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公開日 2025/04/30 06:35
KEF伝統のUni-Qドライバーを搭載

KEF×LOTUS、英国名門ブランドの強力タッグ。クルマの世界観と音質が一致するラグジュアリースポーツ

栗原祥光

KEF伝統のUni-Qドライバーがカーオーディオに!


モータースポーツの分野で輝かしい歴史を残す英国の名門LOTUS(ロータス)は、BEV(電気自動車)の高級ブランドに生まれ変わりつつある。本稿でご紹介するエレトレは、同社初の4ドア車にして、これまた初のラグジュアリーSUVとして注目を集めている。



ロータス/エレトレR(2324万3000円)


そのエレトレのカーオーディオには、同郷KEFの同軸ユニットUni-Qが採用されているのはご存じだろうか。その実力に触れた。



エレトレのフロントドアにマウントされたUni-Qドライバー


カーオーディオに無縁だった2社が手を組む


1948年に創業し、70年近い歴史を有する自動車ビルダーであるロータス。ストイックなスポーツカー路線ゆえか長年経営難に陥っており、1990年頃から米国ゼネラルモーターズ、マレーシアのプロトンに身を寄せ、細々と好事家向けのクルマを作り続けていた。



Bピラーに取り付けられた創業年を表すプレート


方向転換したのは2017年のこと。中国の吉利汽車控股有限公司(ジーリー)の傘下に入るや、英国ノーフォーク州ヘセルに本社、開発、工場、テストコースを設ける純英国体制を一新。へセルは本社機能と企画部門のみとし、開発はドイツ・ラインハウムに新設したGIC(ドイツイノベーションセンター)、生産は中国・武漢、マーケティングとPRはドバイと、グローバル企業に生まれ変わった。


ストイックなクルマを作っていた時代、ロータスはカーオーディオと無縁だった。だがスポーティーなラグジュアリーブランドへと生まれ変わるには、車内エンターテインメントを搭載しなければならない。そこで手を組んだのが、これまた自動車に無縁のKEFだ。


2022年にロータス最後のガソリンエンジン車として発売されたミッドシップスポーツカーのエミーラに搭載すると、KEF側もブリティッシュグリーンに彩られたホームスピーカーLS60 Wireless Lotus Editionを発売。その後もエレトレ、エメヤと採用を続け、蜜月関係は続いている。


 



KEFのアクティブスピーカー「LS60 Wireless」に特別カラーを施した「LS60 Wireless Lotus Edition」


 


俊足でありながら実用的


それでは話題をエレトレに移そう。ボディサイズは全長×全幅×全高=5103×2019×1636mm。前輪と後輪の間(ホイールベース)が3メートルを越え、しかも車幅が約2メートルもあるため、道幅の狭い路地や駐車場では少し苦労する。



全幅2019mm、全高1636mm




全長5103mm


いっぽうクーペスタイルなので、バックドアを開ける際、車両後側にスペースがなくても開閉できるのはとても便利だ。荷室は後席を使う状態で688リットル、後席を倒すと1,532リットルと桁違いの容量を誇る。ハンズフリードアのほか後部だけ車高を下げる機能も用意され、買い物やレジャーに重宝するだろう。数年前まで走りは一流だけれど実用性は皆無の自動車メーカーだっただけに感慨深い。



バックドアを開けた様子




後輪だけ車高を下げるスイッチが設けられており、荷物の出し入れの際などに便利


ちなみにボンネットを開けると、充電ケーブルなどを収納するのに便利な46リットルのストレージも用意されている。



フロントボンネット内のラゲッジスペース


ラインアップは「エレトレ(1578万5000円)」をベーシックモデルとして、充実装備が魅力の「エレトレS(1905万2000円)」、速さを追い求めた「エレトレR(2324万3000円)」の3種類を用意する。


全て四輪駆動車で、エレトレとエレトレSは最高出力612馬力、エレトレRに至っては918馬力と、世界で最もパワフルなSUVといってもよいパフォーマンスを有する。ちなみにエレトレRは停止状態から時速100km/hまで3秒を切るという。これは先日受注完了したNISSAN GT-Rをはじめ、ランボルギーニ アヴェンタドールSVJ、Honda NSX Type-Sなどのハイパースポーツとほぼ同値である。


電気自動車といえば一充電の航続距離が気になるところ。搭載するリチウムイオンバッテリーの容量は112kWhと大容量で、一般的なAC充電(3kWh)を利用した場合、充電時間は電欠状態から満充電まで37時間以上かかることだろう。満充電時の航続距離は、エレトレで660km。エレトレSが570km。そしてエレトレRが490kmの走行が可能と謳う。



運転席側にAC充電ポートを配置




助手席側にDC充電ポートを配置


Uni-Qドライバーとドルビーアトモスを核とするシステム


カーオーディオに目を向けると、エレトレとエレトレRは15スピーカー/アンプ総出力1380W仕様のKEF Premiumを標準搭載。エレトレSは23スピーカー/アンプ総出力2160WのKEF REFERENCEが奢られている。今回お借りしたのはエレトレRだ。



エレトレRの室内


車内はレザーとスエードというラグジュアリースポーツでは定番のしつらえ。華美な加飾はなく、でありながらも上質さを印象づける空間づくりがなされている。


残念ながらカーオーディオに関する詳細な情報を頂くことができなかったため、憶測が含まれることをご承知おき頂きたい。スピーカーは、ダッシュボードにUni-Qドライバー1基、各ドアにUni-Qドライバーとウーファー、Aピラー、Bピラー付近、Cピラーに各1基、センターコンソールにUni-Coreテクノロジーのサブウーファーを配置する。ラゲッジスペースにはサブウーファーのポートらしきものがあり、かなり低い音が出ていることを確認した。



ダッシュボードに置かれたセンタースピーカー。Uni-Qドライバーが収められているという


ドアに取り付けられたUni-Qドライバーは、ミッドレンジ部分はサランネットが取り付けられているものの、中央部のウェーブガイドがむき出し状態であった。結構鋭利なので、子供が指で触れたら怪我をするのでは? と思わなくもない。



運転席ドアに取り付けられたUni-Qドライバー




Aピラーに取り付けられた高域ユニット




運転席ドアに取り付けられたウーファーユニット




Bピラー近く(後席ドア付近)に取り付けられた高域ユニット


カーオーディオに限らず、車両のほぼ全ての操作は15.1インチの有機ELタッチスクリーンディスプレイで行う。そのためセンターコンソールはかなりシンプルだ。



15.1インチ有機ELタッチスクリーン


オーディオのメニューを開いてみると、入力はラジオのほかBluetoothとスマートフォンなどを接続するUSB、そしてSpotifyが利用できる。USBはセンターコンソールボックスの助手席側にあるUSB-Cポートを利用する。ちなみにApple CarPlayやAndroid Autoも利用可能だ。



選曲画面




Apple CarPlayを立ち上げた様子


画面をスクロールしていくと、最下段に本機がドルビーアトモスを搭載していることがわかる。サラウンドモードはソース/ステージ/空間の3種類が用意されているが、そのレベル調整はできないようだ。



ドルビーアトモス搭載を謳う


イコライザーはソースモードのみ3バンドのグラフィックイコライザーで調整できる。左右バランスや前後フェーダーの細かな調整機能はなく、各サラウンドモードのプリセットしか使えない。



ソースモードのみ3バンドイコライザーで音響調整ができる


他にノイズキャンセリング機能と、車速連動の自動音量調整機能を用意する。外部の音に対して逆位相をかけるノイズキャンセリングは、純正カーオーディオではあまりみかけない機能だ。



ノイズキャンセリング機能が用意されている


シャープな定位感、まごうことなきKEFサウンドが表出


運転席に座り、手持ちのUSBメモリを車両に差し込み、サウンドモードをソースに選択。ソースのみサウンドフォーカスが3パターン選べるので、まずは全席、イコライザーはONがデフォルトのようなので、その状態で試聴を開始した。



サウンドモードをソースに設定。サウンドフォーカスはドライバー、前席、リアの3種類用意


BEVやPHEV(プラグインハイブリッド)は、エンジンを動かさずとも車内エンターテインメントが愉しめるのが魅力。さらにエレトレは前列だけでなく後列も複層ガラスを採用しているので、車内はとても静粛だ。カーオーディオを愉しむには、この組み合わせが理想的であると改めて思った。



外部ノイズ遮蔽に効果のある複層ガラスを採用


ソースモードは、ドアに取り付けられたUni-Qドライバーとウーファー、そしてサブウーファーしか鳴らさないと思いきや、耳を近づけると車内に取り付けられた全てのスピーカーから音が出ているようだ。たっぷりとした低域にブライトな高域。ややコントラストをつけた暖色系の音色、品位が高く、情報量の多さで、楽音の細かな機微を綺麗に描き出す音世界は、ハイエンドホームオーディオで聴きなれたKEFサウンドそのものだ。



運転席・助手席側センターコンソール下部にサブウーファーを配置する


ジェイコブ・コリアーのアルバム『Djesse Vol.4』に収録されている「シー・プット・サンシャイン」は、音の拡がり、特に天井方向に関しては、やや物足りなさを覚えるも、ヴォーカルをはじめ、全ての音がシャープにコンパクトに微動だにせずに定位する。これらは指向性の強い同軸型ドライバーゆえだろう。この定位の良さは、他のカーオーディオでは味わったことはなく驚かされた。



ジェイコブ・コリアー「シー・プット・サンシャイン」を再生している様子


ソースモードの中には、いっそうピンフォーカスの音像が得られるドライバーのみに特化したポジションが用意されている。ロータスはハンドリングを愉しむドライバーズカーだ。ドライバー専用モードで好きな音楽を良い音を聴きながらワインディングを走る楽しみをいっそう加速させることだろう。



サウンドフォーカスをドライバーにセット


1992年生まれの気鋭のチェリストであるキアン・ソルターニとオーストリアの室内オーケストラであるカメラータ・ザルツブルクの邂逅は、チェロはボディ感や艶やかさと共に、若き奏者の詩を丁寧に描き出す。オーケストレーションとのコントラストも見事で、爽やかさとダイナミズムの表現力にも心が惹かれた。



シューマン:チェロ協奏曲/キアン・ソルターニ(Vc)、カメラータ・ザルツブルクを再生


サラウンド機能では音に包まれるような効果


後席専用モードを用意するラグジュアリーカーは珍しくない。後席へ移り、センターコンソール後席側に取り付けられたタッチディスプレイから、ソースポジションの後席専用のリアモードへ切り替え試聴を続けた。こちらも定位がよく、ステレオイメージを綺麗に表現。前席よりもクリアネスが高められているようにも感じた。



エレトレRの後席





後席ドアにもUni-Qドライバーが搭載される




エレトレRの後席センターコンソールにマウントされたタッチスクリーンモニター


サラウンド機能もチェックしよう。ステージモードは、センター定位が強めでヴォーカル曲に合う様子。空間モードは楽器の定位が曖昧になるものの、窓の遥か先にまで音が拡がり、包み込まれるような効果が得られる。いずれも効果はかなり強めなので、レベル調整があると望ましいと思った。



サウンドモードからステージを選択したところ




Cピラーに取り付けられた高域ユニット


車両にはあらかじめドルビーアトモスのデモンストレーション音源はインストールされている。試してみると車内がホームシアターになったかのような、明瞭で深みのある音世界が出現し驚かされる。聴きながらサラウンドレベルが誰もがわかる変化にしたという意図を感じると共に、スマートフォンからApple MusicやAmazon Musicなどドルビーアトモスを用意するサブスクリプションサービスをより積極的に利用してほしいという意思を感じた。



エレトレRに標準で用意されているドルビーアトモスのデモンストレーション音源


クルマの世界観と音質が一致するラグジュアリースポーツ


最後に車両そのものについて触れたい。900馬力を超えるスポーツグレードということで身構えたが、街乗りではいたってジェントルで上品。段差などで僅かに芯の硬さを感じるものの、しなやかさがあり、いつまでも乗っていたい紳士のBEVと感じた。だがアクセルを踏み込めば、とてもSUVとは思えない加速をみせ、ドライバーを狂気/狂乱の世界へと誘う。エレトレRはジキルとハイドのような二面性を内包する。


それはKEFのカーオーディオシステムも同様で、一聴すると耳あたりがよく、長時間リスニングでも耳疲れのしないラグジュアリーなサウンドを披露する。だが聴き込むとオーディオファイルを唸らせるハイレゾリューションサウンドなのだ。凄さをみせない紳士の振る舞いは、クルマの世界観と音世界が一致している。音は「聴く鏡」と言われるが、エレトレのサウンドに触れ、そう感じた。



ロータスのエンブレム


創業以来ラグジュアリーとは無縁だったロータスと、カーオーディオに無縁だったKEFが、2社でしか得られないラグジュアリーサウンドを作り上げた。その見事な出来栄えに、彼らの明るい未来を見た気がした。

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