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公開日 2025/06/12 06:30
アリス・クーパーモデルのオープンリールデッキも登場

【HIGH END】海外アナログ注目ブランド。光カートリッジのReed、トーレンス、オルトフォン、デグリッターなど

筑井真奈

ミュンヘン・ハイエンドの注目ブースを紹介するシリーズ。今回はリトアニアのReed、スイスのトーレンス、デンマークのオルトフォンなどのアナログ関連ブランドを中心にレポートしよう。またアーティストコラボモデルを発表したPro-JectとRevoxもご紹介!


Reed初の光カートリッジに期待大


まずは、(DS Audio本家以外で)初めて世界初の光カートリッジを発表したReed。リトアニアのオーディオブランドで、数学的理論を応用したリニアトラッキングアーム「5T」や、ベルトドライブとアイドラードライブを切り替えられるターンテーブル「Muse 3C」など、独自のセンスと開発力を誇るブランドで、日本でも支持が厚い。



Reedのヨナス氏。光カートリッジ開発の背景について教えてくれた


日本ではアイレックス(株)が取り扱っており、アイレックスの社長である朝日氏がReedとDS Audioの縁を取り持ったことから本企画が実現。光カートリッジ「Reed SF」と同社初の光カートリッジ対応フォノイコライザー「Reed EQ」をミュンヘン・ハイエンドで初お披露目した。Reedとして初のカートリッジ開発である。


Reedのヨナス氏が光カートリッジの実物を見せてくれた。ボディの本体はアルミニウムとパンツァーホルツと呼ばれる高密度木材、それに特殊樹脂で構成されており、不要共振を排除。カンチレバーはサファイアでマイクロリッジ針採用。正面に6つの小さな穴が空いており、再生中には中から緑の光がほんのり見えるようになっている。



カートリッジの前面に小さな6つの穴が空いており、中から緑色の光が見える


フォノイコライザーは電源別筐体の2筐体方式で、積み重ねて使用できるデザインとなっている。光カートリッジ専用機で、MM/MCには非対応。本体右にボリュームコントロール、左側にミュート、サブソニックフィルター(30Hzもしくは50Hzから選択)、ラインとヘッドホンアンプ切り替えボタンも配置。ヘッドホンアンプが搭載されているのも面白い。



電源別筐体のフォノイコライザー「Reed EQ」(上)、「Reed PS」(下)。ヘッドホンアンプ機能を持つことも特徴


Muse 3Cとアーム5Tに取り付けて、Reed SFのサウンドをヘッドホンで聴いてみると、爽やかで明るく、一本筋の通ったアナログらしい豊穣なサウンドが耳を潤してくれる。さらなる設計の追い込みは必要となるようだが、アイレックスとしても国内導入を考えているそうで、日本でも改めて試聴できる機会があるだろう。



KLAUDIO&LANSCHE AUDIOのブースでもReedのフォノイコライザーを再生。こちらではDS Audioのカートリッジと組み合わせ、スピーカー再生が行われていた


“400番シリーズ” を強化するトーレンス


トーレンスは来年大型ブースを展開しており、今年も「TD 124 DD」など世界中から注目の高い銘機復刻プレーヤーや、よりお求めやすい価格で展開するダイレクトドライブ機「TD 404 DD」など、多数のプロダクトを披露した。



例年大型ブースを展開。アナログプレーヤーの新製品を積極的に展開するトーレンス


「TD 403 DD」はトーレンスが注力する “400番台シリーズ” のひとつで、トーンアームとカートリッジまでがセットとなっており、既存のオーディオシステムにシンプルに組み込むことができるプラグ&プレイ製品として展開される。現時点で「TD 402 DD」「TD 403 DD」「TD 404 DD」(404が最上位)と3モデルが発表されている。



ダイレクトドライブ方式を採用する「TD 403 DD」


「TD 403 DD」には新型トーンアーム「TP150」、またカートリッジとしてはオルトフォンの「2M Blue」を標準搭載。プラッターは厚さ22 mmのダイキャストアルミ製という本格仕様である。400番台シリーズとしては、カートリッジやプラッターのグレードで差別化が図られている模様だ。トーレンスは日本のユーザーも多く、今後の国内展開にも期待したい。


もうひとつ面白いのは、「COTURN」というサブブランドがスタート。こちらではよりカジュアルなアナログプレーヤーを展開しており、第1弾モデルとしてポータブルで使用できる「COTURN CT-01」を初展示。Bluetoothに対応しており、カートリッジまでセットとなっているためBluetoothヘッドホンやスピーカーと組み合わせて再生可能。ラインアウトやヘッドホン出力も搭載されており、多彩な使いこなしが可能。日本でもオーディオテクニカのサウンドバーガーやオーレックス製品が注目されており、「ポータブルアナログプレーヤー」の広がりも熱い。



トーレンスのサブブランド「COTURN」の第1弾モデルとして誕生したポータブルアナログプレーヤー「COTURN CT-01」


「社運をかけた自信作」オルトフォンのMC Xシリーズ


オルトフォンは新しいMCカードリッジ「MC X」シリーズを発表。オルトフォンジャパンの社長である坂田氏も「社運をかけてのプロジェクトです!」と胸を張る自信作。MC X10/MC X20/MC X30/MC X40の4モデルを展開し、価格は一番安い「MC X10」で53,900円(税込)。



新製品の意気込みを語るオルトフォンのライフ・ヨハンセン氏


本体はステンレス、上部がハニカム構造になっていることが特徴で、軽量化と高剛性を実現しているという。またコイルの導体に純銀線を採用している点もこだわりで、音色感を重視して設計。また独自の「ラバーダンパー」もオルトフォンの独自開発マテリアルのひとつで、振動を適切に低減することができるという。



オルトフォンの最新技術を搭載しつつ、価格もぐっと抑えたMC Xシリーズ




大型のパーツ模型も展示。トップのハニカム構造が大きな特徴となる


訪問時にはテクニクスのアナログプレーヤー「SL-1200G」と組み合わせて「MC X10」が再生されており、洗練された艶やかなサウンドで部屋を満たしていた。往年のアナログファンを唸らせるアイテムから、若いユーザー向けの手頃なアイテムまで幅広いプロダクトを展示しており、ブースも大盛況となっていた。



テクニクスのアナログプレーヤーと組み合わせて再生!


デグリッターから “2槽式” レコードクリーナー


デグリッターはエストニアのレコードクリーナーブランド。全自動式・超音波式のクリーナーとして日本でも人気が高いが、今回はなんと「2槽方式」のクリーナー「Fonoteek」を初展示。高さも75cmと床置きを前提とした大型サイズで、片方にはピュアな水を、もう一つにはクリーニング液を添加した水を入れて利用するそうで、例えて言えば「シャンプーとリンス」のようなイメージだろうか。



床置きを前提とした大型サイズのクリーナー「Fonoteek」




2槽式となっており、超音波クリーニングとリンス、そして乾燥まで一気通貫で行える


液体槽の下には浄水フィルターが装備されているために、この高さが必要となったそう。価格は7,000ユーロとのことで、レコードファンの新たな注目アイテムとなりそうだ。


また例年アーティストコラボモデルで音楽ファンを沸かせるPro-Jectからは、今年はAC/DCモデルとエルビス・プレスリーモデルが登場。



エッジの効いたデザインが特徴のAC/DCモデル。トーンアームの稲妻デザインもクール!




エルビス・プレスリーモデルも展開


また、Revoxからはアリス・クーパーモデルの「オープンリールテープデッキ」と「アナログプレーヤー」も披露されていた。テープデッキの新しい取り組みにも注目していきたい。



Revoxからはアリス・クーパーモデルのテープデッキとアナログプレーヤーが登場


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