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イザベル・ファウストのバッハ無伴奏がSACDシングルレイヤーで再登場! マスタリング現場をレポート

公開日 2020/11/17 14:22 ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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世界的ヴァイオリニスト、イザベル・ファウスト。ハルモニア・ムンディから発売されているヴァイオリン作品は、音楽的な表現力はもとより、オーディオ的な音質の高さにおいても高い評価を得ている。

今回、彼女の代表作ともいえる「バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータBWV」が、新たにSACDシングルレイヤー盤として発売されることになった。2009年と2011年に発売になった2枚の通常CDの音源を、キング関口台スタジオにて新たにDSDリマスタリング。2枚組の日本限定盤で、価格は10,000円(税抜)。PHILEWEBでも注文を受け付けている。
ご注文はこちら ※送付手数料500円(別途)

イザベル・ファウスト『J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータBWV』HMSA-0042/3

今回のマスタリングでも音質監修をオーディオ評論家の角田郁雄氏が担当。角田氏は彼女のアルバムをレファレンスディスクとして活用しており、オーディオショウなどでそのサウンドを耳にした方も多いだろう。ヴァイオリンの木質感や弦のアーティキュレーション、そして豊かな倍音の表現力などは、オーディオ装置の実力を測るのに最適な音源とも言える。

角田氏によると、実は今回の音決めの肝となったのは、ドイツのオーディオブランド、MUTECのクロックジェネレーターREF10 SE120だという。

MUTECの10MHzクロックジェネレーターREF10 SE120

本機についてはすでに角田氏がレポートしているが、もともとMUTECはスタジオ等に納入される業務用機器の開発が母体のブランド。MUTECの輸入代理店をつとめるヒビノインターサウンド(株)の鈴木 歩氏によると、ドイツ本国ではREF10もスタジオユースとして多く使われているが、日本で活用されるのは今回が初の試みだという。

キング関口台スタジオでマスタリングを行った

DA/AD変換においては、時間軸の正確さが音質に大きな影響を与える。もしクロックのタイミングが狂ってしまったら、アナログ音声への変換が正しく行われなくなってしまうのだ。そのため、高品位なクロックジェネレーターはスタジオ現場では必須の存在となる。

今回のマスタリングは、角田氏とも親交の深いキング関口台スタジオの辻 裕行氏が担当。デジタルデータの流れとしては、本国から送られてきたデジタルマスターをSADIEで再生。dCSのDAコンバーター954を通じてMerging Horusに入力し再AD化を行っている。

角田郁雄氏(左)とマスタリング担当の辻 裕行氏(右)

今回のマスタリング機材。今回はアンテロープのクロックではなくMUTECを使用している

ちなみにdCSからHorusに入力する際のバランスケーブルも、角田氏の愛用ケーブルから複数の比較試聴を行い、ファウストの弦の響きが一番伸びやかに聴こえるNordost製のものを使用している。

バランスケーブルにはNordostのVALHALLA2を使用

マスタリングスタジオで元のCDのサウンドと、新たにDSDマスタリングされた音を聴き比べたが、前後の奥行き感の深さがさらに精緻に描き出されることに加え、銘器「スリーピング・ビューティ」の乾燥した木質感が、より鮮烈な印象として立ち現れてくる。

バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータは、日々深くなる秋の夜長をともに過ごすのに、まったく素晴らしい伴走者であるように私は感じている。新型コロナウイルスは、寒くなるにつれまた感染の勢いを増してきている。オーディオイベントや外に出かけることが難しい分、ぜひ家のなかでファウストの世界とともにオーディオを楽しんで欲しい。


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