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公開日 2016/08/08 14:54
いずれも世界初の新形状ユニットを採用

<香港AVショウ>フォーカル、約4,000ドルの新旗艦ヘッドホン「UTOPIA」と中級機「ELEAR」を初披露

オーディオ編集部:浅田陽介
中国・香港にて現地時間の8月5日から7日まで開催された「2016 Hong Kong High-End Audio Visual Show」(通称:香港AVショウ)。本イベントにて、仏のハイエンドオーディオブランドであるFOCAL(フォーカル)は、フラグシップシリーズとなるオープン型ヘッドホン「UTOPIA」と、その弟モデル「ELEAR」を披露した。

・「UTOPIA」($3,999/US)

FOCAL「UTOPIA」

UTOPIAは今年の6月に発表された同社のフラッグシップヘッドホン。“UTOPIA”という名前は、同社のフラッグシップスピーカー群にも採用される名前で、もちろん「理想郷」を意味している。

他社を含むオープン型ヘッドホンのなかでも、取り分けハイエンドの価格帯に位置するUTOPIAは、「フォーカルの最高峰のスピーカーに匹敵する再現力を実現したヘッドホン」と紹介されていることからも分かるとおり、同社にとって特別な意味を持つモデルだという。

最大の特徴はドライバーだ。振動板に純ベリリウムを採用し、そのドーム形状をM字型とした世界初となる“M-Shaped dome”を採用。このドライバーの採用によって、5Hz〜50kHzまでという脅威的な周波数特性を実現した。

UTPOPIAのハウジング。流麗なデザインの中には振動板素材である「ベリリウム」の文字が刻まれている

装着感にも注目したい。ヘッドホンの装着感を大きく左右するヘッドバンドにはラムスキンを採用。ヨークには軽量かつ強度の高いカーボンを採用し、イヤーパッドにもヘッドバンド同様ラムスキンで表面を覆った形状記憶素材を採用している。質量は490gと決して軽くはないが、実際に装着してみるとその重さを感じさせない快適な装着感を実現している。

ケーブルは、ロック機構を備えるφ9.5mmレモ端子(ヘッドホン側)とノイトリック製のφ6.3mmステレオ標準端子(アンプ側)による着脱式ケーブルを採用しており、その長さは4.0m。内部線材はOFCで、送り出し機器からの信号を極限までピュアな形で伝送すべく、ケーブルそのもののインピーダンスは1mあたり90mΩ以下となるように設計された。また、70pF未満という極めて低いクロストーク特性を獲得するため、内部は完全に左右対称となる構造を採用している。

UTOPIAのケーブルはΦ9.5mmのレモ端子を採用する

UTOPIAのヨークは軽量かつ高剛性を誇るカーボンを採用。イヤーパッドにはラムスキンを採用する

スピーカーブランドとしておよそ35年の歴史を持ち、ホームオーディオ分野に加えてレコーディング/マスタリングスタジオなどのプロフェッショナルからも支持を得ているフォーカル。UTOPIAはそんな同社が培ってきた技術を結集させたヘッドホンといえる。本機は今回出展されたヘッドホンの中でも最も高い価格帯のモデルということもあり、同社ブースはそのサウンドを聴こうという多くの来場者で賑わいを見せている。

・「ELEAR」($999/US)

FOCAL「ELEAR」

フォーカルのブースでもうひとつ、大きな注目を集めていたのが「ELEAR」だ。ELAERは、前述のUTOPIAの開発で得たノウハウを投入したオープン型ヘッドホンで「様々な意味でハイパフォーマンスなサウンド」を求めたヘッドホンだという。

ELEARのドライバーは、φ40mmアルミニウム/マグネシウムによるM字型の“M-Shaped dome”。周波数特性は5Hz〜23kHzとなっている。

ELEARのハウジング。UTOPIAのデザインをシンプルに継承。こちらにも「Alminium - Magnesium」と振動板の素材が刻印されている

基本的な設計思想はUTOPIAを色濃く受け継いでおり、流麗なデザインも継承。ヘッドバンドにはレザーを採用しイヤーパッドはマイクロファイバー素材を採用した形状記憶タイプ。ヨークもアルミを採用するなど、UTOPIAのサウンドを継承しつつ、高いコストパフォーマンスを実現するべく工夫が凝らされている。質量は450gとなるが、その高い装着感はUTOPIAに肉薄したものとなっている。

本機のケーブルは着脱不可の直出しタイプではあるが、UTOPIA同様にOFCを採用してインピーダンス90mΩ以下/1mを実現している。

ELAERのヨークはアルミニウムを採用。基本的な構造はUTOPIAを色濃く継承している

会場ではUTOPIA同様、多くの来場者から注目を集めたELEAR。こちらは高い性能を備えつつ現実的に手がとどく高品位ヘッドホンとして高い関心が寄せられているようだ。

両機共に日本での登場時期については正式にアナウンスされていないが、今から期待が高まる注目のヘッドホンといえるだろう。

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