づかされる。また、太鼓群の余韻もやはり明瞭化している。
この時点でLAN iPurifier Pro無しの音に戻れない。戻りたくない。
さらに続けて、SilentPowerの人気製品、iPower2(5V)を加えたらどうなるかも聴いてみよう。タン・ドゥンは、iPower2で給電すると冒頭の鐘の大群のアタックがいきなり強い! アンプの駆動力が上がったかのよう。太鼓も同様にアタックが峻烈かつ強烈になって、音量はさきほどから変えていないのに床を伝ってその振動がハッキリと足に伝わってくる。しかも児童合唱の音像が鐘や太鼓の強打と重なっても途切れず安定している。
エッタ・キャメロンは直接音・間接音それぞれの成分の聴き分けが容易にできる。ボーカルは発声が楽になったかのように詰まり感が解消し、ベースも伸びやか。シンバルの金属感も鮮やかだ。
シヴァート・ハイヤムはボーカル音像にまろやかな質感と肉厚感が出た。しかし子音成分をもまろやかにはせず、つまり質感表現のレンジが広がっている。
ネナド・ヴァシリッチは指弾きのアタックが強い! 弓弾きも強くかつ音色濃くなる。しかしどちらも音像は肥大しない。むしろよりシャープになっている。さらにノイズフロアがググッと下がっている。
これはiPower2も組み合わせないともったいない! LAN iPurifier ProにはiFi audio時代からのノウハウが確かに活きている。SilentPowerの今後の製品展開が楽しみだ。
(提供:エミライ)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.197』からの転載です