デスクトップからテレビまで置けるGENELEC!「8331A」「8341A」「6040R」比較レビュー
現在、筆者はデスクトップ環境にGENELEC「G One」を使用しているが、より上位機種に手を伸ばしたい欲求に駆られた。ハイクラスになると物理的にユニットのサイズやエンクロージャーが大きくなり、電気的には新たにネットワークやDSPの処理などの精度が良くなることで、音圧や再生周波数帯域のレンジが広くなり高いスケール感の中で音を楽しめるためだ。
音圧や再生周波数帯域に限って言えば「1236A」や「8381A」が望ましい。ただ、ひと間では占有スペースが確保できないし、非常に高額で手が届かない。そこで音質とサイズ、そして価格のバランスも十分なモデルを、筆者なりに検討してみた。
まずは “The Oneシリーズ” から一番小さいサイズの「8331A」を選んだ。これならデスクトップでもテレビでも置きやすい。次に同シリーズから二番目に小さい「8341A」を選択。The Onesシリーズはマトリョーシカみたいなラインナップなので、二番目に大きいサイズもアリではないかと考えた。そして紅一点として、“Signatureシリーズ” から「6040R」も並べてみる。
本稿では、8331A、8341A、6040Rという、デスクトップ環境から映像機器周りにも導入しやすそうなモデルに厳選して、クオリティレビューをしてみよう。音質チェックには、ジェネレックジャパン本社の「Genelec エクスペリエンス・センター Tokyo」にて、実施させてもらえた。
「8331A」、音の粒子を精密に分析して鳴らすサウンド傾向
8331Aからみていこう。スピーカーユニットは、130×65mm ベースドライバー、90mmミッドドライバー、19mmトゥイーターの3ウェイによる仮想同軸構造を採用。再生周波数特性は、45 Hz - 37 kHzで、サイズを超えたワイドレンジであり、音圧は104dbとなっているので至近距離のリスニングで安心してなめらかな音を楽しめるそうだ。
「MDCドライバーテクノロジー」や「DCWテクノロジー」、そして72W+36W+36WのクラスDアンプを内蔵することで、スムーズな周波数特性やコントロールされた指向性、バランスの取れたサスペンションを提供し、音響上の歪みを最小限に抑えて鳴らしてくれる。
The Oneシリーズでもっとも最小サイズとなる189W×305H×212Dmm、質量は6.7kgとなっており、限られたスペースにも置きやすいスタジオモニタースピーカーだ。エンクロージャーはMDEと呼ばれるリサイクルアルミニウム筐体を採用し、丸みを帯びた形状により、音の回折を最小限に抑えてくれるし、発熱性にも優れている。
背面にはアナログ音声入力(XLR)×1、AES/EBU入力(XLR)×1、AES/EBU出力(XLR)×1 、RJ45×1の端子を備えている。
スピーカー本体には、モニタリングソリューション「SAMシステム」に対応し、同社のキャリブレーションソフトウェア「GLM」を使用して試聴環境の測定を行い、壁やデスクなどの物体における反射の影響を自動で補正してくれる。どんな環境でもきちっとした音が出力されるのが魅力だ。
それでは音を聞いてみよう。Apple Musicから古内東子『誰よりも好きなのに』を再生したところ、The Onesらしさである点音源でフラットな音調が素晴らしく、低域、中域、高域、それぞれのユニットが独立していても、同じ一点から聴こえるので定位感も良く、スピーカーが消えるような空間表現を感じることができた。
音を聴いて、8331Aの特徴として感じたのはボーカルやバックバンドを、「音の粒子を精密に分析して鳴らす」という音質傾向だ。このサイズ感の中で、研ぎ澄まされたように低域から高域にかけてレスポンス良く吹き上げるように音の質感は高く、ボーカルの細部の発音やバンドのギターの弦が震える余韻、ドラムスが発する進入角度が素早く耳元に飛んでくるようなキレを意識した印象がある。
「8341A」、余裕がありながらも音の強弱やバランスの正確さを実感できる
次に8341Aをみていこう。スピーカーユニットは、170×9mm ベースドライバー、90mmミッドドライバー、19mmトゥイーターの3ウェイによる仮想同軸構造となっており、中域ユニットと高域ユニットは8331Aと共通だが、低域ユニットは見た目の大きさで約1.8倍大きくなっている。
再生周波数特性38Hz - 37 kHzであり、高域特性は8331Aと同じだが、低域は7kHzほど深くでてくるので、さらにワイドレンジ。音圧は110 dBで、至近距離にとどまらず大音量が鳴らせる環境でも使えそうだ。
クラスDアンプは、250W+150W+150W、8331Aよりも約3.8倍の出力差がある。低域ユニットの面積が大きいということもあるが、パワーがあることで音を余裕に鳴らしてくれる側面も垣間見える。
サイズは、The Oneシリーズで2番目に小さい237W×370H×243Dmm、質量は9.8kgとしており、やや広めのデスクトップやテレビの両サイドに置きやすいモデルだ。
エンクロージャーのMDE素材や「SAMシステム」、「MDCドライバーテクノロジー」や「DCWテクノロジー」、接続端子や付属品、「GLM」に対応する部分は8331Aと共通している。スピーカーユニットやクラスDのアンプがかなり変わってくる。
こちらも同じ曲で試聴したが、仕様上でも数値の幅が増えているように音にも著しい影響があった。The Onesシリーズのスタンスである点音源やフラットな特性はもちろんあるが、8341Aの特徴として「音を余裕あるように鳴らし、音の強弱や正確なバランス」を感じることができた。
ボーカルやバックバンドの歌声や技量の熱量が良く伝わり、音場は広く、音も太いので、質感というものが等身大のように再現される。作品に集中して神経をすり減らすようなことはないぐらいに解像度も良く、リラックスしていても「いま、あの楽器のニュアンスが変わった」といった音の判別がしやすい印象であった。
「6040R」、ボーカルとバックバンドを “フレッシュなゴキゲンサウンド” で鳴らす
最後に6040Rをみていこう。フィンランドの世界的工業デザイナー、ハッリ・コスキネンとのコラボレーションで生まれた20年前の6040Aを、現代の時代に合わせて再設計されたモデルである。
スピーカーユニットは、165mmベースドライバーと19mmトゥイーターを搭載した2ウェイの密閉型となっており、他2機種よりも高域ユニットが大きく、低域ユニットが小さい。
しかし、再生周波数特性は43Hz - 20kHzであり、高域はややレンジが4kHzほど狭いが、低域はレンジが3Hzほど広い。これはスピーカーからスタンドにかけて、ガッチリとしたオールアルミ製で低域が痩せないように最適化されているからであろう。
6040Rの最大の特徴は、スピーカー本体からスタンドまで一体型の設計となっていること。スタンド部分も含めた全体のサイズは、237W×999H×220Dmmだが、スピーカー本体のみは8331Aと8341Aの真ん中に位置する大きさだ。
スピーカー本体にはケーブル類を接続する箇所がなく、電源、LAN、XLR端子はスピーカースタンドの土台背面に備わっている。これによりケーブルが露出しない見栄えの良さを確保しながら、スマートに設置することができる。
エンクロージャーのMDE素材をはじめ、「MDCドライバーテクノロジー」や「DCWテクノロジー」、「SAMシステム」、「GLM」に対応する部分は8331Aや8341Aと共通している。スピーカーユニットや構造、クラスDのアンプがこちらも異なり、Signatureシリーズ仕様になっている。
6040Rを試聴すると、これまでのスピーカーとは全く違う音がした。それは、ボーカルとバックバンドを「フレッシュなゴキゲンサウンド」で鳴らしてくれるところ。
中高域の音の粒たちが高く、深くナチュラルな低域、無音時の静寂感があり、音が前から後ろに流れるような抜け感も良素晴らしい。聴いていて楽しいサウンドなのだ。どちらかとモニターライクではなく、Hi-Fiオーディオライクに聴こえる。幅広いユーザーに対して心にくるものがある存在感だ。
「自分の耳に届く音がフラット」なサウンドを楽しめるのが、GENELECの最大の魅力
今回、3モデルを横並びで比較試聴してみて思うことは、GENELECはやはり原音を忠実に守り抜くメーカーだということだ。フラット特性の中でThe Onesシリーズの8331Aと8341Aは点音源を忠実に設計したスタジオモニター、Signatureシリーズの6040Rは音楽の感動を空間に解き放つHi-Fiオーディオの理想形、それぞれ高いサウンドを感じられた。
8331Aは、音の粒子を精密に分析して鳴らしてくれるキレの良いアクティブスピーカーなので、スピード感を求めている人には相性が良いだろう。8341Aは、音を強弱と正確なバランスで余裕のある鳴り方をするので、選び方に迷ったらこれだ。6040Rは、フレッシュでゴキゲンサウンドだが、Hi-Fiオーディオのような音色もあり、新たな風を感じたい方におススメしたい。
ちなみに、筆者の好みは6040Rだったが、買うなら8331Aと考えていた。しかし、試聴を終えると8341Aにも気持ちがシフトしていった。なぜなら、指向性に優れており、最短視聴距離50cm、壁に近づけても「GLM」で補正してくれるので物理的に大きくても、設置さえできれば問題ないということに気がついた。
これからどう設置していくか、もう少し悩みつつ決めたい。こんなにも悩めるのは、豊富なラインナップがあることに尽きる。最高の環境で、早くGENELECの「自分の耳に届く音がフラット」なサウンドを楽しんでいきたい。
■取材・執筆:佐藤太郎■編集担当:長濱行太朗
































