オーディオビギナー大注目。POLK AUDIO「Reserveシリーズ」の魅力を引き出すセットアップノウハウを徹底解説!
「手頃な価格帯で本格的なサウンドが楽しめる」として人気を集めるPOLK AUDIO(ポークオーディオ)。その最上位シリーズである「Reserveシリーズ」のポテンシャルを最大限に引き出す使いこなしを、 オーディオ評論家の土方久明氏が徹底解説。ビギナーにも実践しやすいセットアップノウハウやアクセサリーで、 POLK AUDIOの魅力と“音を探求する楽しさ”に迫った。
Reserveシリーズの魅力をもっと引き出す!
ブックシェルフスピーカーとは、その名の通り「本棚にも置けるサイズ感を起源とした小型〜中型のスピーカー」のこと。6〜12畳程度の部屋でも比較的扱いやすいので、日本の住空間との相性も良く、多くのオーディオファンから愛されている。
ここ日本では、さまざまなモデルが発売されているが、その中でも人気が高まっているのが、アメリカ・ボルチモアに本拠地を構えるPOLK AUDIOのスピーカーだ。1972年に創業された同社は、現在日本市場で上位から「Reserve」「Signature Elite」「Monitor XT」という3つのシリーズを展開している。
そこで今回は最上位Reserveシリーズに属するブックシェルフスピーカー「R100」と「R200」を用いて、基本のセッティング方法から、スピーカースタンドやインシュレーターなどのアクセサリーを使ったファインチューニングまで検証を行い、その能力を最大限発揮させてみたい。
実は筆者、 “スピーカーセッティングオタク”である。元エンジニアという生い立ちもあって、原理原則と聴感をMIXした調整を得意としている……と、豪語してしまったが、うまくいくだろうか。
まずは「R100」と「R200」の仕様を解説したい。冒頭でも書いたが、本スピーカーは、日本に導入されているモデルの中では、最上位シリーズに属している。海外ではさらに上位となる「Legendシリーズ」もあり、そこで培われた技術を落とし込んでいる。
シリーズ共通の技術は3点ある。まず注目したいのがトゥイーターだ。「ピナクル・リングラジエーター」と呼ばれる独自のリングラジエーター型高域ユニットを搭載している。
中低域側の振動板に搭載される独特なタービン形状の「タービンコーン」は、剛性と内部損失を高めながら軽量化も両立している。
最後のポイントは、「X-Port・テクノロジー」と呼ばれる技術だ。これは、内部に搭載されたクローズドパイプ・アブソーバーによって、キャビネット内部やバスレフポートで発生しやすい不要共振を効果的に抑制する。
「R100」は、同シリーズで最小サイズの2ウェイモデルで、25mmトゥイーターに13cmのミッド/ウーファーユニットを搭載。「R200」は、ひと回り大きなキャビネットサイズで、トゥイーターはR100と同じものを採用、ミッド/ウーファーは16.5cmと大きくなっている。
ちなみに、Reserveシリーズを使いこなす上で考慮したいポイントがひとつある。それは能率とインピーダンスで、2モデルとも、それぞれ86dB/4Ωとなっており、そのスペックから推測すると、ある程度駆動力のあるアンプと組み合わせたいところだ。
そこで今回は、マランツのプリメインアンプ「MODEL 50」、そしてソース機器にはHEOSによるネットワーク再生に対応した「CD 50n」を使用。ストリーミングサービスのQobuzを試聴ソースの中心に据えることで対応した。
部屋に適したセッティングが鍵
それでは、初期セッティングから始めよう。通常スピーカーの設置を考える時、皆さんはどこからスタートするだろうか?
筆者は、スピーカーの位置決定よりもまず“リスニングの位置”を決めている。音響学的には、部屋を3等分してみて、部屋の前から1/3、もしくは2/3の位置が最も低音域にクセがないからだ。レーザー距離計で部屋の前後の距離を測り位置を決定した。
リスニングポイントが決まった後に、スピーカーの場所と内振り角度を決める。ベテランのオーディオファンには「いつも壁から××センチ離して設置しているから、そこから始めるか。内振りはいつものように……」と考える方もいると思うが、その前にスピーカーの特性をもっとも熟知しているのはメーカーであるから、スピーカーに付属しているマニュアルを確認することが大切だ。
壁からの位置や、リスナーとの三角形の形、さらに内振り角度も推奨値が書かれているはず。筆者の経験則だが、“一定以上ルームチューニングが施され、かつ極端な反射や吸音が行われていない部屋”であれば、メーカーの推奨値に収まることが多い。
と、ここまで書いておいていうのもなんだが、今回の2モデルのマニュアルに記載の推奨セッティングはドルビーアトモス用のみであった。そこで、見た目のバランスが良いと思えるところからセッティングを始める。広大に聴かせたいのであれば、リスナーも入れて大きめの三角形、ニアフィールドに聴きたければ、コンパクトな三角形を作ろう。
この時、レーザー墨出し機を使うと、目の錯覚に惑わされず、スムーズかつ短時間に位置調整ができる。結果的に「R100」では比較的ニアフィールド、「R200」は一回り大きな二等辺三角形に落ち着いた。
またトゥイーターは耳の高さに合わせておこう。余談となるが、スピーカー左右の壁、すなわち一次反射の環境は左右揃えておくことを進言する。ステレオ再生の場合、反射も含めて、左右の相関を合わせる必要がある。
続いて、内振り角を調整する。このときは、「自分は内振り派」「正面派」といった先入観を一度忘れたい。スピーカーごとに軸上特性と軸外特性が異なるためだ。まず完全な内振りで音を確認し、その後に真正面へ向けて聴き比べる。両者の違いを踏まえながら、最も自然に感じられるポイントを探っていく。
「R100」「R200」いずれもリングラジエーター型ユニットを搭載しており、内振りから外振りまでの位相感の変化がなめらかで、セッティングへの反応も素直だった。ここは、Reserveシリーズならではの強みといえる。
この時点で、「かなり良い音が出そうだ」という予感があった。そこで「R100」と「R200」を使い、Qobuzからホリー・コールの「Comin’ Home Baby」を再生してみる。POLK AUDIOらしい陽性でエネルギッシュなサウンドを基調としながら、部屋に適した試聴ポジションを導き出したことで、過不足のない自然な低音の量感を実現。さらに、ヴォーカルはセンターに芯を伴って明確に定位し、実在感の高い歌唱を聴かせてくれた。
続いて、ユジャ・ワンによる『メシアン:トゥランガリーラ交響曲』を再生すると、ブックシェルフスピーカーならではの強みである、奥行きと横方向への広がりを両立した音場表現が、セッティングによってさらに引き出されていることを実感する。音場は単に広いだけではなく、各楽器の位置関係や空間のレイヤー感も明瞭で、複雑なオーケストレーションを立体的に描き出していく。
スピーカーのポテンシャルを的確に引き出した、非常に完成度の高いサウンドを実現できた。「R100」と「R200」の違いについては、やはり低音域の表現で、後者はより音が沈み込み、音階表現に余裕が出る。
さらに、セッティングを追い込んでみる。水準器をスピーカー天面に置き、床に対して正確な垂直を出した。実は、最後に実施するこの調整が効果的で、センター定位するヴォーカルのフォーカスが上がるのだ。
この時点で、基本セッティングが完了した。同席していた若手の編集者も「このスピーカーが欲しい」というほどの音となったが、ここからが本企画の真骨頂だ。
スピーカーケーブルとスタンドを検証
スピーカーケーブルについては、POLK AUDIOらしい陽性でエネルギッシュなサウンドを活かすべく、今回はベルデン「STUDIO497Mk2」に固定して試聴を進めた。よりアキュレートで癖の少ない方向性を狙うのであれば、モガミやカナレといった業務用ケーブルからスタートしても良いと思う。
その上で、次に手を加えたいのがスピーカースタンドである。ブックシェルフ型は、スタンドによって音が大きく変化するカテゴリーだ。まず投入したのはタオック「BST-50L」。天板には二重鉄板構造を採用し、同社伝統の「鋳鉄粉封入支柱」を組み合わせた定番モデルだ。
ホリー・コール「Comin’ Home Baby」では、ウッドベースの豊かな量感を損なうことなく、音階の見通しや胴鳴りの自然さが向上した。特に低域の輪郭が整理され、ベースラインが追いやすくなる。静けさの中から音像が浮かび上がる感覚があり、「R100」「R200」のポテンシャルを底上げしていく印象だ。
続いて、アコースティック・リヴァイブ「YSS-60HQ」にスピーカースタンドを変更する。航空機グレードのアルミ合金を使い、支柱の中に詰め込まれるのは、トルマリンパウダーとポリプロピレンの特殊混合剤だ。
音楽が活き活きと躍動し、演奏のエネルギー感やリズムの推進力が前へ出てくる。クラシックではコントラバスの表現ひとつをとっても、より音楽的で表情豊かになる。
POLK AUDIO独自の「X-Port・テクノロジー」を搭載したR100/R200は、バスレフ型スピーカーの弱点を巧みに抑え込んでいる。そのうえでYSS-60HQを組み合わせると、単なる低音の迫力ではなく、低域が音楽のグルーヴとして機能し始める。静のタオックなら、動のアコリバと言える。
手軽な価格で音質アップ! インシュレーター2モデル
最後は、インシュレーターを使い、最終的なファインチューニングを行う。オヤイデ電気の「INS-SP」は、メタル素材を利用した硬質系のモデル。
まず制動するというよりシャープな質感に変化、若干金属的な質感は付加されるが、とにかくスピード感が上がる。そのため、ヴォーカルの音像のディテールが鮮明になった。
次に試したオーディオテクニカ「AT6098a」。
ハイブリッド系らしいバランスの取れた音。スピード感はオヤイデに譲るものの、評価したいのは音色にクセがないことだ。ヴォーカルの肉声的な表現やオーケストラを構成するアコースティック楽器の質感が間違いなく向上する。
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いかがだっただろうか。今回はしっかりとセッティングができたので、アクセサリーによる変化がいつも以上に分かりやすかった。
POLK AUDIOのスピーカーが持つサウンドキャラクターは、全体として陽性傾向かつ色彩感の高さが魅力だ。とはいえ、昔ながらの“アメリカンスピーカー”的な豪快さ一辺倒ではない。近年のハイエンドスピーカー的な解像感や空間表現も強く意識されている。その絶妙なバランス感覚が、多くのオーディオファンから支持されている理由だろう。
それにしても、セッティングやアクセサリーの違いにこれほど如実に反応するとは。その潜在能力の高さは、まさにオーディオの醍醐味を味わい尽くせるスピーカーと言えるだろう。
(提供:株式会社ディーアンドエムホールディングス)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.201』からの転載です
