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公開日 2025/03/11 06:30
3/31まで引き続き募集中

世界初!特殊ガラス振動板搭載のフルレンジ・ユニットがクラファン展開中。清涼感ある高域表現に惚れる

編集部:筑井真奈

超薄ガラスを採用したフルレンジ・スピーカー


マークオーディオより、世界初の “曲げられる” ガラス「UTAG」(Ultra Thin Acoustic Glass)を振動板に採用したフルレンジ・スピーカーユニット「Alpair 5G」が、GREENFUNDINGにて展開されている。そのガラスを製造している日本電気硝子(株)にて、そのスピーカーユニットの音を体験する機会を得た。



マークオーディオのフルレンジ・スピーカーユニット「Alpair 5G」。現在クラファンの支援募集中


フルレンジの振動板には、これまで繊維や金属などさまざまな素材が用いられてきたが、ガラスというのはなかなか珍しい。日本電気硝子は、さまざまな “特殊ガラス” に強みを持つ会社で、その技術はモトローラの折りたたみスマホの画面にも活用されているほか、紫外線の影響を強く受ける人工衛星のガラスとしても採用されているそうだ。ちなみに祖業としては「真空管」を作っていたこともあるそうで、オーディオ産業にも意外と縁が深い。



ウォールナットキャビネットに収められたスピーカーシステムとしても展開


「このガラスをスピーカーの振動板に使えませんか?」という話を、マークオーディオの中島紀夫さんに提案したことから今回のプロジェクトが動き始めた。「これは素材として非常に面白い!」と感じた中島さんは、早速製品化に着手した。



マークオーディオの中島紀夫さん



UTAGはベリリウムに次ぐ優秀な特性


ユニットの白っぽくみえる部分が、今回の特殊ガラスが使われている振動板となる。サイズは8cm。今回のユニットでは、振動板の中央部が盛り上がった部分と、外側のコーン部の2つのパートがUTAGで作られている。中央部が高域を担当するメカニカル2ウェイ方式である。真ん中がポツッと凹んでいるのは、分割共振を避けるためとのこと。



白っぽく見える部分が今回使われているUTAGガラス。コーン部分と中央の盛り上がったところ、2つのパーツを組み合わせて作られている


透明でも製造は可能だそうだが、安全面などを考えて今回はこの着色がなされている。クラウドファンディングでは、単体ユニットのほか、ウォールナット、マホガニーの完成スピーカーシステムのプランも用意されている(マホガニーは完売)。


このUTAGが振動板として優れている理由として、ダンピングファクターや振動減衰といったオーディオ的特性が非常に優秀ということが挙げられる。クラファンのサイトでも掲載されている各種素材のスペックを見ると、UTAGはベリリウム(パラダイムやTADが採用)に次いで、優秀な特性を実現している。アルミやチタン(B&Wがトゥイーターに採用)よりも特性上は優位。



素材ごとの伝達速度やダンピングファクター。UTAGはベリリウムよりは劣るものの、アルミニウムやチタンよりは優秀な特性を実現している


実際に中島さんが試作機を製作し、さまざまな人に聴いてもらったところ、聴感上も非常に良好で「ハイエンドの音がする!」という声も寄せられた。そこで、この音をなるべく多くの人に聴いてもらいたいと、クラウドファンディングとして支援を募ることを決断したのだという。


ちなみに特性から見れば「トゥイーターとしての製品化もあったのでは?」と尋ねたが、それは中島さんのこだわりであくまで「フルレンジでやりたい」と考えたのだという。マルチウェイではクロスオーバーが必要となってしまうため、フルレンジのほうがより自然な音楽再生ができる、というのが中島さんの持論だ。


ガラス振動板の厚みは0.1mm。0.1mm厚のシート状のガラスを触らせてもらったが、下敷きよりもさらに薄いペラペラの紙のようで、Uの字に折り曲げてもまったく平気。ガラスとは思えない、なんだか不思議な感じだ。



0.1mm厚のガラスのシート。ここまで折り曲げても全く問題ない


ちょっとやそっと触ったくらいでは割れたりしないが、とあるオーディオ編集者が自宅に持ち帰ったところ、子供がいたずらをして割れてしまったそうで、過信は禁物。といっても振動板をむやみに触るのはガラスじゃなくても御法度です。



Alpair 5Gに活用されている振動板(こちらは透明)


清涼感と透明感あふれる高域表現が美しい




中島さんがおすすめだというレイチェル・ポッジャーのヴァイオリンを聴く。組み合わせているのはウォールナットのキャビネットに、47研究所の小型アンプ。レイチェル・ポッジャーはバロックバイオリンの名手で、チャンネル・クラシックによる録音クオリティにも定評ある。



47研究所の小型アンプと組み合わせて、ウォールナット・キャビネットのスピーカーを試聴!


非常にみずみずしく、清涼感と透明感あふれる高域表現がたまらなく美しい。ちょっとこのサイズ想像を超える艶やかさである。響きの最後の余韻まで丁寧に描き出す再現力も、ガラスの特性の良さによるものか。トミー・フラナガンのトランペットも、ジャズの熱い熱気を分厚く伝えながらも、どこかしら知的にクール。


一番印象に残ったのは藤原道山による尺八の演奏。演者が呼吸をコントロールしながら音を送り出すさまが非常に精緻に見えてくる。和楽器もなかなか再現は難しい楽器だが、このガラス振動板はアコースティックな音の質感の再現性に特異な魅力を聴かせてくれた。


もうひとつキャビネットの素材違い、マホガニー製のスピーカーも試聴した。こちはらより艶やかさ肉厚、滲み出るような滋味深さは女性ヴォーカルなどがより引き立ちそう。



マホガニー製キャビネットモデルも展開(クラウドファンディングはすでに完売)


正直に言えば、低域表現には多少の物足りなさを感じないではない。それはどうしてもサイズの限界というのはあるわけで、低域を楽しみたいならばまた別のシステムを組むのがよいだろう。マークオーディオのスピーカーはむしろ、寝る前のひとときなど、リラックスタイムにこそ聴きたいサウンド。清涼感あるサウンドは、1日の疲れを自然に洗い流してくれそうだ。


現在クラウドファンディングでは2400万円を超える支援が集まっており、3月31日まで引き続き募集をしている。今回のクラファンの反響に中島さんは大きな手応えを得たようで、より振動板を薄くしたものなど、技術者らしく次なる製品のアイデアも広がっているようだ。

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