抜群の信頼を誇るアクティブスピーカーブランドGenelec、国内本社でイマーシブサウンドを体験
筆者は、自宅のデスクトップ環境のメインスピーカーとして、Genelecのアクティブスピーカー「G One」を使用している。19mmトゥイーターと76mmウーファーを搭載したコンパクトなモデルであり、音の大きさに偏りがないフラットな周波数特性を持ち、解像度の高さや定位の正確さからモニターライクにリスニングできる優れモノだ。
普段からデスクトップ環境でも音楽や映像作品の音を聴いているため、G Oneは欠かせないアイテムであり、気がつけばこのスピーカーが好きになっていた。オーディオの仕事をするときは、是非とも取材したいと考えており、筆者の担当編集者に相談し1年半ほど経過して連載を持つようになった頃に、ようやく取材が叶った。
本連載では、ジェネレックジャパン内にある「Genelec エクスペリエンス センター Tokyo」での取材を実施。Genelecブランドの特徴、「Genelec エクスペリエンス センター Tokyo」に設置されたイマーシブサウンドシステムの試聴レポートをお届けする。
アクティブスピーカーの幅広いラインナップと革新的な音響テクノロジーを兼備
Genelecは、1978年にフィンランドのイーサルミで “サウンドをできるだけ忠実に再現することで、お客様の夢をかなえる手助けをする” というミッションのもと、イルポ・マルティカイネン氏とトッピ・パルタネン氏の2名によって創業された、
同社の特徴は、やはりアクティブスピーカーを中心にラインナップを展開していること。メイン・モニターをはじめ、同軸3ウェイ・モニター “The Ones” 、アクティブ・2ウェイ・モニター “8000シリーズ”、スマート・アクティブ・2ウェイ・モニター “SAM コンパクト”、ホーム・スピーカー&サブウーファー “G&Fシリーズ”、そして設備/店舗向けスピーカーを取り揃えている。
幅広いラインナップを持っているが、同社が長年に渡って真摯に取り組んできた研究開発のノウハウがどのモデルにも活きており、多くの革新的な技術が導入されている。
例えば、スピーカー側にアンプを持たせることで極限までノイズを抑制した「アクティブ・クロスオーバー」、リスニング時の指向性パターンを調整して全帯域に渡って極めてフラットな周波数特性を実現する「DCW(Directivity Control Waveguide)」テクノロジー、そして「ルームレスポンス補正」や「Smart IP」テクノロジーなど、“忠実なサウンド”の実現に繋がる音響技術から、利便性までカバーする機能が投入されているのも特長だ。
デザイン性からサステナブルまで、北欧ブランドならではの取り組みも特筆すべてきポイント
中でも、「GLM(Genelec Loudspeaker Manager)」テクノロジーは、ソフトウェアと統合したシステムとして開発されており、スピーカー再生環境のあらゆる補正を行い最適化してくれる画期的なシステムだ。
基本的なステレオから80台以上のスピーカーを一括管理できるので、5.1chサラウンド、7.1.4chイマーシブといった様々なシステムのコントロールができる。
Genelecは北欧ブランドらしさとも言える、デザインへのこだわりも持っている。スピーカーデザインは、北欧を代表する有名ブランドのデザインも手掛けるハッリ・コスキネン氏を起用。ダイキャストアルミを使用し、丸みを帯びたデザインはインテリアにもマッチングするだけでなく、MDEテクノロジーといった音響工学からも優れた仕様となっている。
また、サステナブルに対しても力をいれていることにも触れたい。工場の電力消費量の削減やエンクロージャーにリサイクル・アルミニウムを採用するといった、環境に配慮していることも特筆すべてき点である。
しかし、彼らが伝える “本質的なサステナブル” は、環境に配慮して、長期にわたって使い続けることができるプロダクトを作るところ。シリアルナンバーで管理しており、いつ/どこで/誰が/どのような部品を使ったなどもわかるという。
修理の際も、スピーカーに合わせた部品交換が可能で、修理によっても特性が変わらず、廃棄による環境被害も最小限に抑えられることも、Genelecならではだ。
制作者がミックスで表現したい意図から、録音環境の細部の違いまで明確に描き切る
「Genelec エクスペリエンス センター Tokyo」の試聴の機会も得ることができた。まずは「8341A」「7370A」による7.1.4ch・イマーシブサウンドから聴いていこう。
アイヴ『Ice Queen』から、ボーカルを聴くと非常に明瞭感があって、濁りがなく抜けが良い余裕の再現力を感じ、バックバンドやボーカルメンバーが増えていったときは、音ブレや埋もれることなく明快なサウンドで、360度にわたって自然に響きゆく音場の広さにも圧倒された。
Peater Gabriel『The Court』は、7.1.4chとステレオの2種類を試聴。7.1.4chでは音を分散して再生しているのに対し、ステレオは音数を減らして再生していることから、異なるミックスをかけている違いについて理解が深まった。
また、John Williams『レイダース・マーチ』は、7.1.4chを2種類の録音配置環境に分けて、サントリーホールは座席付近、ベルリンフィルは指揮者付近といった違いから、音の表現が変化していく仕組みも実感することができた。
超弩級フラグシップ「8381A」は究極のフラット特性で “リファレンス” を実感
映像作品からは、万国共通リファレンスである『トップガン マーヴェリック』、CH5やCH12において、戦闘機のアフターバーナー、ベイツ少将の声、アラームなど、映像制作者の意図を忠実に再現。
低域/中域/高域をそれぞれ分散して出力し、定位力が高いことから音像の大きさ、バランス、奥行きと高さなど、必要な情報をきちんと出してくれるのは「さすが」としか言いようがない。
次に、Genelecの超弩級フラグシップモデル「8381A」を聴いていこう。今回は癒されたい気分だったので古内東子「誰より好きなのに」をチョイスしたが、想像を超えるほどのぶったまげた音がした。
究極のフラット特性の中で、ボーカルやバックバンドが広い音場により音の量や空間を余すところなく再現してくれて、驚くほどに立体的なサウンドを奏でてくれる。
S/Nも高く、透明度や純度の良さに優れており、音の輪郭をつかんでからの消える際の余韻もある。音の定位もミリ単位で出てくるような繊細さもあり、そのハイクオリティさは喉から手が出るほど。楽曲が耳元にスムーズに入ってくる感覚は、なかなか体験できるものではなく、“リファレンス” というものはこういうことかと実感させられた。
プロの制作現場の音をホームでも体験したいオーディオビジュアルファンに薦めたい
ジェネレックジャパンでの取材、「Genelec エクスペリエンス・センター Tokyo」の視聴を終えて、同社のアクティブスピーカーは、レコーディングスタジオや研究施設だけではなく、カンファレンスルームや商業施設でも使われている、“デファクトスタンダード” な立ち位置にあるメーカーであることを認識した。
そして、プロの制作現場で多数導入されている理由、そのサウンドをホーム環境でも体感したい、そのように思うオーディオビジュアルファンが多数いることを実感できたし、それは品質管理が徹底的に成されているからこそ体感できる音にも繋がっているように感じた。
8341Aと7370Aによる7.1.4chイマーシブサウンド、8381Aのステレオ再生は、どちらも素晴らしく、8341Aの全統一サラウンドは圧巻のクオリティだ。8381Aに至っては、アクティブスピーカーのリファレンスという到達点を体験できた。これらは全て「Genelec エクスペリエンス・センター Tokyo」に予約すれば、どなたでも体験できるので是非足を運んでほしい。
■取材・執筆:佐藤太郎■編集担当:長濱行太朗
































